第321回 【楽天】2023年新外国人マニー・バニュエロス投手の投球分析
2022年12月8日、楽天が新外国人選手として前パイレーツのマニー・バニュエロス投手(31)を獲得したと発表しました。1年契約の推定年俸1億円で背番号は「54」。
バニュエロス投手はメキシコ出身で台湾・メキシカンリーグなどの国際経験が豊富で、多彩な変化球を操る技巧派左腕です。
今回はそんな「【楽天】2023年新外国人マニー・バニュエロス投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報
台湾、メキシカンリーグも経験
所属球団 | アトランタ・ブレーブス (2015) シカゴ・ホワイトソックス (2019) 富邦ガーディアンズ (2020 – 2021) モンテレイ・サルタンズ (2021) ニューヨーク・ヤンキース (2022) ピッツバーグ・パイレーツ (2022) |
ポジション | 先発、リリーフ |
投打 | 左投右打 |
生年月日 | 1991年3月13日(31歳) |
身長 | 177.8 cm |
体重 | 97.5 kg |
被本塁打が少ないグラウンドボーラー
MLB通算で58試合に登板して防御率5.64、被打率.270、奪三振率8.0、与四死球率5.3です。また2022年はゴロ率54%(MLB平均45%)と高いグラウンドボーラーです。
2020年〜2021年は台湾で35試合に登板して防御率2.76、被打率.218、奪三振率10.9、与四死球率4.9でした。
投手としての特徴は「被本塁打が少ない」「与四死球が多い」「5球種の投球バランスが良い」「ゴロが多い」「リリースが見にくい」「スライダーはスイーパータイプ」などがあげられます。
2. 球種・投球割合
5球種をバランスよく投球
持ち球はストレート、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ、スライダーの5球種です。
2022年は5球種をバランスよく投球しています。
右にチェンジアップ、左にスライダー多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にチェンジアップ、左打者にスライダーを多投しています。
ツーシームはカウント球、カットボールとチェンジアップは決め球
ツーシームはカウント球、カットボールとチェンジアップは決め球で多く使用しています。
3. コース
ベースの右にツーシームとチェンジアップ、左にカットボールとスライダー
ベースの右にツーシームとチェンジアップ、左にカットボールとスライダーを投球しています。
左右ともにインロー〇
左右ともにインローと真ん中高めの成績が良いです。
4. 各成績
対左打者が得意
左打者の被打率.207、被OPS.553と左打者に強いです。
3A通算でも左打者の被打率.229と対左打者の成績が良いです。
対ピンチに弱い
得点圏の被打率.283、被OPS.834と高く、対ピンチに弱いです。
ストレートとチェンジアップとスライダーが優秀
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートは被打率.167と優秀です。
チェンジアップとスライダーは被打率と被OPSが低く空振率15%以上と高いです。
全体ではゾーン内率45%と低いため、ストライク率は59%しかありません。
5. リリースポイント
リリースが見にくい
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均より約20cmもリリースが低いです。
エクステンションは長くて球持ちが良いです。
球種間のリリース位置の差が小さいので、打者は見極めにくいと考えられます。
6. 球速と回転数
平均球速150.8km/h、最高153.7km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は150.8km/hでMLB平均くらいですが、NPB先発左腕最速レベルです。回転数は2049回転とかなり少ないです。
ツーシムも同様の傾向です。
チェンジアップは平均的です。
カットボール、スライダーは球速は遅いですが回転数が多いです。
球速が急上昇
2015年は144km/hでしたが、2022年は平均球速は150.8km/hと急上昇しています。
ただこれはリリーフ登板が増えたためかもしれません。
回転数は2100回転前後で安定しています。
7. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
変化球は変化量大
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはシュート成分29cmでノビのないシュートドロップです。
ツーシームとカットボールとチェンジアップはMLB平均より変化量が大きいです。
スライダーは大谷翔平投手と同じスイーパータイプで、横変化量26cmと横に大きく曲がるスライダーです。
まとめ
①台湾・メキシコなど国際経験豊富
②MLB通算で防御率5.64、被打率.270、奪三振率8.0、与四死球率5.3
③グラウンドボーラー
⇒2022年はゴロ率54%(MLB平均45%)
④被本塁打が少ない
⑤与四死球が多い
⑥5球種をバランスよく投球
⑦右にチェンジアップ、左にスライダー多投
⑧ツーシームはカウント球、カットボールとチェンジアップは決め球
⑨両サイドに逃げる球を多投
⑩左右ともにインロー〇
⑪左打者が得意(対左.207)
⑫ピンチに弱い(得点圏.283)
⑬ストレート被打率.167
⑭チェンジアップとスライダーの空振率高い(15%と17%)
⑮リリースが見にくい
⇒リリースが低く球種間の差が小さい
⑯平均球速150.8km/h、最高153.7km/h
⑰球速が年々上昇(リリーフ登板が増えたから?)
⑱ストレートはシュートドロップ
⑲スライダーは横に大きく曲がる(スイーパー)
バニュエロス投手はメキシコ出身で台湾・メキシカンリーグなどの国際経験が豊富で、多彩な変化球を操る技巧派左腕です。
MLB通算で58試合に登板して防御率5.64、被打率.270、奪三振率8.0、与四死球率5.3です。また2022年はゴロ率54%(MLB平均45%)と高いグラウンドボーラーです。
2020年〜2021年は台湾で35試合に登板して防御率2.76、被打率.218、奪三振率10.9、与四死球率4.9でした。
投手としての特徴は「被本塁打が少ない」「与四死球が多い」「5球種の投球バランスが良い」「ゴロが多い」「リリースが見にくい」「スライダーはスイーパータイプ」などがあげられます。
ストレートの平均球速は150.8km/hでMLB平均くらいですが、NPB先発左腕最速レベルです。回転数は2049回転とかなり少なくシュートドロップですが被打率が低いです。
右打者に多投するチェンジアップは変化量が大きく空振率が15%もあります。
スライダーは横変化量26cmと横に大きく曲がるスライダーで空振率が17%もあります。