第423回 【西武】2024年新外国人アルバート・アブレイユ投手の投球分析
2023年12月7日、西武ライオンズが前ヤンキースでプレーしていたアルバート・アブレイユ(Albert Abreu)選手(28)と契約合意したと発表しました。
アブレイユ投手の特徴としては、最速163.0km/hのツーシームが最大の武器の守護神候補のパワーピッチャーです。
今回はそんな「【西武】2024年新外国人アルバート・アブレイユ投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
MLBでの実績十分な守護神候補
所属球団 | ニューヨーク・ヤンキース (2020 – 2021) テキサス・レンジャーズ (2022) カンザスシティ・ロイヤルズ (2022) ニューヨーク・ヤンキース (2022 – 2023) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1995年9月26日(28歳) |
身長 | 188 cm |
体重 | 86 kg |
奪三振率と与四死球率が安定
MLB通算で108試合に登板して防御率4.58、被打率.232、奪三振率8.9、与四死球率6.0です。
3A通算では17試合に登板して防御率3.13、被打率.188、奪三振率14.9、与四死球率5.5でした。
奪三振率と与四死球率が安定、3Aでは奪三振率が高いです。
投手としての特徴は「与四死球多い」「リリースが体に近く球持ち良い」「球速が速い」「グラウンドボーラー」「変化球は高速で変化量小さい」などがあげられます。
グラウンドボーラー
MLB通算のゴロ率が48%(MLB平均45%)とグラウンドボーラーです。
ただツーシームのゴロ率が58%と高いですが、他の球種はフライ率が高いです。
2. 球種・投球割合
持ち球は5球種
持ち球はストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種です。
ただカーブは2021年以降は投球していません。
右にスライダー、左にチェンジアップを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にはツーシームとスライダー、左打者にはストレートとチェンジアップの比率が高いです。
3. カウント別
右にはスライダーが決め球
右打者にはスライダーが決め球での投球が増えています。
左打者はカウントで球種割合がほとんど変わらないです。
4. コース
各球種の空振りを奪えるコースが決まってる
上図は球種ごとのベース上の位置です。
各球種の空振りを奪えるコースが決まってます。
ストレートは高め
ツーシームは右イン、左アウト
チェンジアップは左アウトロー
スライダーは右アウトロー、左インロー
への投球が多くて空振りも奪っています。
アウトコース〇
左右関係なくアウトコースの成績が良いです。
5. 対左右成績
対右打者○
被OPSは右が.689、左が.866と右打者が得意です。
また左打者の被本塁打率が高いです。
6. 得点圏成績
対ピンチ○
得点圏の被打率.219、被OPS.736と対ピンチにはやや強いです。
7. ホームアウェイ成績
ホームアウェイ差がない
被打率、防御率がほとんどホームアウェイ差がないです。
8. 球種別成績
ストレート、カットボール、カーブの空振率高い
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートは左被打率.167と左打者に有効です。
ツーシームは右被打率.251で右打者に有効で、ストライク率66%とカウント球としても優秀です。
チェンジアップは左右ともに被打率.250と低いですが、長打率が高く被OPSが高いです。
スライダーは左右ともに被打率.140と低く、空振率17%と高いです。
全体でストライク率60%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率46%(MLB平均48.5%)と、ストライク率が高くありません。
9. リリースポイント
リリースが体に近い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約15cmも体に近いです。
エクステンションは球持ちが良いです。
10. 球速と回転数
ツーシームは平均球速156.7km/h、最高163.0km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速は155.7km/hと、NPB2位相当の球速です。回転数は2093回転と少ないです。
ツーシーム平均156.7km/h
チェンジアップ平均142.1km/h
スライダー平均141.1km/h
と変化球も高速です。
スライダーは回転数が非常に少ないです。
2022年より約2km/h低下
ストレート、ツーシームともに2022年より約2km/h低下しています。
11. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートはシュート気味
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2023年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートはシュート成分が多くシュート気味です。
ツーシームはホップ成分が変化量が小さいシュです。
チェンジアップは縦変化量が少なく横変化量が多いです。
スライダーは変化量が小さいです。
カーブは縦変化量が大きいです。
まとめ
【基本情報】
①最速163.0km/hのツーシーム
②MLB通算
防御率4.58
被打率.232
奪三振率8.9
与四死球率6.0
③奪三振率9.0前後で安定
④3Aでは奪三振率が14.9と高い
⑤グラウンドボーラー
【球種割合・カウント】
①5球種(今季は4球種)
②右にスライダー、左にチェンジアップを多投
③右打者にはスライダーを決め球に使用
【コース】
①次のコースの投球と空振り多い
ストレートは高め
ツーシームは右イン、左アウト
チェンジアップは右インロー、左アウトロー
スライダーは右アウトロー、左インロー
②アウトコース○
【対左右・得点圏成績】
①対右打者◯(右被打率.223)
②左打者への被本塁打率高い
③対ピンチ○
被打率.219
④ホームアウェイ差がない
⇒環境に影響されない?
【球種別成績】
①ストレートは左打者◯(左被打率.167)
②ツーシームは右打者◯(右被打率.251)
③チェンジアップは被打率が低いが長打率高い
④スライダーは被打率.140、空振率17%と優秀
【リリース】
①リリースは約15cmも近い
②スライダーだけ離れてる
③球持ち○
【球速・回転数】
①平均球速156.7km/h、最高163.0km/h
②回転数はやや少ない
③変化球も高速
④スライダーの回転数少ない
⑤今季は約2km/h低下
【変化量】
①ストレートがシュート気味
②ツーシーム、スライダーは変化量小さい
③チェンジアップは横に変化量大
④カーブは縦変化量大
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