第368回 【大谷翔平】6回5失点もサイクル未遂で4勝目(2023年4月27日投球分析)
2023年4月27日(日本時間4月28日)、大谷翔平投手(28)が本拠地アナハイムでのアスレチックス戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回を投げて93球、被安打3、四死球5、奪三振8、失点5ですが4勝目。
3回までは完全投球でしたが4回に突然の大乱調。先頭に死球を与えると制球が乱れれ置きに行ったボールで2被弾5失点しました。しかしその後は立ち直り6回まで投げて4勝目を手に入れました。
この試合の打者としては内野安打、左中間への二塁打、右中間への三塁打を放って迎えた8回裏の最終第5打席、センター方向へ高々と舞い上がりましたがフェンス2m手前で失速。惜しくも外野フライとなりMLB史上初の「先発投手によるサイクル安打」を逃しました。
これで10先発連続で被安打3以下となり、1901年以降ではジェイコブ・デグロム投手(10試合連続)に並ぶ記録を達成、シーズン46奪三振はア・リーグ1位になりました。(4月27日時点)
開幕から6先発を終えた時点での被打率.102は1916年以降1位となりました。
また3巡目以降は被打率.000(31打数0安打)と毎試合尻上がりに調子を上げています。
今回はそんな「大谷翔平投手の2023年4月27日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
ツーシームは3試合ぶりに投球
今回はストレート、ツーシーム、フォーク、カットボール、スライダー、カーブの6球種を投球しました。
ツーシームは3試合ぶりに投球しました。
スプリーム、縦スラは投げませんでした。
※当ブログでは「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
ツーシームは右打者のみ
上は2022年、下は今回の左右投球割合です。
2022年と同じようにツーシームは右打者のみ、スライダーは右打者に多投、カットボールは左打者にも多投しました。
4回だけ球数が多い
制球を乱して5失点した4回だけ球数が多いです。
また4回だけストレート、カットボール、スライダーの3球種のみでした。
2. コース
ボールゾーンの空振りが多い
今季はボールゾーンの球を振って貰えませんでしたが、今回は右打者のスライダーのボールゾーンの空振りが多かったです。
また高めのストレートの空振りも多かったです。
3. 対左右成績
右打者に被弾2
上図は今回、2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
昨年は左打者の被弾が多かったですが、今回は右打者に被弾2でした。
4. 球種成績
ゾーン内率61%と高い
全体でストライク率67%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率61%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率が高かったです。
特にストレートはゾーン内率72%、カットボールはゾーン内率87%と高く、ゾーン内率の方が高いという不思議な現象になっています。この理由としては「際どいゾーン内の球をボールとコールされた」が考えられます。
またストレートの空振率16%と高いです。
5. リリースポイント
リリースでスライダーの変化量を調整?
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
2022年よりリリース位置が低く体に近いです。
スライダー(スイーパー)はリリース位置が高いとホップ成分少なく、リリースでスライダーの変化量を調整していそうです。
6. 球速と回転数
平均球速156.9km/h、最高162.9km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速156.9km/h、最高球速162.9km/h、回転数は2255回転でした。
最高球速162.9km/hは今季最速でMLB先発3位タイです。
ツーシームは回転数が低いですが、後述するように回転軸が不安定でちゃんと測定出来てるか怪しいです。
スライダーは2022年より約4.5km/h遅いです。
カーブはスローカーブと、球速が速く回転数が多いパワーカーブの2種類を投げ分けていました。
回転数は今季最小
上は登板日別の平均球速と回転数の図です。
今回の平均球速は2022年くらいでした。
回転数は今季最小の2255回転でした。それでも2022年平均の2220回転より多いです。
6回は球速ダウン
上は球種ごとの回別平均球速です。
5回までは157km/hくらいをキープしていましたが、7回に152.6kmと約5km/hも低下しました。
7. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーの横変化量46cm
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートはいつもぐらいの真っスラでした。
ツーシームは変化量が小さい球が多いです。
カットボールは2022年くらいの変化量です。
スライダー(スイーパー)は2022年以上の横変化量46cmと凄い曲がり幅でした。リリース位置が高いとホップ成分が少なく、リリースでスライダーの変化量を調整していそうです。
カーブは2022年より変化量が大きかったです。
まとめ
①4回のみ大乱調
②シーズン46奪三振はア・リーグ1位
③10先発連続で被安打3以下
(デグロム投手の10試合がMLB記録)
④開幕6先発での被打率.102(1916年以降1位)
⑤3巡目以降は被打率.000(31打数0安打)
⑥3試合ぶりにツーシームを投球
⑦右にスライダー、左にカットボールの比率高い
⑧崩れた4回だけ3球種のみ
⑨ボールゾーンの空振り多い
⑩ゾーン内率61%と高い
⇒特にストレートとカットボール
⑪ストレートの空振率16%と高い
⑫今季最速162.9km/h(MLB先発3位タイ)
⑬スライダーの中で約20km/hの緩急
⑭カーブは2種類
⑮6回は約5km/h球速低下
⑯スライダー(スイーパー)はリリースで変化量調整?
⇒リリース位置が高いとホップ成分少
⑰スライダーの横変化量46cmと驚異的
【ストレート】
平均球速156.9km/h
最高162.9km/h
平均2235回転
ホップ量37cm、シュート成分10cm
今回は「大谷翔平投手の2023年4月27日投球分析」を紹介しました。
6回を投げて93球、被安打3、四死球5、奪三振8、失点5ですが4勝目。
3回までは完全投球でしたが4回に突然の大乱調。先頭に死球を与えると制球が乱れれ置きに行ったボールで2被弾5失点しました。しかしその後は立ち直り6回まで投げて4勝目を手に入れました。
この試合の打者としては内野安打、左中間への二塁打、右中間への三塁打を放って迎えた8回裏の最終第5打席、センター方向へ高々と舞い上がりましたがフェンス2m手前で失速。惜しくも外野フライとなりMLB史上初の「先発投手によるサイクル安打」を逃しました。
ストレートは空振率16%と高く、最高球速162.9km/hは今季最速(MLB先発3位タイ)で球威がありました。
ツーシームも3試合ぶりに投球しており、調子事態は良さそうなので次回登板のカージナルス戦が楽しみです。