第277回 【大谷翔平】変幻自在の投球で無失点9Kの11勝目(2022年8月27日投球分析)
2022年8月27日、大谷翔平投手(28)が敵地ロジャース・スタジアムでのブルージェイズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
7回を投げて今季最多109球、被安打2、四死球1、奪三振9、無失点で11勝目。
初回はストレートを1球も投げず、1巡目はツーシームとスラッターを多投、2巡目は逆にストレート、3巡目はスライダーを多投する変幻自在の投球で打者に的を絞らせませんでした。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年8月27日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
ツーシーム、スラッターを多投
今回はストレート、ツーシーム、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの6球種を投球しました。
いつもよりツーシーム6%、スラッター16%を多投することで、6球種をバランス良く投球しました。
スプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
変幻自在の投球
左図は打席別投球割合、右図は回別投球数です。
初回はストレートを1球も投げず、1巡目はツーシームとスラッターを多投、2巡目は逆にストレート、3巡目はスライダーを多投する変幻自在の投球で打者に的を絞らせませんでした。
左へのスライダーが少ない
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
右打者にはツーシーム、スラッターが多かったです。
左打者にもスラッターが多く、スライダーが少なかったです。
2. コース
ゾーン内は高めが少ない
右打者はアウトローを中心に円を描くように投球しましたが、色んな球種でインハイも攻めています。
制球が課題だったツーシームも良いコースに決まってます。
左打者にはインローを中心に攻めて、アウトコースで空振りを奪いました。
左右ともにゾーン内の高めが少ないです。
3. 各成績
左打者を完璧に抑えた
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
今回は左打者を完璧に抑えました。ただ奪三振は9個中8個が右打者から奪いました。
ストレートで5奪三振、被安打0
1番打たれていたストレートですが、今回は5奪三振、被安打0と成績が良かったです。
今回は空振りが17個(前回10個、前々回13個)と、空振りが増加しました。
全体でストライク率66%(前回55%)、ゾーン内率53%(前回45%)、6球種全部でストライク率50%以上とバランス良くストライクを取れました。
制球が課題だったツーシームもストライク率50%、ゾーン内率50%でした。
4. リリースポイント
ツーシームがストレートよりリリース位置が高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
全球種のリリース位置はいつもより一塁側でした。これは腕が振れてないわけではなく、立ち位置が一塁側だったからと考えられます。
普通は肘や手首が下がりやすいツーシームはストレートより横か下から投げる投手が多いですが、大谷翔平投手の場合はツーシームがストレートよりリリース位置が高いです。
5. 球速と回転数
平均球速157.7km/h、最高160.3km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速157.7km/h、最高球速160.3km/h、回転数は2343回転でした。
回転数は今季最高
ストレートは平均球速157.7km/hで、今季の中では6番目に球速が出ていました。
回転数は2343回転と今季最高の回転数でした。
7回まで球速を維持
7回でも157.2km/hと球速を維持しました。
6回は153.5km/hに下がっていますが、これは6回が1球のみだったためと考えられます。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーの横変化量大
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレート、スラッター、カーブはいつもくらいの変化量でした。
ツーシームはMLB平均よりも縦変化量が大きいです。
フォークは1球落ちないボールがありましたが、それ以外は変化量が安定していました。
スライダーは横変化量が大きいボールが多かったです。
まとめ
①初回はストレートを1球も投げず
②ツーシームは右打者のみ
③ストレートで5奪三振、被安打0
④ツーシームがストレートよりリリース位置が高い
⑤フォークの変化量安定
⑥スライダーの横変化量大
【ストレート】
平均球速157.7km/h
最高160.3km/h
平均2343回転(今季最高)
ホップ量35cm、シュート成分7cm
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年8月27日投球分析」を紹介しました。
7回を投げて今季最多109球、被安打2、四死球1、奪三振9、無失点で11勝目。
初回はストレートを1球も投げず、1巡目はツーシームとスラッターを多投、2巡目は逆にストレート、3巡目はスライダーを多投する変幻自在の投球で打者に的を絞らせませんでした。
ストレートは平均球速157.7km/h、最高球速160.3km/h、回転数は2343回転(今季最高)で、今回は5奪三振、被安打0と成績が良かったです。
大谷翔平投手の場合はツーシームがストレートよりリリース位置が高いです。そのためかツーシームがストレートに良い影響を与えてそうです。