第267回 【大谷翔平】日本人初の6試合連続2桁奪三振(2022年7月28日投球分析)
2022年7月28日、大谷翔平投手(28)が本拠地エンゼルスタジアムでのレンジャーズ戦に「1番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回を投げて98球、被安打8、四死球0、奪三振11、2失点と好投しましたが、援護がなく6敗目。
6試合連続2桁奪三振は、野茂英雄投手を抜いて日本人最長記録となりました。また、ノーラン・ライアン投手が持つ球団記録の7試合連続にも王手となりました。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年7月28日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
スライダーを50%と多投
今回はストレート、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの5球種を投球しました。
スライダーを50%と多投し、ストレートはわずか15%で、ツーシーム、スプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左右ともにスライダーを多投
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
左右ともにスライダーを多投し、フォークとカーブは左打者のみに投球しました。
2. コース
左打者に打たれたのはアウトコース
右打者はアウトコースのスライダーで空振りを量産しました。
一方、左打者はアウトコースと膝元に投げ分けています。特にフォークは膝元から多く落とせていました。
左打者に打たれたのは全てアウトコースでした。
3. 各成績
左打者に打たれた
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
左打者に7安打とかなり打たれました。ただ2~4番に6安打なので、左打者に打たれたというよりは主軸に打たれました。
右打者にスライダーは打たれなかった
今回は空振りが21個(前回16個)と、前回同様に空振りを多く取れました。
特にスライダーは空振りが14個(前回5個)と激増しました。
全体としてもストライク率68%(前回74%)、ゾーン内率54%(前回54%)とゾーン内で勝負出来ていました。
投球数が少なかったストレート、カーブは2安打打たれましたが、投球数が多かったスライダーは右打者に0安打と打たれませんでした。
4. リリースポイント
リリース位置は体から遠くて低い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
全球種のリリース位置が体から遠くて低いです。
球持ちはいつもぐらいでした。
5. 球速と回転数
平均球速158.0km/h、最高161.7km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速158.0km/h、最高球速161.7km/h、回転数は2192回転でした。
カーブは球速が遅いスローカーブ、球速が速く回転数が多いパワーカーブの2種類を投球しました。
平均球速は出ていた
ストレートは平均球速158.0km/hで今季の中では4番目に速い方でした。
回転数は2192回転と今季の中では平均的でした。
6回は平均159.3km/h
ストレートの投球数を増やした6回は平均159.3km/hと球速が出ていました。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
フォークが不安定
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはいつものように真っスラ気味です。
フォークは変化量が不安定で、最後のライトフライも全く落ちないフォークだったのでホームランにされてもおかしくないボールでした。
スラッター、スライダー、カーブは2022年平均くらいです。
まとめ
①スライダーを50%と多投
②右のアウトコースのスライダーで空振り量産
③空振りが21個(前回16個)
④スライダーで空振り14個(前回5個)
⑤平均158.0km/h、最高161.7km/h
⑥平均2190回転、ホップ量37cm
⑦フォークの変化量が不安定
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年7月28日投球分析」を紹介しました。
6回を投げて98球、被安打8、四死球0、奪三振11、2失点と好投しましたが、援護がなく6敗目。
投球数が少なかったストレート、カーブは2安打打たれましたが、50%と多投したスライダーは右打者に0安打と打たれませんでした。
左打者はアウトコースと膝元に投げ分け、特にフォークは膝元から多く落とせていましたが、アウトコースを7安打されました。
フォークは投球コースは良かったですが、リリース位置の関係なのか変化量が不安定でした。
ストレートは平均球速158.0km/hで今季の中では4番目に速い方でしたので調子自体は悪くないので、次回登板では圧倒的な投球を見られると期待したいです。