第358回 【大谷翔平】ピッチクロックに苦戦も今季初勝利(2023年4月5日投球分析)
2023年4月5日(日本時間4月6日)、大谷翔平投手(28)が敵地Tモバイルパーク(シアトル)でのマリナーズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回を投げて111球、被安打3、四死球6、奪三振8、失点1で今季初勝利。
投球内容としては1回に制球が定まらず失点してしまった直後には初めてのピッチクロック違反も犯してしまいました。しかし、そこで崩れることなく3回までは制球が不安定ながら粘りの投球でした。
3回途中からはカットボールを多投してカウントが取れるようになり、6回は3者連続三振と尻上がりに調子を上げました。
今回はそんな「大谷翔平投手の2023年4月6日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
7球種を投球
前回は4球種のみでしたが、今回はストレート、ツーシーム、フォーク、カットボール、縦スラ、スライダー、カーブの7球種を投球しました。
今回はスプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左打者にもスライダーを多投
上は2022年、下は今回の左右投球割合です。
ツーシームは右打者のみ、カットボールは2022年は左打者に多く投球してましたが、今回は右打者にも多く投球しました。
縦スラは左打者のみ、スライダーは左打者にも投球しました。
カットボールで球数を抑えた
初回から3回途中までは制球が定まらず球数が多くなりました。
しかし、3回途中からはカットボールを多投してカウントが取れるようになり、球数を抑えました。
2. コース
右打者のインハイとアウトローに外れるボールが多かった
ストレートとスライダーは右打者のアウトローに外れるボールが多かったです。
一方、ツーシームは2球インハイに外れて死球になってしまいました。
3. 対左右成績
右打者に四死球5
上図は今回、2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
右打者に四死球5と特に右打者への制球に苦労しました。
4. 球種成績
ゾーン内率が低い
全体でストライク率58%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率46%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率が低くストライクを取るのに苦労しました。
特にスライダーはゾーン内率64%→52%と前回に比べるとゾーン内が少なかったです。
5. リリースポイント
去年よりリリース位置が低い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
2022年よりリリース位置が低く体に近いです。
スライダーより縦スラはリリース位置が高いです。
6. 球速と回転数
平均球速155.0km/h、最高157.7km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速155.0km/h、最高球速157.7km/h、回転数は2293回転でした。
前回よりも球速は出ていなかった
上は登板日別と2022年の平均球速と回転数の図です。
平均球速は前回や2022年に比べると遅かったです。
WBCほどではありませんが昨年より回転数が増加傾向です。
6回まで球速維持
上は球種ごとの回別平均球速です。
1回から6回まで155km/h前後をキープしていました。
7. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーの横変化量44cm
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
いつもは真っスラ気味のストレートはホップ量が増加しました。ただ2球ほどカットボールに近い変化をした球もありました。
ツーシーム、フォーク、カットボールは変化量が安定していました。
スライダーはいつも以上の横変化量44cmと凄い曲がり幅でした。
縦スラ、カーブは変化量が増加していました。
まとめ
①7球種
②ツーシームは右、縦スラは左のみ
③左打者にもスライダー多投
④右打者に四死球5とインハイとアウトローに外れる球が多い
⑤ストライク率58%、ゾーン内率46%と低い
⑥2022年よりリリース位置が低く体に近い
⑦6回まで球速維持
⑧縦スラとカーブの変化量大
⑨スライダーの横変化量44cmと驚異的
【ストレート】
平均球速155.0km/h
最高157.7km/h
平均2293回転
ホップ量39cm、シュート成分10cm
今回は「大谷翔平投手の2023年4月5日投球分析」を紹介しました。
前回登板の4球種でしたが、今回は7球種を投球しました。
初めてのピッチクロック違反もあって制球が乱れましたが、3回途中からはカットボールを多投して立て直しました。
最後の6回は3者連続三振と調子が悪いながら修正したのは今後にも繋がりそうです。