第297回 【巨人】2023年新外国人フォスター・グリフィン投手の投球分析

2022年11月17日、巨人が新外国人選手として元ブルージェイズでFAのフォスター・グリフィン選手(27)を獲得調査していると複数の報道機関で報道されました。
その後2023年1月12日、巨人が正式に契約に合意したと発表しました。年俸は1億円で背番号は「29」。
グリフィン投手は2020年にトミー・ジョン手術を受けました。それまでは先発でしたが、復帰後の2022年からはリリーフに転向した対左打者に強い左のカットボーラーです。
今回はそんな「【巨人】2023年新外国人フォスター・グリフィン投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報
左打者に強い左腕
所属球団 | カンザスシティ・ロイヤルズ (2020, 2022) トロント・ブルージェイズ (2022) |
ポジション | リリーフ、先発 |
投打 | 左投右打 |
生年月日 | 1995年7月27日(27歳) |
身長 | 190.5 cm |
体重 | 102.1 kg |
奪三振率、被打率が低い

2022年の今季3Aで36試合に登板して6勝、防御率2.10、被打率.207、奪三振率10.0、与四死球率3.0と活躍しています。
MLB通算では7試合で1勝、防御率6.75、被打率.241、奪三振率5.6、与四死球率6.8です。またゴロ率55.6%(MLB平均44.9%)と高いグラウンドボーラーです。
投手として特徴は「左投手としては球速が速い」「変化量が大きいカットボール」「奪三振が多い」「被本塁打が少ない」などがあげられます。

2. 球種・投球割合
持ち球は5球種
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(MLB2020-2022年)
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
持ち球はストレート、カットボール、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種です。
ただし、2022年はスライダーを投球していません。
チェンジアップは右打者のみにしか投球しておらず、左打者にはその分ストレートの割合が増えます。

ボールが先行するとカットボール
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(MLB2020-2022年)
右打者には5球種をバランスよく決め球に使用しています。
左右ともにボールが先行するとカットボールの割合が増えています。このことからカットボールが一番制球に自信があるみたいです。

3. コース
カットボールは高め
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(MLB2020-2022年)
ストレート、カットボールは高めへの投球が多いです
一方、チェンジアップは低めへの投球が多いです。
どの球種も際どいコースへの投球が少ないことから、細かいコントロールはあまり無さそうです。

左右ともにアウトロー〇
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(MLB2020-2022年)
左打者にはアウトコース、右打者にはアウトローの成績が良いです。

4. 各成績
対左打者◎
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(MLB2020-2022年)
左打者の被打率.125、被OPS.347とかなり左打者に強いです。
今季3Aでも左打者の被打率.222と対左打者の成績が良いです。

対ピンチに弱い
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(MLB2020-2022年)
得点圏の被打率.333、被OPS.906と高く、対ピンチに弱いです。
与四死球率が上がってることからセットでの制球に課題がありそうです。
左打者にはカットボールが優秀
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(MLB2020-2022年)
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
投球割合が多いカットボールは右打者には打たれていますが、左打者には全く打たれていないです。ゾーン内率66%と高く、ストライクを取れる球種です。
チェンジアップとカーブも打たれておらず優秀です。
全体のゾーン内率51%と高いにも関わらず、ストライク率は57%しかありません。

5. リリースポイント
対左打者時にリリース位置変化
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(MLB2020-2022年)
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約10cm体に近くて低いです。球持ちは普通です。
しかし、2022年の終盤からは対左打者の時にリリース位置が大きく一塁側に移動しています。これはプレートの踏む位置を変えているためです。
6. 球速と回転数
平均球速150.1km/h、最高154.8km/h
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(MLB2020-2022年)
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は150.1km/hでMLB平均(149.4km/h)よりも速く、ほとんどがNPB平均よりも速かったです。回転数は2067回転と回転数が少ないです。
カットボールも同様の傾向で平均球速142.5km/hとかなり速く回転数が少ないです。
チェンジアップはMLB平均より速く、回転数が多いです。
カーブもMLB平均より速く、回転数が少ないです。

平均150km/h以上は期待出来る

2020年は平均球速147.7km/hでしたが、TJ手術明けの2022年は平均球速は150.7km/hでした。
今年はTJ手術明け1年目であったことを考えるともう少し球速が上がる可能性はあります。

7. 変化量
回転軸
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(MLB2020-2022年)
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
カーブの回転軸がトップスピンに近いです。
カットボール、カーブは変化量大
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(MLB2020-2022年)
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートは縦変化量が40cmとMLB平均くらいですが、カット気味のボールがやや多いです。
カットボールはMLB平均より変化量が大きいです。
チェンジアップはほぼMLB平均です。ストレートがカット気味なので打者はかなりシュートしているように感じそうです。
今回スライダーとした球種は回転軸や変化量的にはカーブに近いスラーブのようなボールです。
カーブはMLB平均より20cm近くも縦変化量が大きいです。

まとめ

①今季3Aで防御率2.10、被打率.207
②被打率が低い
③被本塁打が少ない
④ゴロ率55.6%(MLB平均44.9%)
⑤持ち球は5球種
⑥カットボールを44%と多投
⑦チェンジアップは右打者のみ
⑧アウトロー〇
⑨対左打者◎
⑩ピンチに弱い
⑪対左打者時にリリース位置変化
⑫平均球速150.1km/h、最高154.8km/h
⑬ストレートは回転数が少なく、カット気味
⑭カットボールは高速で変化量大
⑮チェンジアップは低め○
⑯カーブは縦変化量が大きい
グリフィン投手は2020年にトミー・ジョン手術を受けました。それまでは先発でしたが、復帰後の2022年からはリリーフに転向した対左打者に強い左のカットボーラーです。
2022年の今季3Aで36試合に登板して6勝、防御率2.10、被打率.207、奪三振率10.0、与四死球率3.0と活躍しています。
MLB通算では7試合で1勝、防御率6.75、被打率.241、奪三振率5.6、与四死球率6.8です。またゴロ率55.6%(MLB平均44.9%)と高いグラウンドボーラーです。
投手として特徴は「左投手としては球速が速い」「変化量が大きいカットボール」「奪三振が多い」「被本塁打が少ない」などがあげられます。
ストレートの平均球速は150.1km/hでほとんどがNPB平均より速くてカット気味です。
投球の半数を占めるカットボールはMLB平均より変化量が大きく左打者に有効なボールです。
またカーブの回転軸がトップスピンに近く、球速が速くて縦変化量が大きく優秀なボールもあります。
対左打者の時にプレートの踏む位置を変えていることもあり、左打者の被打率.125、被OPS.347とかなり左打者に強いです。
右打者には低めへの決め球チェンジアップが優秀なので、いかにカウントが取れるかが大事になりそうです。

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