第425回 【千葉ロッテ】2024年新外国人ジュニオール・フェルナンデス投手の投球分析
2023年12月9日、千葉ロッテが前ナショナルズ傘下3Aのジュニオール・フェルナンデス(Junior Fernandez)投手(26)の獲得を発表しました。
フェルナンデス投手の特徴としては、最速161.4km/hのツーシーム、最速154km/hのチェンジアップ、落ちる縦スライダーなど高速変化球が得意なリリーフです。
今回はそんな「【千葉ロッテ】2024年新外国人ジュニオール・フェルナンデス投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
MLBではリリーフ登板のみ
所属球団 | セントルイス・カージナルス (2019 – 2022) ピッツバーグ・パイレーツ (2022) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1997年3月2日(26歳) |
身長 | 190 cm |
体重 | 106 kg |
与四死球率が高く安定
MLB通算で50試合に登板して防御率5.17、被打率.276、奪三振率7.8、与四死球率6.5です。
3A通算では123試合に登板して防御率4.57、被打率.273、奪三振率9.7、与四死球率5.1でした。
毎年与四死球が悪く安定、3Aでは奪三振率が高いです。
投手としての特徴は「与四死球多い」「リリースが高い」「球速が速い」「グラウンドボーラー」などがあげられます。
グラウンドボーラー
MLB通算のゴロ率が51%(MLB平均45%)とグラウンドボーラーです。
2. 球種・投球割合
4球種
持ち球はストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダーの4球種です。
今季3Aではツーシームが53%と半数を占めます。
右にツーシームとスライダー、左にチェンジアップを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にはツーシームとスライダー、左打者にはチェンジアップの比率が高いです。
3. カウント別
右にチェンジアップとスライダー、左にストレートが決め球
右にはチェンジアップとスライダー、左にストレートが決め球での投球が増えています。
4. コース
各球種の空振りを奪えるコースが決まってる
上図は球種ごとのベース上の位置です。
各球種の空振りを奪えるコースが決まってます。
ストレートは高め
チェンジアップは低め
スライダーは右アウトローへの投球が多くて空振りも奪っています。
ただツーシームはあまりコースの偏りがありません。
インハイ、アウトロー〇
左右関係なくインハイとアウトローの成績も良いです。
5. 対左右成績
対左打者×
被OPSは右が.788、左が.884と左打者が苦手です。
特に左打者は与四死球率が26%と高いです。
6. 得点圏成績
対ピンチ×
得点圏の被打率.328、被OPS1.011と対ピンチにはかなり弱いです。
7. ホームアウェイ成績
アウェイでは与四死球率高い
アウェイの被打率.252、防御率4.76とアウェイの方が得意です。
ただしアウェイの与四死球率が18%と高いです。
8. 球種別成績
チェンジアップ、スライダーの空振率高い
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートは左右ともに被打率が高いです。
ツーシームは左右ともに被打率が高いですが、ストライク率65%とカウント球としては優秀です。
チェンジアップは左右ともに被打率.200と低く、空振率20%と高いです。
スライダーは右打者の被打率.220と低く、空振率22%と高いです。
全体でストライク率58%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率44%(MLB平均48.5%)と、ストライク率が高くありません。
9. リリースポイント
リリースが高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約5cm体に近く高いです。
また速球系と変化球の差が大きいです。
エクステンションはMLB平均くらいです。
10. 球速と回転数
2022年は平均球速159.1km/h、最高162.9km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは2022年は平均球速159.1km/h、今季3Aでは平均球速は156.7km/hと、NPB2位相当の球速です。回転数は2136回転と少ないです。
ツーシーム平均158.8km/h ※2022年
チェンジアップ平均146.3km/h ※2022年
スライダー平均143.1km/h ※2022年
と変化球も高速です。
ただスライダーは回転数が非常に少ないです。
平均球速が年度ごとに不安定
2022年から2023年で2.4km/hも球速が落ちていて、球速は年度によって不安定です。
11. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートはシュート回転
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2023年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートはシュート成分が多いシュート回転です。
ツーシームはホップ成分が多く横に曲がるシュートタイプです。
チェンジアップはMLB平均くらいです。
スライダーは横変化量が小さいため縦に変化するボールです。
まとめ
【基本情報】
①平均球速159km/hのツーシーム投手
②MLB通算
防御率5.17
被打率.276
奪三振率7.8
与四死球率6.5
③与四死球率が毎年悪く安定
④3Aでは奪三振率が9.7と高い
⑤被本塁打少ない
⑥グラウンドボーラー
【球種割合・カウント】
①4球種
②今季3Aでは半数がツーシーム
③右打者にはツーシームとスライダー、左打者にはチェンジアップの比率上昇
④右にチェンジアップとスライダー、左にストレートが決め球で比率上昇
【コース】
①次のコースの投球と空振り多い
ストレートは高め
チェンジアップは低め
スライダーは右アウトロー
②ツーシームはコース偏りがない
③インハイ、アウトロー〇
【対左右・得点圏成績】
①対左打者×(左被打率.300)
②左打者への与四死球率26%と非常に高い
③対ピンチ×
得点圏被打率.328
④アウェイ◯
被打率.252
防御率4.76
⇒ただし与四死球率高い
【球種別成績】
①ストレートは左右ともに被打率が高い
②ツーシームは左右ともに被打率が高い
⇒ストライク率65%と高い
③チェンジアップは左右ともに被打率.200、空振率20%と優秀
④スライダーは右打者○(右被打率.220)
⇒空振率22%と優秀
【リリース】
①リリースは約5cmも体に近く高い
⇒速球系と変化球の差が大きい
②球持ちは平均的
【球速・回転数】
①2022年は平均球速159.1km/h、最高162.9km/h
②回転数はやや少ない
③変化球も高速
④球速は年度ごとに不安定
【変化量】
①ストレートがシュート回転
②ツーシームはシュートタイプ
③チェンジアップはMLB平均
④スライダーは横変化が少ない縦スラ
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