第303回 【巨人】2023年新外国人タイラー・ビーディ投手の投球分析
2022年11月24日、巨人が新外国人選手として前パイレーツのタイラー・ビーディ選手(29)を獲得調査していると複数の報道機関で報道されました。
その後の12月5日、巨人が来季の選手契約を締結したと発表。背番号は「33」に決まりました。
ビーディ投手は2020年にトミー・ジョン手術を受けましたが、復帰後に球速が上昇した平均球速154km/hのグラウンドボーラーです。
今回はそんな「【巨人】2023年新外国人タイラー・ビーディ投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報
TJ手術経験の快速投手
所属球団 | サンフランシスコ・ジャイアンツ (2018-2022) ピッツバーグ・パイレーツ (2022) |
ポジション | 先発、リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1993年5月23日(29歳) |
身長 | 190.5 cm |
体重 | 95.7 kg |
被本塁打率が低い
今季MLBでは31試合に登板して防御率5.14、被打率.284、奪三振率5.7、与四死球率5.0です。またゴロ率が50%(MLB平均44.9%)と高いグラウンドボーラーです。
3A通算では76試合に登板して53先発、防御率5.40、被打率.265、奪三振率8.7、与四死球率5.9でした。
投手としての特徴は「球速が速い」「変化量が大きいチェンジアップ」「変化量が大きいカーブ」「被本塁打が少ない」などがあげられます。
2. 球種・投球割合
持ち球は5球種
持ち球はストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種です。
ただし、2022年は5球種をバランスよく投球しています。
持ち球は5球種
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にツーシームとスライダーを多投し、左打者にチェンジアップを多投しています。
ボールが先行しても偏りが少ない
右打者には5球種をバランスよく決め球に使用しています。
また左右ともにボールが先行しても特定の球種に偏っていません。
3. コース
空振りを奪える球種が左右で違う
右打者にはインハイのツーシーム、低めのチェンジアップ、アウトローのスライダーで多く空振りを奪っています。
左打者にはアウトハイのストレート、低めのチェンジアップ、低めのカーブで多く空振りを奪っています。
高め〇
左右ともに高めの成績が良いです。
左のアウトハイのストレート、右のインハイのツーシームが好成績です。
一方、チェンジアップ、スライダー、カーブは低めゾーン外は良い成績ですが、ゾーンに残ると打たれています。
4. 各成績
対左打者が得意?
右打者に比べると左打者の被打率.267、被OPS.742と左打者に強そうです。
ただし3A通算ではあまり差が無いです。
対ピンチに強い
得点圏の被打率.250、被OPS.695と高く、対ピンチに強いです。
左打者にはカーブが優秀
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
チェンジアップは左右両方に優秀で、空振率も高いです。
OPS、奪三振数ともにスライダーは右打者に優秀です。
OPS、奪三振数ともにカーブは左打者に優秀です。
全体のゾーン内率45%と低いですが、ストライク率は60%あるのでボール球を上手く振らせています。
5. リリースポイント
リリースが低く球持ち○
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約15cm低いです。また球持ちが良いです。
5月22日からはリリース位置が大きく一塁側に移動しています。これはプレートの踏む位置を変えたためです。
6. 球速と回転数
平均球速154.1km/h、最高159.2km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は154.1km/hでMLB平均(149.4km/h)よりもかなり速く、全球がNPB平均よりも速かったです。回転数は2081回転と回転数が少ないです。
ツーシームも同様の傾向で平均球速153.9km/hとかなり速く回転数が少ないです。
チェンジアップはMLB平均よりは遅く、回転数が少ないです。
スライダーもMLB平均よりかなり速く、カットボールのようなボールです。回転数はかなり少ないです。
カーブもMLB平均くらいで回転数がかなり少ないです。
平均154km/h前後は期待出来る
2019年は平均球速151.7km/hでしたが、TJ手術明けの2021〜2022年は平均球速は154km/h前後でした。
今年はTJ手術明け2年目であったことを考えるともう少し球速が上がる可能性はあります。
7. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーの回転軸はジャイロ回数です。
チェンジアップ、カーブは変化量大
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートは縦変化量が33cmしかなく、シュートドロップです。
ツーシームはMLB平均より横変化量が大きいです。
チェンジアップはMLB平均より変化量が大きいです。
スライダーとした球種は回転軸や変化量的にはカットボールに近いボールで、横変化量が小さいです。
カーブはMLB平均より縦変化量が大きいです。
まとめ
①今季MLBで防御率5.14、被打率.284
②被本塁打が少ない
③グラウンドボーラー
⇒ゴロ率50%(MLB平均44.9%)
④5球種をバランスよく投球
⑤左右で空振りが奪える球種が違う
⑥高め○
⑦対ピンチ○
⑧チェンジアップは左右共に優秀
⑨ツーシーム、スライダーは右に有効
⑩ストレート、カーブは左に有効
⑪リリース位置が低い
⑫球持ち○
⑬平均球速154.1km/h、最高159.2km/h
⑭TJ手術後に約3km/hアップ
⑮ストレートはシュートドロップ
⑯ツーシーム、チェンジアップは変化量大
⑰スライダーはカットボールに近いボール
⑱カーブは縦変化量が大きい
ビーディ投手は2020年にトミー・ジョン手術を受けましたが、復帰後に球速が上昇した平均球速154km/hのグラウンドボーラーです。
今季MLBでは31試合に登板して防御率5.14、被打率.284、奪三振率5.7、与四死球率5.0です。またゴロ率が50%(MLB平均44.9%)と高いグラウンドボーラーです。
3A通算では76試合に登板して53先発、防御率5.40、被打率.265、奪三振率8.7、与四死球率5.9でした。
投手としての特徴は「球速が速い」「変化量が大きいチェンジアップ」「変化量が大きいカーブ」「被本塁打が少ない」などがあげられます。
ストレートの平均球速は154.1km/hでMLB平均(149.4km/h)よりもかなり速く、全球がNPB平均よりも速かったです。回転数は2081回転と回転数が少ないです。
右打者には「インハイのツーシーム」「低めのチェンジアップ」「アウトローのスライダー」で多く空振りを奪っています。
左打者には「アウトハイのストレート」「低めのチェンジアップ」「低めのカーブ」で多く空振りを奪っています。