第160回 【西武】2022年新外国人エンス投手の投球分析
11月18日、レイズのディートリック・エンス投手が日本のプロ野球を含むアジア球界へ移籍すると地元タンパベイ・タイムズ紙が伝えました。
その後、11月20日に西武が獲得調査していることが報じられ、11月22日に獲得したと正式に発表しました。
そのため、今回は「【西武】2022年新外国人エンス投手の投球分析」を紹介します。
データはメジャーで登板した2017年と2021年のBaseball Savantとfangraphsデータを使用します。
基本情報
メジャーではリリーフ、3Aでは先発
所属球団 | ミネソタ・ツインズ (2017) タンパベイ・レイズ (2021) |
ポジション | リリーフ、先発 |
投打 | 左投左打 |
生年月日 | 1991年5月16日(30歳) |
身長 | 185.4 cm |
体重 | 95.3 kg |
2021年は成績が大幅に良化
2016~2017年は3Aで先発として活躍し、2017年途中にリリーフとしてメジャーデビューしました。しかし、あまり活躍出来ませんでした。
2018~2019年は制球が安定せず、3Aでも打ち込まれました。
2021年は7月末までに3Aで14試合(先発10試合)に登板して6勝2敗、防御率2.44、被打率.177、奪三振率11.3と圧倒的な成績を記録しました。その後、メジャーで9試合登板で2勝2セーブ1ホールド、防御率2.82、被打率.235、奪三振率10.1と活躍しました。
2021年はストレート、カットボールのほぼ2球種
2021年の持ち球はストレート、カットボール、チェンジアップ、カーブの4球種です。
ただ投球のほとんどがストレート、カットボールのほぼ2球種でした。
投球割合に左右差無し
左打者の時にストレートの割合が少し増えますが、ほとんど左右差はありません。チェンジアップは右打者のみに投球しました。
2球種とも決め球になる
ストレート、カットボールはどのカウント状況でも同じくらいの割合です。
カーブは初球、チェンジアップは決め球に使用することが多いです。
リリースポイントはメジャー平均
リリースポイントはメジャー平均くらいです。
左打者には長打を打たれてない
右の被打率.209、左の被打率.200とそれほど差はありませんが、OPSだと右OPS.582と左OPS.494と差があります。
被打率が低く、奪三振率が高い
チェンジアップ、カーブは投球数が少なかったから参考になりません。
投球数が多かったストレート、カットボールは被打率が低く、奪三振率が高かったです。
球速が7km/hも上がる
ストレートは「2017年の平均球速144.5km/h」→「2021年平均球速151.6km/h」と7.1km/hも上昇していて、回転数も200回転上昇してメジャー平均並です。
変化球の回転数はメジャー平均より200~450回転くらい少ないです。
伸びのある真っスラ、縦に落ちるカットボール
2017年に比べると2021年は変化量が安定しています。
ストレートは縦変化量44cm、横変化量14cmの伸びのある真っスラです。
カットボールは縦変化量7cm、横変化量-9cmでメジャー平均より縦に落ちる変化です。
チェンジアップは縦変化量25cm、横変化量35cmで、ほぼメジャー平均のシュートしながら落ちるボールです。
カーブは縦変化量-26cm、横変化量-10cmで、横変化が少なくて縦に落ちるボールです。
右には高めにストレート、インローにカットボール
右打者には高めにストレート、インローにカットボールを投げるのが基本です。
左打者にはアウトハイとアウトローにストレート、ストライクゾーンの左上の三角エリアにカットボールを投げるのが基本です。
軌道は似ている
ストレート、カットボール、カーブのピッチトンネルまでの軌道がかなり似ています。
まとめ
①メジャーではリリーフ、3Aでは先発
②2021年に成績良化、球速7km/hアップ
③ストレート、カットボールのほぼ2球種
④投球割合に左右差無し
⑤2球種とも決め球
⑥左打者に長打無し
⑦2球種とも被打率が低く、奪三振率が高い
⑧平均151.6km/h、2246回転
⑨伸びのある真っスラ
⑩カットボールの縦変化量が大きい
⑪球種間の軌道は似ている
今回は「【西武】2022年新外国人エンス投手の投球分析」を紹介しました。
メジャーではリリーフ、3Aでは先発をしています。
2021年には球速が7km/h以上も上がったことで、被打率.235、奪三振率10.1と活躍しました。
ストレートは平均151.6km/h(NPB3位相当)、2246回転で伸びのある真っスラ、カットボールは縦に大きく沈むボールです。
チェンジアップとカーブはメジャーでは投球数が少なかったですが、変化量的に有効そうなボールで、先発時には投球割合が増えそうです。
日本では3人しかいない平均150km/h以上の投手で、制球力もあることから日本でも活躍しそうです。