第308回 【ヤクルト】2023年新外国人ライネル・エスピナル投手の投球分析
2022年12月5日、ヤクルトが新外国人選手として前レッズのライネル・エスピナル投手(31)と来季の選手契約を締結したと発表。
1年契約で年俸65万ドル(約8710万円)プラス出来高払い(金額は推定)。背番号は「58」と最初発表されましたが「99」に変更になりました。
エスピナル投手は「回転数が多いストレート」と「落差の大きい高速チェンジアップ」が武器の長身右腕です。
今回はそんな「【ヤクルト】2023年新外国人ライネル・エスピナル投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報
高速チェンジアップが武器の長身右腕
所属球団 | ボストン・レッドソックス (2021) シンシナティ・レッズ (2022) |
ポジション | 先発、リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1991年10月6日(31歳) |
身長 | 190 cm |
体重 | 97 kg |
3Aでは高い奪三振率
MLB通算で3試合に登板して防御率8.00、被打率.308、奪三振率6.7、与四死球率2.7です。
3A通算では109試合に登板して57先発、防御率4.16、被打率.234、奪三振率10.3、与四死球率4.2でした。またフライ率が37%(MLB平均23%)と非常に高いフライボーラーです。
投手としての特徴は「回転数が多いストレート」「落差の大きい高速チェンジアップ」「球持ちが良い」「フライ率が高い」「被本塁打が少ない」などがあげられます。
2. 球種・投球割合
持ち球は4球種
持ち球はストレート、ツーシー厶、チェンジアップ、スライダーの4球種です。
ただし、2022年はツーシー厶を投球していません。
左にチェンジアップを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にストレートとスライダーを多投し、左打者にチェンジアップを多投しています。
スライダーはカウント球
スライダーはカウント球として使用していますが決め球としてはほとんど使用していません。
チェンジアップは決め球ですが、左打者にはカウント球としても使用しています。
3. コース
高めのストレート、低めのチェンジアップ
高めのストレート、低めのチェンジアップが投球の軸です。
スライダーは左右ともにアウトコースに投球しています。
右のゾーン内は打たれてる
右打者のゾーン内は打たれています。やはりアウトローにスライダーが重要になりそうです。
一方、左打者のインハイのストレート、低めのチェンジアップは打たれていません。
4. 各成績
対右打者が得意
MLBは打数が少ないので3Aの通算成績です。
左打者に比べると右打者の被打率.222、被OPS.693と右打者に強いです。
対ピンチに強い
MLBは打数が少ないので3Aの通算成績です。
得点圏の被打率.223、被OPS.676と低く、対ピンチに強いです。
チェンジアップが優秀
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
チェンジアップはストライク率67%と高く、被打率.200と低い上に空振率23%と高く優秀です。
全体のゾーン内率48%と低いですが、ストライク率は63%あるのでボール球を上手く振らせています。
5. リリースポイント
リリースが低く球持ち○
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
全体的にMLB平均よりリリースは約20cm三塁側で、ストレートは約20cm低いです。
スライダーとチェンジアップはMLB平均の高さで、ストレートとはリリース位置が異なります。
球持ちは良いです。
6. 球速と回転数
平均球速149.1km/h、最高153.0km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は149.1km/hNPB平均よりも速く、回転数は2406回転と回転数が非常に多いです。
ツーシームも同様の傾向です。
チェンジアップは平均140.4km/hと高速で、回転数が少ないです。
スライダーもMLB平均より遅く、回転数が少ないです。
平均149km/h前後は期待出来る
2021〜2022年は平均球速は149km/h前後でした。
7. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーの回転軸はカットボールに近いです。
チェンジアップは変化量大
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはシュート成分が33cmもあり、シュート回転です。
ツーシームは縦変化量が多く、シュートのようなボールです。
チェンジアップはMLB平均より変化量が大きいです。
スライダーとした球種は回転軸や変化量的にはカットボールに近いボールで、横変化量が小さいです。
まとめ
①3A通算で防御率4.16、被打率.234、奪三振率10.3、与四死球率4.2
②被本塁打が少ない
③フライボーラー
⇒フライ率37%(MLB平均23%)
④持ち球は4球種
⑤左にチェンジアップを多投
⑥スライダーはカウント球
⑦高めにストレート、低めにチェンジアップ
⑧対右打者○(3Aで対右.222)
⑨対ピンチ○(3Aで得点圏.223)
⑩チェンジアップは優秀(被打率.200、ストライク率67%、空振率23%)
⑪ストレートのリリース位置が低い
⑫ストレートと変化球のリリースが異なる
⑬球持ち○
⑭平均球速149.1km/h、最高153.0km/h
⑮ストレートは回転数とシュート成分大
⑯チェンジアップは平均140km/hと高速で変化量大
⑰スライダーはカットボールに近いボールで回転数少
エスピナル投手は「回転数が多いストレート」と「落差の大きい高速チェンジアップ」が武器の長身右腕です。
MLB通算で3試合に登板して防御率8.00、被打率.308、奪三振率6.7、与四死球率2.7です。
3A通算では109試合に登板して57先発、防御率4.16、被打率.234、奪三振率10.3、与四死球率4.2でした。またフライ率が37%(MLB平均23%)と非常に高いフライボーラーです。
投手としての特徴は「回転数が多いストレート」「落差の大きい高速チェンジアップ」「球持ちが良い」「フライ率が高い」「被本塁打が少ない」などがあげられます。