第243回 【大谷翔平】腰の不調で5失点も10奪三振(2022年5月26日投球分析)
2022年5月26日、大谷翔平投手(27)が本拠地エンゼルスタジアムでのブルージェイズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回を投げて93球、被安打6、四死球1、奪三振10、5失点の投球内容で3敗目。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年5月26日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
5球種が10~30%とバランスが良い
今回はストレート、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの5球種で、5球種が10~30%とバランスが良い配球でした。
今回はスプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
右にスラッターとフォークを多投
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
右打者にフォークとスラッターの割合が多くなっています。左打者に対してはいつも通りの投球割合でした。
2. コース
フォークの制球が良かった
前回2球しか投げなかったフォークですが、しっかりベースの低めに制球せれており、多くの空振りを取れています。
打たれたのはアウトハイが多かったです。
3. 各成績
珍しく右打者に打たれた
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
いつもと違い、左打者は5打数0安打と抑えたましたが、右打者に打たれました。
フォークで多くの空振り
前回2球しか投げなかったフォークですが、8個の空振りが取れて、6個の奪三振を奪いました。ゾーン内率は20%しかなく、ボール球を多く振らせていました。
全体としてはストライク率66%、ゾーン内率54%と先発として十分な数字ですが、大谷翔平投手としては少し物足りない数字です。
4. リリースポイント
リリース位置が体から近くて高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
最近リリースポイントが体から遠くて低かったですが、今回は全体的に体に近くて高かったです。特にスラッターは10cm以上高かったです。
ただし、スライダーは1球だけスリークォーターからサイドくらい横から投げていました。
球離れはいつもぐらいでした。
5. 球速と回転数
平均球速153.5km/h、最高157.1km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは今季最低となる平均球速153.5km/h、最高球速157.1km/h、回転数は2125回転でした。
カーブはカウントを取るスローカーブと、球速が速く回転数が多く決め球のパワーカーブの2種類を投げ分けていました。
今季最低の平均球速153.5km/h、2125回転
ストレートは今季最低となる平均球速153.5km/h、最高球速157.1km/h、回転数は2125回転でした。
本人も「今日は腰ですね。初回の入り的にもそうですし、結局、三振をそこそこ取りましたけど、なんとなくだましだまし投げているような感覚」とコメントしたように、今回は腰の影響で球速と回転数が少なかったです。
回での球速の変動が激しい
3者連続三振を獲った5回は平均球速が157.1km/hまで上昇しています。しかし、打たれた2回や6回などは球速が152km/h台しかなく、回によって球速の変動が激しいです。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートは真っスラ
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはいつものように真っスラの傾向が強かったです。
スラッターは縦変化量が増加しています。
スライダーは横変化量が少ない球が多かったですが、これはリリースポイントが体に近くて高かったためと考えられます。
カーブは横変化量が減少しています。
まとめ
①5球種が10~30%と配球バランスが良い
②右打者にスラッターとフォークを多投
③フォークの制球が良くて、多くの空振り
④珍しく右打者に打たれた
⑤リリース位置が体から近くて高い
⑥今季最低の平均球速153.5km/h、2125回転
⑦最速157.1km/h
⑧カーブは2種類を投げ分け
⑨回での球速の変動が激しい
⑩ストレートは真っスラ
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年5月26日投球分析」を紹介しました。
6回を投げて93球、被安打6、四死球1、奪三振10、5失点の投球内容で3敗目。
腰の影響でストレートは今季最低となる平均球速153.5km/h、最高球速157.1km/h、回転数は2125回転でした。
5球種が10~30%と配球バランスが良く、右打者にフォークとスラッターを多投しましたが、珍しく右打者に打たれました。
最近の傾向とは反対でリリース位置が体から近くて高かった影響なのか、フォークの制球が良くて8個の空振りが取れ、6個の奪三振を奪いました。ゾーン内率は20%しかなく、ボール球を多く振らせていました。
腰の不調で球速が出せずに5失点もしたにもかかわらず、10奪三振も奪えたのはこのフォークの復活が大きいと思います。そのため、次回登板ではコンディションが整えば圧倒的な投球をしてくれると思います。