第286回 【大谷翔平】ノーヒットノーランならずも8回無失点10Kで15勝目(2022年9月29日投球分析)
2022年9月29日、大谷翔平投手(28)が本拠地エンゼルス・スタジアムでのアスレチックス戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
8回を投げて108球、被安打2、四死球1、奪三振10、失点0で15勝目。
8回2死までノーヒットノーランの快投を披露しましたが、シフトが裏目になった遊安打で快挙は達成出来ませんでした。それでも本拠地エンゼルス・スタジアムはスタンディングオベーションで「MVPコール」が巻き起こりました。
マメの影響なのかストレートが今季最少の4%、今季最低の平均球速153.2km/hだったため、縦スラとスライダーを中心とした投球でした。
今回はそんな「大谷翔平投手の2022年9月29日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
縦スラとスライダーを多投
今回はストレート、ツーシーム、フォーク、カットボール、縦スラ、スライダー、カーブの7球種を投球しました。
マメの影響なのかストレートが今季最少の4%、縦スラとスライダーを68%も多投しました。
スプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
右打者にも縦スラ
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
縦スラは左右ともに多かったです。
前回まで縦スラは主に左打者に投球していましたが、縦スラを右打者にも投球しました。
2. コース
スライダーは右、縦スラは左に有効
やはりスライダーは右打者、縦スラは左打者から空振りを奪っています。
空振りを奪ったコースとしてはツーシームはインコース、スライダーはアウトコース、縦スラは低めでした。
3. 各成績
単打2本のみ
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
打たれたのは左右1本ずつの単打2本のみでした。
ボール球を振らせた
全体でストライク率68%(前回52%) 、ゾーン内率45%(前回43%)と、前回からゾーン内率はあまり変わらないにも関わらず、ストライク率が大きく上昇しています。つまり、それだけ多くのボール球を振らせたと言えます。
空振りは18個(前回12個)と、かなり増加しました。
4. リリースポイント
縦スラのリリース位置が高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
スライダーなどより縦スラはリリース位置が高いです。
またスライダーは1球だけサイドスローで投げました。
5. 球速と回転数
平均球速153.2km/h、最高157.1km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは今季最低となる平均球速153.2km/h、最高球速157.1km/h、回転数は2197回転でした。
縦スラはスライダーより球速が速いです。
今季最低の平均球速
ストレートは平均球速153.2km/hで、今季最低の平均球速でした。
回転数も2197回転と今季平均くらいでした。
縦スラはスライダーより球速が速い
1回から8回まで縦スラはスライダーより球速が速かったです。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートがシュート気味
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
いつもは真っスラ気味のストレートはシュート気味でした。
ツーシームはMLB平均よりも変化量が大きいです。
フォークは変化量が安定していましたが、1球だけすっぽ抜けました。
新球種の縦スラはまだまだ変化量が不安定です。
まとめ
①縦スラとスライダーを多投
②右打者にも縦スラ
③スライダーは右のアウト、縦スラは左の低めに有効
④ボール球を振らせた
⑤縦スラのリリース位置が高い
【ストレート】
平均球速153.2km/h(今季最低)
最高157.1km/h
平均2197回転
ホップ量37cm、シュート成分17cm
今回は「大谷翔平投手の2022年9月29日投球分析」を紹介しました。
マメの影響なのかストレートが今季最少の4%、縦スラとスライダーを中心とした投球でした。縦スラは左打者だけでなく、右打者にも多く投球しました。
空振りを奪ったコースとしてはツーシームは右のインコース、スライダーは右のアウトコース、縦スラは左の低めでした。
試合後コメントで「調子は良くなかった」と言うように今季最低の平均球速153.2km/hでしたが、これだけの投球だったので次回の今季最終登板が楽しみです。