第363回 【大谷翔平】降雨中断で2回無安打1失点3Kで降板(2023年4月17日投球分析)
2023年4月17日(日本時間4月18日)、大谷翔平投手(28)が敵地フェンウェイ・パークでのレッドソックス戦に「2番・投手兼DH」で投打同時出場。
2回を投げて31球、被安打0、四死球1、奪三振3、失点1で勝敗は付つきませんでした。
雨の影響で試合開始が55分遅れたこの試合、初回先頭を四球で出すと2暴投で3塁に進めてしまい内野ゴロで1点を失いました。その後は制球を取り戻しましたが、3回攻撃中に再びの雨で1時間以上の中断があったのでそのまま降板しました。
この試合は吉田正尚選手との対決が注目されていましたが初回に実現、ギアを上げてこの日最速158.4km/hで空振り三振を奪いました。2回で降板したためこの1打席のみの対決になりました。
今回はそんな「大谷翔平投手の2023年4月17日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
スライダーを55%と多投
今回はストレート、カットボール、スライダー、カーブの4球種を投球しました。
特にカットボールを19%、スライダーを55%と多投。
ツーシーム、スプリーム、フォーク、縦スラは投げませんでした。
※当ブログでは「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左打者にもスライダーを多投
上は2022年、下は今回の左右投球割合です。
2022年は右打者に多く投球していたスライダーは左打者にも多投しました。
一方、2022年は左打者に多く投球していたカットボールは右打者にも多投しました。
2. コース
右打者への制球が良かった
今季はストレートとスライダーは右打者のアウトローに外れるボールが多かったですが、今回は右打者の制球が良かった。
3. 対左右成績
右打者に四死球0
上図は今回、2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
対戦が少ないですが今回は右打者に四死球0でした。
4. 球種成績
カットボールでストライクが取れなかった
全体でストライク率65%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率48%(MLB平均48.5%)と、MLB平均くらいでした。カットボールでストライクが1球しか取れなかったです。
スライダーは1球暴投しましたがストライク率88%と高かったです。
5. リリースポイント
リリースでスライダーの変化量を調整?
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
2022年よりリリース位置が高く体に近いです。
スライダー(スイーパー)はリリース位置が高いとホップ成分少なく、リリースでスライダーの変化量を調整していそうです。
6. 球速と回転数
平均球速156.7km/h、最高158.4km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速156.7km/h、最高球速158.4km/h、回転数は2382回転でした。
スライダーは2022年より約3km/h遅いです。
湿度で回転数増加?
上は登板日別と2022年の平均球速と回転数の図です。
今回の平均球速は2022年くらいでした。
回転数は雨で湿度が高かったためボールがしっかり握れたのか、今季最高の2382回転でした。
WBCで湿度の高い東京やマイアミでも回転数が多かったので、大谷翔平投手は湿度が高いと回転数が増加するのかも知れません
2回に球速上昇
上は球種ごとの回別平均球速です。
2回に球速が上昇しているので、尻上がりに調子が上がったかも知れません。
7. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーの横変化量44cm
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
いつもは真っスラ気味のストレートはギアを上げるとホップ量が増加しました。特に吉田正尚選手から三振を奪った球はシュートライズしていました。
カットボールはゾーン外の球は変化量が小さかったです。雨でしっかり握れていなかったためと考えられます。
スライダー(スイーパー)は2022年以上の横変化量44cmと凄い曲がり幅でした。リリース位置が高いとホップ成分が少なく、リリースでスライダーの変化量を調整していそうです。
カーブは変化量が増加していました。
まとめ
①スライダーが55%
②スライダーを左打者にも多投
③前回までとは異なり右打者への制球が良かった
④カットボールでストライクが1球のみ
⑤回転数は2382回転で今季最高
(湿度の影響?)
⑥スライダーが2022年より約3km/h遅い
⑦ギアが上がるとシュートライズ
⑧カットボールはゾーン外の球は変化量小(制球難に関係?)
⑨スライダー(スイーパー)はリリースで変化量調整?
⇒リリース位置が高いとホップ成分少
⑩スライダーの横変化量44cmと驚異的
⑪カーブの変化量大
【ストレート】
平均球速156.7km/h
最高158.4km/h
平均2382回転
ホップ量40cm、シュート成分13cm
今回は「大谷翔平投手の2023年4月17日投球分析」を紹介しました。
2回を投げて31球、被安打0、四死球1、奪三振3、失点1で勝敗は付つきませんでした。
雨の影響で試合開始が55分遅れたこの試合、初回先頭を四球で出すと2暴投で3塁に進めてしまい内野ゴロで1点を失いました。その後は制球を取り戻しましたが、3回攻撃中に再びの雨で1時間以上の中断があったのでそのまま降板しました。
いつもは真っスラ気味のストレートはギアを上げるとホップ量が増加しました。特に吉田正尚選手から三振を奪った球はシュートライズしていました。
カットボールはストライクが1球のみでゾーン外の球は変化量が小さかったです。雨でしっかり握れていなかったためと考えられます。
スライダー(スイーパー)は2022年以上の横変化量44cmと凄い曲がり幅でした。リリース位置が高いとホップ成分が少なく、リリースでスライダーの変化量を調整していそうです。
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