第374回 【大谷翔平】7回5失点もまたサイクル王手で5勝目(2023年5月15日投球分析)
2023年5月15日(日本時間5月16日)、大谷翔平投手(28)が元祖二刀流ベーブ・ルースの生誕地ボルティモアでのオリオールズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
7回を投げて98球、被安打4、被本塁打3、四死球2、奪三振5、失点5でしたが今季5勝目。
3被弾はキャリアワーストで大谷翔平投手は自身初の4試合連続3失点以上となりました。
シーズン71奪三振はア・リーグ1位となりました(5月15日時点)。
スプリームは今季初投球で2022年よりもサイド回転でチェンジアップに近い変化でした。
打者としては特大の勝ち越し9号スリーランを放つなど、第4打席の3塁打でまたもやサイクル安打に王手となりました。2塁打を打てばサイクル安打となる最終打席はレフト前ヒットなり、MLB史上初の「先発投手によるサイクル安打」をまたも逃しました。
今回はそんな「大谷翔平投手の2023年5月15日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
スプリームを今季初投球
今回はストレート、ツーシーム、スプリーム、フォーク、カットボール、スライダー、カーブの7球種を投球しました。
相手打線の6人が左打者だったためカットボールを今季最多の28%も投球しました。
スプリームは今季初投球で2022年よりもサイド回転でチェンジアップに近い変化でした。
今回は縦スラは投げませんでした。
※当ブログでは握りが違う「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
右打者にカットボールを20%と多投
上は2022年、下は今回の左右投球割合です。
前回は左打者のみでしたが、右打者にカットボールを20%と多投しました。
スプリームは左右両方に投球しています。
スプリームを終盤に多投
打たれた2~3回も20球以下で、4回以降は13球以下で省エネでした。
スプリームを終盤に多投しました。
2. コース
左打者のインハイ0球
左右共にアウトコース中心の配球で特に左打者のインハイが0球でした。
そのため打者は踏み込みやすく、真ん中付近に来たストレート、スライダーを左打者に打たれました。
3. 対左右成績
被安打は全て左打者
上図は今回、2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
被本塁打含めて被安打全て左打者でした。
4. 球種成績
スプリームは空振率30%、ストライク率80%
全体でストライク率62%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率51%(MLB平均48.5%)と、MLB平均くらいでした。
ただしスプリームは空振率30%で、ストライク率80%と高いです。
5. リリースポイント
カットボールを上から投げると変化量大
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
2022年より球持ちが少し良かったです。
後述する変化量の図のようにカットボールを上から投げた時は変化量が大きいです。
6. 球速と回転数
平均球速155.7km/h、最高159.8km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速155.7km/h、最高球速159.8km/h、回転数は2343回転でした。
2022年よりツーシームとスプリームは約4km/h遅く、カットボールとスライダーは約2km/h遅いです。
回転数は今季2番目
上は登板日別の平均球速と回転数の図です。
ストレートの平均球速は今季平均より遅かったですが、回転数は2343回転と今季2番目でした。
最後まで球速維持
上は球種ごとの回別平均球速です。
7回も156.4km/hと最後まで球速を維持しました。
ただ3〜5回は154km/hと球速が落ちていました。
7. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スプリームは最後の7回の変化量が大きかった
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートは回転数が多いためホップ成分が大きかったです。
スプリームは最後の7回の変化量が大きかったです。
カットボールは上から投げた時は変化量が大きいです。
スライダー(スイーパー)は2022年以上の横変化量41cmと凄い曲がり幅でした。ただ横変化量が不安定でした。
まとめ
①シーズン71奪三振はリーグ1位
②4試合連続3失点以上は自身初
③スプリームを今季初投球
⇒チェンジアップのような回転
④7球種
⑤カットボールを今季最多の28%
⑥右打者にもカットボール多投
⑦スプリームを終盤に多投
⑧アウトコース中心の配球
(左打者のインハイが0球)
⑨被安打は全て左打者
⑩スプリームは空振率30%、ストライク率80%と高い
⑪カットボールを上から投げた時は変化量が大きい
⑫ストレートの平均2343回転は今季2番目(湿度?)
⑬最後まで球速維持
⑭ストレートのホップ量大
⑮スプリームは7回に変化量大
⑯スライダーの横変化量が不安定
【ストレート】
平均球速155.7km/h
最高159.8km/h
平均2343回転
ホップ量39cm、シュート成分11cm
今回は「大谷翔平投手の2023年5月15日投球分析」を紹介しました。
7回を投げて98球、被安打4、被本塁打3、四死球2、奪三振5、失点5でしたが今季5勝目。
スプリームは今季初投球で2022年よりもサイド回転でチェンジアップに近い変化でした。
四死球は減って来ていて色んな球種を試しているので次回登板のツインズ戦が楽しみです。