第313回 【ヤクルト】2023年新外国人ディロン・ピーターズ投手の投球分析
2022年12月20日、ヤクルトが新外国人選手として前パイレーツのディロン・ピーターズ投手(30)を獲得したと発表しました。年俸は約1億円(75万ドル)で背番号は「63」。
ピーターズ投手はMLBでの先発経験が豊富で左打者に強い左腕です。
今回はそんな「【ヤクルト】2023年新外国人ディロン・ピーターズ投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報
MLBでの先発経験が豊富な左腕
所属球団 | マイアミ・マーリンズ (2017 – 2018) ロサンゼルス・エンゼルス (2019 – 2020) ピッツバーグ・パイレーツ (2021 – 2022) |
ポジション | 先発、リリーフ |
投打 | 左投左打 |
生年月日 | 1992年8月31日(30歳) |
身長 | 180 cm |
体重 | 88 kg |
3Aでは高い奪三振率
MLB通算で59試合34先発して防御率5.30、被打率.275、奪三振率6.8、与四死球率4.3です。被打球種類の比率はほぼMLB平均くらいです。
3A通算では50試合40先発して防御率5.22、被打率.290、奪三振率8.6、与四死球率3.1でした。
投手としての特徴は「真っスラ」「リリースが見にくい」「左打者に強い」「リリーフ時に球速UP」「被本塁打が少ない」などがあげられます。
2. 球種・投球割合
持ち球は5球種
持ち球はストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種です。
2022年は5球種をバランスよく投球しています。
右にはチェンジアップ、左にはツーシーム、スライダーを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にはチェンジアップ、左打者にはツーシーム、スライダーを多投しています。
ボールが先行しても偏りが少ない
左右共に5球種をバランスよく決め球に使用しています。
またボールが先行しても特定の球種に偏っていません。
3. コース
ツーシームは左打者へのインコースが多い
ストレートは高めへの投球が多いです。
ツーシームは左打者へのインコースが多いです。
チェンジアップは右打者には低め、左打者にはインコースへの投球が多いです。
スライダーとカーブはベースの左下(捕手目線)への投球が多いです。
インハイとベース右下〇
左右共にインハイとベース右下(捕手目線)の成績が良いです。
4. 各成績
対左打者〇
左打者の被打率.245、被OPS.734と左打者の方が得意です。
得点圏でもあまり変わらない
得点圏とそれ以外の時の成績はそれほど差がありません。
初球×
初球の被打率.379と高く、初球に被本塁打11本も打たれています。
ストレートとツーシームとチェンジアップは左打者に有効
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートとツーシームとチェンジアップは左打者、スライダーとカーブは右打者の方が成績が良いです。
チェンジアップは18%と高い空振率で優秀なボールです。
全体のゾーン内率50%、ストライク率は63%と少し低いです。
5. リリースポイント
リリースが見にくい
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約15cm体に近くて低いです。打者からはリリースが見にくい投球フォームです。
エクステンションは普通です。
球種間のリリース位置の差が小さいので、打者は見極めにくいと考えられます。
6. 球速と回転数
平均球速149.5km/h、最高152.7km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は149.5km/hでNPB左腕としては4位レベルです。回転数は2305回転と回転数がやや多いです。
ツーシームも同様です。
チェンジアップは136.4km/hと少し高速で回転数が少ないです。
スライダーはMLB平均より速く、回転数は平均的です。
カーブは回転数が2904回転と非常に多いです。
リリーフ時に球速UP
主に先発してた2017年〜2021年は平均球速147km/h前後でしたが、2022年は主にリリーフで平均球速149.5km/hでした。
7. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
カーブは変化量大
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはシュート成分が少なく、カット気味の真っスラです。
ツーシームとチェンジアップは縦変化量、シュート成分ともに変化量が小さいです。
スライダーは横変化量はやや小さいですが、縦変化量がやや大きいです。
カーブはMLB平均より10cm近くも変化量が大きいです。
まとめ
①MLBでの先発経験豊富
②MLB通算で防御率5.30、被打率.275、奪三振率6.8、与四死球率4.3
③被本塁打が少ない
④5球種をバランスよく投球
⑤右にはチェンジアップ、左にはツーシーム、スライダーを多投
⑥ツーシームは左打者へのインコースが多い
⑦インハイとベース右下○(捕手目線)
⑧対左打者〇(左打者の被打率.245)
⑨初球✕
⇒被本塁打の全34本中11本初球
⑩チェンジアップは18%と高い空振率
⑪リリースが見にくい
⑫リリースの球種間の差が小さい
⑬平均球速149.5km/h、最高152.7km/h
⑭リリーフ時に球速UP
⑮ストレートはカット気味
⑯カーブは2904回転と非常に多く、変化量が大きい
ピーターズ投手はMLBでの先発経験が豊富で左打者に強い左腕です。
MLB通算で59試合34先発して防御率5.30、被打率.275、奪三振率6.8、与四死球率4.3です。
3A通算では50試合40先発して防御率5.22、被打率.290、奪三振率8.6、与四死球率3.1でした。
投手としての特徴は「真っスラ」「リリースが見にくい」「左打者に強い」「リリーフ時に球速UP」「被本塁打が少ない」などがあげられます。
ストレートはシュート成分が少なく、カット気味の真っスラです。
カーブは回転数が2904回転と非常に多く、変化量が大きいです。