第311回 【巨人】2023年新外国人ヨアン・ロペス投手の投球分析
2022年12月22日、全米野球記者協会に所属するフランシス・ロメロ氏が自身のツイッターに「読売ジャイアンツとヨアン・ロペス投手(29)が1年の契約を結んだ」と報じました。
12月23日には「ロペス投手がメッツのメジャー40人枠を外れ自由契約となった」と地元メディア「SNY」で報じられました。
12月26日には巨人が正式に来季の契約を結ぶことで合意したと発表しました。背番号は「99」。
ロペス投手はストレートとスライダーが投球の94%を占める最速161km/hの剛腕リリーフです。
今回はそんな「【巨人】2023年新外国人ヨアン・ロペス投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報
剛腕リリーフ
所属球団 | アリゾナ・ダイヤモンドバックス (2018 – 2021) ニューヨーク・メッツ (2022) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1993年1月2日(29歳) |
身長 | 190.5 cm |
体重 | 83.9 kg |
3Aでの奪三振率が高い
MLB通算で121試合に登板して防御率4.39、被打率.258、奪三振率7.4、与四死球率3.1。またフライ率が26%(MLB平均22.5%)と高いフライボーラーです。
今季3Aでは64試合に登板して防御率4.20、被打率.264、奪三振率9.9、与四死球率3.8でした。
2018年以降に3AとMLBで与えた死球は1個だけと与死球が非常に少ないです。
投手としての特徴は「球速が速い」「ストレートとスライダーが投球の94%」「フライが多い」「エクステンションが長い(球持ちが良い)」などがあげられます。
2. 球種・投球割合
持ち球は3球種
持ち球はストレート、チェンジアップ、スライダーの3球種です。
ただし、チェンジアップはほとんど投球しておらず、ストレートとスライダーが投球の94%です。
右にスライダー、左にチェンジアップ多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にスライダー、左打者にチェンジアップを多投しています。
スライダーは決め球
3球種ともカウント球、決め球に使用されていますが、スライダーは決め球での投球が多いです。
3. コース
ベースの右下にスライダー
ストレートはあまり偏りがなくアバウトにゾーン内に投げ込んでいます。
スライダーはベースの右下(捕手目線)への投球が多いです。右打者はゾーン内でも多く空振りを奪っています。
高め✕
左右ともに高めの方が被打率が高いです。
4. 各成績
左打者の被長打率が高い
左打者の方が被打率が低いですが、被長打率が高いです。
得点圏で与四死球率高い
得点圏での与四死球率が14%と高いため被出塁率が高いですが、被長打率が低いです。
スライダーは優秀
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
チェンジアップはゾーン内率20%しかなく制球に課題がありますが、空振率20%と高いです。
スライダーは被打率と低く空振り率が高いです。
全体ではゾーン内率49%と低いため、ストライク率は63%しかありません。
5. リリースポイント
リリース位置が不安定
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは高いですが、意図的なのかかなりリリース位置が不安定です。
エクステンションはかなり長く球持ちが良いです。
6. 球速と回転数
平均球速154.4km/h、最高158.8km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は154.4km/hでほとんどがMLB平均よりも速かったです。回転数は2156回転と平均くらいです。
チェンジアップは平均143.3km/hとかなり高速で回転数が少ないです。
スライダーは球速はやや速く、回転数は平均的です。
球速が回復傾向
2018年〜2020年は平均球速が減少傾向でしたが、2021年〜2022年は平均球速が回復傾向です。
回転数は2200回転前後です。
7. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーは縦変化量が大きい
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはシュート成分が少ない真っスラです。
チェンジアップはMLB平均より変化量が小さく不安定です。
スライダーは回転は4シームで縦変化量が大きい縦スラタイプです。
まとめ
①MLB通算で防御率4.39、被打率.258、奪三振率7.4、与四死球率3.1
②年々与四死球率が上昇
③2018年以降に3AとMLBで与えた死球は1個だけ
④フライ率26%(MLB平均22.5%)
⑤持ち球は3球種
⑥ストレートとスライダーが投球の94%
⑦右にスライダー、左にチェンジアップを多投
⑧スライダーは決め球
⑨高め×
⑩左打者の被長打率が高い
⑪得点圏で与四死球率高い
⑫チェンジアップは空振率20%と高い
⇒ただし制球に課題
⑬リリース位置が不安定
⑭平均球速154.4km/h、最高158.8km/h
⑮平均球速が回復傾向
⑯ストレートは真っスラ
⑰チェンジアップは高速ですが変化量が小さく不安定
⑱スライダーは縦変化量が大きい(縦スラタイプ)
MLB通算で121試合に登板して防御率4.39、被打率.258、奪三振率7.4、与四死球率3.1。またフライ率が26%(MLB平均22.5%)と高いフライボーラーです。
今季3Aでは64試合に登板して防御率4.20、被打率.264、奪三振率9.9、与四死球率3.8でした。
投手としての特徴は「球速が速い」「ストレートとスライダーが投球の94%」「フライが多い」「エクステンションが長い(球持ちが良い)」などがあげられます。
ストレートの平均球速は154.4km/hと高速でシュート成分が少ない真っスラです。
チェンジアップはゾーン内率20%しかなく制球に課題がありますが、空振率20%と高いです。平均143.3km/hとかなり高速ですが変化量が小さく不安定です。
スライダーは回転は4シームで縦変化量が大きい縦スラタイプで被打率と低く空振り率が高いです。