第376回 【大谷翔平】多彩な球種で6回2安打1失点9K(2023年5月21日投球分析)
2023年5月21日(日本時間5月22日)、大谷翔平投手(28)が本拠地アナハイムでのツインズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回を投げて99球、被安打2、被本塁打0、四死球4、奪三振9、失点1でしたが勝敗は付きませんでした。
4試合連続3失点以上していましたが、今回は多彩な球種で1失点の快投でした。5回の2死一塁からは4者連続三振を奪うなど最後は圧倒的な投球でした。
これで被打率.142はMLB1位、シーズン80奪三振はMLB3位、奪三振率12.2はア・リーグ1位となりました(5月21日時点)。
打者としては3打数1安打1四球でした。
今回はそんな「大谷翔平投手の2023年5月21日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
縦スラを久しぶりに投球
今回はストレート、ツーシーム、スプリーム、フォーク、カットボール、縦スラ、スライダーの7球種をバランスよく投球しました。
縦スラを久しぶりに投球、今回はカーブは投げませんでした。
あまりに多彩すぎてトラックマンデータも球種を誤判定していたので、握りで球種を再判別しました。
大谷翔平投手が試合後に語ったようにMLB公式の球種判別は間違っていることがあるみたいです。
※当ブログでは握りが違う「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左打者の球種バランスが良い
上は2022年、下は今回の左右投球割合です。
右打者はストレート、ツーシーム、スライダーの3球種で86%と大半を占めていますが、左打者は6球種をバランスよく投球しました。
全ての回で5球種以上を投球
試合後の本人が「球種のバランスを意識した」とコメントした通り、全ての回で5球種以上を投球しました。
フォークで中々ストライクが取れず、3回までは球数が増えてしまいました。そのためフォークは4回以降は投球しませんでした。
2. コース
左打者のインコースで空振り量産
前回は左右共にアウトコース中心の配球でしたが、今回は左打者のインコースに多投して空振りを量産しました。
3. 対左右成績
左打者から6奪三振
上図は今回、2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
今まで左打者に打たれてましたが、今回は左打者から6奪三振を奪いました。
4. 球種成績
空振率20%以上が5球種も
全体でストライク率63%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率44%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率が低いことが球数が増えた要因でした。
特にスプリーム、フォーク、縦スラはストライク率とゾーン内率が低く制球に課題があります。
5球種が空振率20%以上と高く、空振りが22球もありました。
5. リリースポイント
リリース位置が体に近く低い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
2022年よりリリース位置が低く体に近いです。
今回もスライダーを上から投げたり、横から投げたりしていました。
6. 球速と回転数
平均球速156.2km/h、最高159.6km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速156.2km/h、最高球速159.6km/h、回転数は2250回転でした。
2022年よりツーシームとスライダーは約4km/h遅いです。
球速、回転数ともに今季平均くらい
上は登板日別の平均球速と回転数の図です。
ストレートの平均球速156.2km/h、回転数2250回転は今季平均くらいでした。
最後まで球速維持
上は球種ごとの回別平均球速です。
6回も157.3km/hと最後まで球速を維持しました。
ただ1〜5回は徐々に球速が落ち、5回は153.7km/hまで球速が落ちていました。
7. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートはギアが上がるとホップ成分が増加
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはギアが上がるとホップ成分が増加しました。
ツーシームは変化量が2グループあり、変化量を調整していたみたいです。
縦スラは球速が速い分、2022年より縦変化量が小さいです。
スライダー(スイーパー)はカーブのように縦に回転をかけるようなリリースの時は縦変化量が大きいです(スラーブ?)。
まとめ
①被打率.142はMLB1位
②シーズン80奪三振はMLB3位
③7球種(握りで球種を判定)
④縦スラを久しぶりに投球
⇒カットボール、スライダーとは違う握りと回転
⑤右打者は3球種で86%、左打者は6球種のバランスが良い
⑥全ての回で5球種以上を投球
⑦フォークは4回以降は0球
⑧左打者のインコースで空振り量産
⑨左打者から6奪三振
⑩空振率20%以上が5球種も
⑪スプリーム、フォーク、縦スラはストライク率低い(制球に課題)
⑫スライダーを上から投げたり、横から投げたり
⑬2022年よりツーシームとスライダーは約4km/h遅い
⑭6回に球速を上げて3連続三振
⑮ストレートはギアが上がるとホップ成分が増加
⑯ツーシームは変化量が2グループ
⑰縦スラは2022年より縦変化量が小さい
⑱スライダーの握りでカーブのようなリリース(スラーブ?)
【ストレート】
平均球速156.2km/h
最高159.6km/h
平均2250回転
ホップ量35cm、シュート成分7cm
今回は「大谷翔平投手の2023年5月21日投球分析」を紹介しました。
6回を投げて99球、被安打2、被本塁打0、四死球4、奪三振9、失点1でしたが勝敗は付きませんでした。
色んな球種を試しているので次回登板のマーリンズ戦が楽しみです。
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