第389回 【巨人】2023年新外国人アルベルト・バルドナード投手の投球分析
2023年6月21日、巨人が前ナショナルズ傘下3Aロチェスターのアルベルト・バルドナード(Alberto Baldonado)投手(30)を獲得調査してるとスポーツ新聞各紙が報じました。
また「ワシントン・ポスト」のジェシー・ドハティ記者がNPB球団と契約するために同投手が放出されたと報じています。
その後、巨人が7月1日に契約合意したと発表しました。背番号は「49」。
バルドナード投手の特徴としては、豪快なフォームからのノビのあるストレート。また球種が見分けにくいことです。
ただ変化球の制球には難があり、ストライク率が低く与四死球率が高い投手です。
今回はそんな「【巨人】2023年新外国人アルベルト・バルドナード投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
NPB投手最重量
所属球団 | ワシントン・ナショナルズ (2021) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 左投左打 |
生年月日 | 1993年2月1日(30歳) |
身長 | 195 cm |
体重 | 122 kg |
122kgは現役投手ではNPB最重量に相当。
3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではパナマ代表として登板。
3Aでは安定して高い奪三振率
MLB通算で14試合に登板して防御率8.44、被打率.244、奪三振率10.1、与四死球率5.9と典型的な制球に難がある成績です。
2023年の3Aでも29試合に登板して防御率3.03、被打率.211、奪三振率9.1、与四死球率5.8、平均球速150.0km/hと制球難です。
ただし5月は13登板で15回2/3を投げ、防御率1.72、奪三振率10.3、与四死球率3.4と制球に改善が見られ好成績を残しています。
MLB2021年のフライ率が33%(MLB平均23%)とかなりのフライボーラーです。
投手としての特徴は「フライが多い」「被本塁打少ない」「奪三振多い」「与四死球が非常に多い」「右打者が得意」「対ピンチに非常に強い」「ノビがある」「球種間のリリース差が小さい」などがあげられます。
2. 球種・投球割合
3球種
持ち球はストレート、チェンジアップ、スライダーの3球種です。
2023年はWBC、3Aでもチェンジアップを20%以上投げています。
チェンジアップは右打者のみ
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
左打者にはスライダー、右打者にはチェンジアップの比率が高いです。
スライダーは決め球
スライダーは決め球で比率が高くなります。
チェンジアップは決め球よりもボール先行時の方が比率が高いです。
3. カウント
初球○
初球を含めて0ボールでの被打率.000(8-0)と完全に抑えています。
4. コース
アウトローにスライダー
ストレートはゾーン内に満遍なく、
チェンジアップはアウトロー、
スライダーはアウトロー投球が多いです。
右打者のインコース〇
右打者はアウトロー、左打者は真ん中付近の成績が悪いです。
5. 対左右成績
対右打者○
右打者の被打率.211、被OPS.687と右打者が得意です。
6. 得点圏成績
対ピンチにかなり強い
得点圏の被打率.133、被OPS.411と対ピンチにはかなり強いです。
7. 球種別成績
変化球のストライク率が低い
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
全体でストライク率55%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率43%(MLB平均48.5%)と、かなり低いです。
ストレートはストライク率が66%ありますが、変化球のストライク率が低いです。そのためストレートを狙い打たれています。
ただチェンジアップ、スライダーは空振率は高いので球質は良さそうです。
8. リリースポイント
球種間のリリース差が小さい
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約15cm体に近く高いです。
エクステンションは少し球持ちが良いです。
球種間のリリース位置の差が小さいので、打者は見極めにくいと考えられます。
9. 球速と回転数
平均球速151.0km/h、最高155.1km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速は151.0km/hとMLB平均くらいですが、NPBの左投手としてはトップ5に入る球速です。
チェンジアップは回転数が多いスクリュータイプです。
スライダーはMLB平均よりかなり遅いです。
WBCでは球速アップ
今季3Aでは平均150.0km/hですが、短期決戦のWBCでは平均152.9km/hまで上昇しています。
10. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートはシュート成分大
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはシュート成分27cmとかなりシュート量が多いです。また2023年の3Aではホップ成分45cm、WBCでは46cmと現在はホップ量が多いです。
チェンジアップはホップ成分が多くてあまり落差がありません。
スライダーは縦変化量が大きいボールです。
まとめ
【基本情報】
①2023年WBCパナマ代表
②2021年は14試合で
防御率8.44
被打率.244
奪三振率10.1
与四死球率5.9
③フライボーラー(フライ率33%)
④被本塁打少ない
⑤奪三振率が高い
⑥与四死球が非常に多い
⇒ただし今季5月は改善
【球種・カウント】
①3球種
②チェンジアップは右打者のみ
③スライダーは決め球
⇒チェンジアップはカウント球
④0ボールでの被打率.000(8-0)
【コース】
①チェンジアップ、スライダーはアウトローへの投球が多い
②右打者はアウトロー、左打者は真ん中付近を打たれている
【対左右・得点圏成績】
①右打者○
被打率.211
被OPS.687
②対ピンチ◎
被打率.133
被OPS.411
③得点圏の本塁打0
【球種別成績】
①ストライク率55%(MLB平均64.2%)
②ゾーン内率43%(MLB平均48.5%)
③変化球のストライク率が低い
④チェンジアップ、スライダーは空振率は高い
【リリース】
①リリースは約15cm体に近く高い
②少し球持ちが良い
③球種間のリリース差小さい
【球速・回転数】
①平均球速151.0km/h、最高155.1km/h
②チェンジアップは回転数が多いスクリュータイプ
③スライダーは球速が遅い
④WBCでは平均152.9km/h上昇
⇒短期決戦では球速がアップ?
【変化量】
①ストレートのかなりのシュート
⇒2023年はホップ量も増加
②チェンジアップは落差小
③スライダーは縦変化量大