第271回 【大谷翔平】104年振りの2桁勝利&2桁本塁打(2022年8月9日投球分析)
2022年8月9日、大谷翔平投手(28)が敵地オークランドコロシアムでのアスレチックス戦に「2番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回を投げて91球、被安打4、四死球3、奪三振5、0失点で10勝目。
これで1918年のベーブ・ルース選手以来、104年振りの「2桁勝利&2桁本塁打」を達成しました。
打っては25号本塁打を放つなど、3打数2安打(1四球)の活躍でした。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年8月9日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
スライダーを42%と多投
今回はストレート、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの5球種を投球しました。
スライダーを42%と多投し、ストレートはわずか16%で、ツーシーム、スプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左打者にスライダーを多投
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
左打者にスライダー40%と多投しましたが、スラッターは1球も投げませんでした。
右打者にはフォーク18%、スラッター19%を多投しました。
2. コース
左打者に打たれたのは真ん中付近
右打者はフォークとスライダーで空振りを量産しました。
一方、左打者は膝元への投球が少なく、左打者に打たれたのは真ん中付近ばかりでした。特にフォークがベース上から落とせなかったため、空振りを奪えませんでした。
3. 各成績
左打者に打たれた
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
左打者に3安打と打たれ、左打者の奪三振が0でした。
ストレートのゾーン内率が高い
今回は空振りが13個(前回18個)と、いつもより少なかったです。
特にスライダーは空振りが7個(前回14個)と減りました。
ストレートは空振りが0でしたが、ストライク率73%(前回50%)、ゾーン内率60%(前回45%)と前回よりストライクを取れていました。
4. リリースポイント
リリース位置は体から遠く、球持ちが良い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
全球種のリリース位置が体から遠く、球持ちが良かった。
スライダーはほぼサイドスローのボールが1球ありました。
5. 球速と回転数
平均球速156.4km/h、最高159.8km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速156.4km/h、最高球速159.8km/h、回転数は2170回転でした。
カーブは球速が遅いスローカーブ、球速が速く回転数が多いパワーカーブの2種類を投球しました。
最近のなかでは球速が出ていなかった
ストレートは平均球速155.9km/hで前回よりは出ていますが、直近5試合の中では出てませんでした。
回転数は2170回転と今季の中では平均的でした。
球速は尻上がり
尻上がりに球速が上がっていましたが、6回は平均155.5km/hと球速が下がりました。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートがシュート回転
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはいつもとは違い、MLB平均くらいシュート成分が多かったです。
フォークは変化量が安定して、前回までの全く落ちないフォークはありませんでした。
スラッター、スライダー、カーブは横変化量が少なかったです。
まとめ
①スライダーを42%と多投
②真ん中付近を左打者に打たれた
③空振りが13個(前回18個)
④右打者から空振り12個
⑤リリース位置は体から遠く、球持ちが良い
⑥平均156.4km/h、最高159.8km/h
⑦平均2170回転、ホップ量37cm
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年8月9日投球分析」を紹介しました。
6回を投げて91球、被安打4、四死球3、奪三振5、0失点で10勝目。
これで1918年のベーブ・ルース選手以来、104年振りの「2桁勝利&2桁本塁打」を達成しました。
ストレートは平均球速156.4km/h、最高球速159.8km/h、回転数は2170回転で、いつもとは違い、MLB平均くらいシュート成分が多かったです。
左打者は膝元への投球が少なく、左打者に打たれたのは真ん中付近ばかりでした。特にフォークがベース上から落とせなかったため、空振りを奪えませんでした。
そこまで好調ではありませんでしたが、6回無失点と抑えられているので、次回登板では調子を上げて奪三振ショーを見せて欲しいです。