第56回 【前田健太】2020年の投球分析
10. 打球の種類比率・リスク管理
打球の種類比率
前田投手はメジャー平均よりもゴロ率が高いです。これは低めのボール球を打たせているからだと思います。
リスク管理
前田投手は、メジャー平均よりも空振り三振を奪うのが多いことが分かります。
ただ気になるのは被打率が低いにも関わらず、被本塁打率が高いことです。
特にスライダーは投球割合が多いにも関わらず、被本塁打率が高いので改善する必要がありそうです。
11. 空振り率・見逃し率
投球割合が多いチェンジアップとスライダーの空振り率が高いので、投球が楽になっていそうです。
その2球種のおかげかストレートは見逃しでストライクを取れています。
12. まとめ
①球種が多彩で、特にストレート、チェンジアップ、スライダーのバランスが良い
②チェンジアップの落差が大きい
③ほとんどの球種の軌道が似ている
④制球力が良く、ボールゾーンに投げた球のスイング率(O-Swing%)が高い
今回は「前田健太投手の投球分析(2020年)」を紹介しました。
前田健太投手の最大の凄さは「打者が何(どの球種)を投げられたのかが分からない」ことです。その結果、ボールゾーンに投げた球のスイング率(O-Swing%)が高く、打者を抑えられているのだと思います。
2020年の安定感を考えると、2021年も活躍してくれそうです。
以下は前田健太投手について、最後に無理矢理改善点を2つ上げてみました。
①スライダーの制球
②カットボールの改良
①スライダーの制球
スライダーの被本塁打率が高いので、もう少しスライダーをコースギリギリに投げても良いと思います。それだと他の投手は四球が多くなったり、ボール先行になりがちで悪循環になりますが、前田投手は制球が良いので問題ないと思います。
②カットボールの改良
カットボールの被打率が高いのは、スライダーと変化が似すぎているためだと思います。そのため、もう少し浮き上がるような「カットライズ」に改良した方が良いと思いました。ただ、これは簡単なことではなく、前田投手はドジャース時代にジャンセン投手(浮き上がるようなカットボーラーの代名詞)に投げ方を聞いたけど、よく分からなかったそうです。もし投げられないのであれば、むしろカットボールは投げなくても良いかもしれません。