第137回 【大谷翔平】打たれたのはフォークの制球が原因?(2021年9月10日投球分析)
現地時間9月10日(日本時間11日)に敵地でのアストロズ戦に出場、投打のリアル二刀流の「2番投手」で先発しました。
投手としては3回1/3を9安打6失点、1奪三振1死球の成績で2敗目、残念ながらベーブ・ルース以来となる「2桁勝利・2桁ホームラン」の達成は持ち越しとなりました。大谷投手がリアル二刀流で敗戦したのはキャリア初のことでした。
これで今季は21試合(21先発)に登板し9勝2敗、防御率3.36。
打者としては1打数1本塁打で初回に44号を放ちましたが、2,3打席目は四球でした。登板後は外野の守備にはつきませんでした。MLB公式サイトによると、「初回に本塁打を放ち、敗戦投手となった選手」は1900年以降で大谷が初の出来事でした。
今回はそんな「大谷翔平投手の2021年9月10日投球分析」を紹介します。
データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。
1. 投球割合
日別投球割合(2021年)
上図は2021年の登板日別の投球割合です。
今回はスライダーの割合が多かったです。そのためストレート、フォークの割合が少なかったです。
左右別投球割合
上は2021年、下は9月10日の左右別の投球割合です。
左右どちらにもスライダーが多かったです。 そのためストレート、フォークの割合が少なかったです。
回別投球割合
今回は終始スライダーを軸に投球していました。どの回もストレートの割合が少なかったです。
2. 球速・回転数
球速・回転数
今回のストレートは平均球速154.8km/h、最高球速158.8km/hでした。
150km/h台後半のストレートが多かったです。また他の球種もいつもより1~6km/h速かったです。
回別平均球速
尻上がりに球速が上がり、2回以降は最後まで154km/h以上をキープしています。
日別平均球速
上図は2021年の登板日別の平均球速です。
6月以降は平均154km/h前後で安定しています。
日別平均回転数(2021年)
全球種の登板日別の平均回転数です。
全球種が緩やかに回転数が減少傾向。開幕当初から緩やかに減少傾向なので、二刀流による疲労が主な原因ではないかと思います。
ただ8月以降は平均2000~2100回転で安定しています。
3. 各成績
対左右成績
左は2021年の平均、右が9月10日の対左右の成績です。
今回は右打者にヒットを多く打たれましたが、左打者にも打たれました。
球種成績
左は2021年の平均、右が9月10日の球種別被打率です。
前回同様にスラッター、スライダーが右打者に打たれました。
フォークで三振が奪えていないのは、他の球種が打たれた原因だと思います。
4 . 変化量
上図は「2021年の平均」、「今回(9月10日)」の変化量です。
投球割合が多かったスライダーはホップ量が多く、横変化量が少なかったです。ホップ量が多いのは良いと思いますが、横変化量も小さいので、打者からするといつもより打ちやすかったみたいです。
5. リリースポイント
上図は「2021年の平均」、「今回(9月10日)」のリリースポイントです。
リリースポイントはいつも通りでした。
6. ベース上のボールの位置
今回(9月10日)の左右打者へのベース上のボールの位置です。
フォークの制球が悪く、ストライクからボールになる球がありません。そのためフォークの投球割合が少なくなり、2ストライクからはほぼスライダーになってしまい、狙い打たれてしまいました。立て直そうと思い、4回先頭の右打者に2ストライクから投げましたが、これがデッドボールになってしまい、ますます使えなくなりました。
実際、敵軍の5番コレア選手も試合後のインタビューで、「フォークがいつもと違い、スライダーに頼る投球だったから対応できた」と発言していました。
右打者にはアウトローに偏りすぎて、インハイの厳しいボールが少なったです。
左打者には際どいボールが少なく、特にスライダーが真ん中付近に集まっています。
まとめ
①スライダーが40%と多投
②平均球速154.8km/h、最高球速158.8km/h
③スライダーの変化量が小さい
④フォークの制球が悪い
⑤右打者にはアウトロー、左打者には真ん中付近に偏っていた
今回は「大谷翔平投手の2021年9月10日投球分析」を紹介しました。
フォークの制球が悪く、 投球割合が少なくなり、2ストライクからはほぼスライダー一択になってしまいました。そして、そのスライダーがいつもより変化量が少なかったので、打たれてしまいました。
球速は出ていたので、フォークの制球さえ戻れば、次回は圧巻の投球をしてくれそうです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません