第89回 【球種分析】ストレートに必要なのはシュート?スライド?(トラックマンデータで検証)
シュート成分について色々な意見を聞くことがありますが、それぞれの意見は本当なのでしょうか?
ということで、今回は「ストレートのシュート成分」について検証します。
使用したデータはBaseball Savantの2020年右投手のトラックマンデータです。今回は左右差の影響が無いように右投手のみにしました。
検証方法
上図のように、ストレートをシュート成分量別に8グループに分けました。
ただし、「RyanThompson」「Darren」「AdamCimber」「TylerRogers」の4投手は、サイドスローやアンダースローの特殊なフォームなので今回は省きました。
このシュート成分量別の8グループについて検証していきたいと思います。
検証①「シュートするストレートは空振率、見逃率が低い」
上図はシュート成分別の空振率と見逃率です。空振率はシュート成分に関係なく、ほぼ一定である。見逃率に関してはシュートする方がやや上昇していますが、明瞭な差があるわけではありません。
✔空振率はシュート成分に関係なく、ほぼ一定
✔見逃率はシュートするとやや上昇
検証②「シュートすると長打が打たれやすい」
上図はシュート成分別のリスク管理の図です。シュート成分が増加すると長打の割合がやや増える傾向にあることが分かります。
シュート成分が増加すると長打の割合がやや増える
検証③「平均くらいのボールが一番打たれやすい」
上図はシュート成分別の被打率の図です。シュート成分が増加すると被打率がやや上昇する傾向にあることが分かります。ただし、これは右打者の影響が大きく、左打者に関してはやや低下します。
どちらにしても平均(18cm)くらいのボールが一番被打率が高いとは言えません。
✔シュート成分が増加すると、被打率がやや上昇
✔左打者に関しては、被打率がやや低下
検証④「シュートするストレートは回転数が多いが、球速が遅い」
上図はシュート成分別の回転数と球速の図です。シュート成分が増加すると平均(18cm)付近までは球速は上昇して、回転数は減少します。
平均(18cm)付近を過ぎると回転数は増加します。シュート成分が35cm以上になると球速が低下します。
球速が低下する要因は、シュート成分が35cm以上になるとサイドスローの投手の割合が増えるためだと考えられます。
✔平均よりシュートすると、球速と回転数が上昇
✔シュート成分が35cm以上は球速低下(サイドスローの影響)
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