第275回 【大谷翔平】胃腸炎ながら4回3失点(2022年8月21日投球分析)
2022年8月21日、大谷翔平投手(28)が敵地コメリカ・パークでのタイガース戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
4回を投げて85球、被安打5、四死球4、奪三振2、3失点で8敗目。
試合序盤からストレートの球威が無く、先頭打者本塁打を打たれたり、今季ワーストの4四球など本調子からほど遠い投球でした。
打撃でも5回に代打を送られて、試合後には球団広報から「ウイルス性胃腸炎」と発表されました。
試合後の本人のインタビューでは、試合直前に症状が出たため、試合に出場したとのことでした。今後については、ネビン監督代行によると回復状況によって判断するとのことです。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年8月21日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
スライダー42%、カーブ16%と多投
今回はストレート、ツーシーム、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの6球種を投球しました。
スライダー42%、カーブ16%と曲がり球を多投しました。
スプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左右ともにスライダーを多投
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
左右ともにスライダーが多投しました。その分、フォーク、スラッターが減っています。
2. コース
引っかかるスライダーが多い
右打者のアウトロー(左打者のインロー)に引っかかるスライダーが多いです。
ツーシームは右打者の頭に抜けたため、その後は1球も投げませんでした。
3. 各成績
左打者に打たれた
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
相手打線が左打者を8人並べたこともあり、ヒット5本は全て左打者でした。
ストライク率、ゾーン内率が低い
今回は空振りが10個(前回13個)と、いつもより少なかったため、三振も2個しか奪えませんでした。
ストレートはストライク率52%(前回71%)、ゾーン内率48%(前回68%)と、あまりストライクを取れませんでした。
多投したカーブもストライク率36%、ゾーン内率36%と制球に課題がありました。
4. リリースポイント
腕の振りが小さい
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
全球種のリリース位置はいつもより体に近く、低い(腕の振りが小さい)です。
5. 球速と回転数
平均球速154.4km/h、最高158.5km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速154.4km/h、最高球速158.5km/h、回転数は2247回転でした。
7月に比べると球速が出ていなかった
ストレートは平均球速154.4km/hで、7月に比べると球速は出てませんでした。今季の中ではワースト3です。
回転数は2247回転と今季の中では回転数が多い方でした。
球速が不安定
1回151.7km/h→2回157.3km/h→3回153.0km/h→4回155.3km/hと回によって球速が乱高下して不安定でした。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートのシュート成分大
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはいつもとは違い、MLB平均くらいシュート成分が多かったです。またホップ成分も多いです。
ツーシームはMLB平均よりも変化量が小さいです。
フォークは1球落ちないボールがありました。
スラッター、スライダー、カーブは横変化量が少し少なかったです。特にスライダーは変化量が小さいボールが多かったです。
まとめ
①スライダー36球、カーブ14球と多投
②引っかかるスライダーが多い
③ストライク率、ゾーン内率が低い
④腕の振りが小さい
(リリース位置が体に近く、低い)
⑤球速が不安定
⑥ストレートのシュート成分大
【ストレート】
平均球速154.4km/h
最高158.5km/h
平均2247回転
ホップ量37cm、シュート成分15cm
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年8月21日投球分析」を紹介しました。
4回を投げて85球、被安打5、四死球4、奪三振2、3失点で8敗目。
「ウイルス性胃腸炎」の影響で、腕の振りが小さくてストレートの球威が無く、先頭打者本塁打を打たれたり、今季ワーストの4四球など本調子からほど遠い投球でした。
ストレートは平均球速154.4km/h、最高球速158.5km/h、回転数は2247回転で、いつもとは違い、MLB平均くらいシュート成分が多かったです。
次回登板までに体調を戻して、本来の投球を見せて欲しいです。