第100回 【球種分析】ナックルは本当に無回転でランダム変化なのか?(トラックマンデータで検証)
皆さんの好きな変化球は何ですか?
筆者が一番好きな変化球は「ナックル」です。
「本当にほぼ無回転なの?」
「本当にランダムなの?」
「リリースポイントはどうなってるの?」
などなど、ブログを始めてからずっとナックルについて分析したいと思っていました。
ということで、今回は第100回を記念して「ナックルの球種分析」を紹介します。
データはBaseball Savantを使用します。
1. 現状、ナックルボーラーは絶滅危惧種
ナックルについて分析する前に、ナックルボーラーの現状について調べてみました。
メジャー(MLB)
昨年(2020年)にナックルを投げたのは、敗戦処理で投げた野手の2人だけでした。
今のトラックマンデータの規格になった近年(2015年~2020年)では、敗戦処理の野手を除くと純粋なナックルボーラーは「R.A.ディッキー投手」「スティーブン・ライト投手」の2人だけでした。
そのため今回のナックルの球種分析はこの2人について調べます。
「R.A.ディッキー投手」は2017年で引退、「スティーブン・ライト投手」はマイナーなので、メジャー(MLB)には現在ナックルボーラーは存在しませんミッキー・ジャニス投手のみ。
※6月23日追記
オリオールズ傘下3Aノーフォークのミッキー・ジャニス投手が22日(日本時間23日)、メジャー初昇格を果たしました。
今季はマイナーで7試合に登板し0勝1敗、防御率2.92をマークしていて、33歳にして初のメジャー昇格です。
プロ野球
現在のプロ野球(NPB)のナックルボーラーは広島の「佐々木健投手」だけです。その「佐々木健投手」は2018年育成ドラフトで入団し、2020年からナックルを習得してナックルボーラーになろうとしている段階です。
横浜の「山崎康晃投手」は、プロ入り時はナックルをアクセントで投げると言われていましたが、他の球種に悪影響が出るためほぼ封印しました。
独立リーグまで広げると火の国サラマンダーズの「佐野大河投手」がいます。「佐野大河投手」は千葉大学時代に投球動画で「ナックル大学生」として話題になったので、名前を聞いたことがあるかもしれません。現在は火の国サラマンダーズからプロ野球(NPB)入りを狙っています。
現状はプロ野球(NPB)の一軍にナックルボーラーはいないです。
高校野球
高校野球ではたまにナックルを投げると噂の選手が出てきます。最近では、奈良の桜井高校の「岡本斉悟投手」が話題になっています。
アクセントで投げる投手はいると思いますが、ほぼナックルを投げるのは「岡本斉悟投手」ぐらいだと思います。
2. なぜナックルを投げないのか?
ナックルボーラーが絶滅しそうな原因を考えると主に次の5つだと思います。
①他の球種に悪影響
ナックルは指を弾く動作が独特なため、他の球種に悪影響を及ぼす可能性が高いです。
また、指に負担が掛かるので疲労をためやすく、そもそもフォームを崩す危険性もあります。
②ストライクが入らない
ナックルは「投手もどう変化するか分からない」と言われるように、変化方向や変化幅の調整が難しく、ストライクが入りにくいです。
③捕手が捕るのが難しい
「どう変化するか分からない」ため、打者だけなく捕手も捕ることが難しいです。
④盗塁がされやすい
上記のように捕手が捕りにくいため、捕手が送球体勢を作りにくいので盗塁がされやすいです。
そもそも落ちるボールは盗塁がされやすく、ナックルボーラーはナックルの確率が高いこともあり、ランナーがスタートを切りやすいです。
⑤指導者が少ないし、勧めにくい
ナックルを投げたことがある指導者が少ないですし、指導者も上記のようにデメリットが多い「ナックル」を勧めにくい。
3. 本題「本当に無回転でランダム変化なのか?」の予想
話を本題「本当に無回転でランダム変化なのか?」に戻すと、回転についてはほぼ無回転と言われていますので500回転以下ぐらいだと予想します。
変化量については次の5パターンぐらいを予想しました。
予想①「縦は大きく落ちて、左右も変化幅が大きい」
基本的にナックルは落ちて、一番変化するカーブくらいの落差がある。左右はツーシームからスライダーまでランダムに変化する。
予想②「シュート方向に偏る」
ストレートと同じようにシュート方向に変化が偏る。
予想③「スライダー方向に偏る」
指で弾く時に人差し指よりも中指の方が長い関係で、カーブのようにスライダー方向に変化が偏る。
予想④「チェンジアップ、フォークに近い変化」
回転数が少ない変化球であるチェンジアップやフォークに近い変化をする。
予想⑤「広範囲にランダム変化」
ストレートのように伸びることもあれば、カーブのように沈むことがある。ツーシームのようにシュートすることもあれば、スライダーのようにスライドすることがある。文字通り、どこに行くか分からないランダム変化。