第393回 【阪神】2023年新外国人コルテン・ブルワー投手の投球分析
2023年7月9日、阪神がヤンキースのコルテン・ブルワー(Colten Brewer)投手(30)を獲得調査してるとスポーツ新聞各紙が報じました。
またヤンキースが球団公式ツイッターで「ヤンキースは右投げのコルテン・ブルワーをリリースした。ブルワーは日本の球団と契約する」と発表しました。
ブルワー投手は、投球の半分を占める平均球速150km/hのカットボールが武器の高速カットボーラーです。
スライダーとカーブはMLB平均よりかなり回転数が多い影響で変化量がかなり大きいですが、制球には難があり、ストライク率が低く与四死球率が高い投手です。
また右打者はゾーン内全て3割以上と右打者が苦手です。
今回はそんな「【阪神】2023年新外国人コルテン・ブルワー投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
高速カットボーラーのリリーフ投手
所属球団 | サンディエゴ・パドレス (2018) ボストン・レッドソックス (2019 – 2021) ニューヨーク・ヤンキース (2023) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1992年10月29日(30歳) |
身長 | 193 cm |
体重 | 104.3 kg |
今季3Aでは防御率1.35
MLB通算で84試合に登板して防御率4.98、被打率.289、奪三振率8.3、与四死球率5.9と制球に難がある成績です。
2023年の3Aでは15試合に登板して防御率1.35、被打率.116、奪三振率10.4、与四死球率3.6と結果を残しています。
MLB通算のゴロ率が54%(MLB平均45%)とかなりのグラウンドボーラーです。
投手としての特徴は「ゴロが多い」「被本塁打少ない」「与四死球が多い」「右打者が苦手」「対ピンチに強い」「リリース不安定」などがあげられます。
2. 球種・投球割合
ほぼ3球種
持ち球は実質カットボール、スライダー、カーブの3球種です。
ストレート、ツーシーム、チェンジアップも投げれますが、今季3Aでは合わせても1割以下です。
あまり左右差はない
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
極端に球種割合に差はなく、左右差があまり無いです。
カーブは決め球
カーブは決め球で40%前後まで割合が高くなります。
逆にカットボールはカウント球での割合が高いですが、スライダーはどのカウントでも割合があまり変わりません。
3. カウント
初球✕
初球の被打率.417(36-15)と初球にかなり打たれています。
また1ストライクも被打率.410(105-43)と追い込むまでに打たれています。
4. コース
低め中心
左右共に低め中心に投球しています。
カットボールはインコースの投球が多いです。
左打者のインコース〇
左打者はインコースの成績が良いです。またアウトローも良いです。
一方、右打者はゾーン内全て3割以上とコースに関係なく打たれてます。
5. 対左右成績
対右打者✕
右打者の被打率.325、被OPS.946.と右打者が苦手です。
6. 得点圏成績
対ピンチ○
得点圏の被打率.266、被OPS.787と、それ以外の場面と比べると対ピンチには強いです。
7. 球種別成績
変化球のストライク率が低い
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
全体でストライク率63%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率53%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率のわりにストライク率が低いです。
カーブは被打率が低く、空振率24%と高いですが、ゾーン内率が低いです。
8. リリースポイント
リリースが不安定
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約15cm体に遠く高いです。
エクステンションは少し球持ちが良いです。
同じ球種でもリリース位置のバラツキが大きくリリースが不安定です。
9. 球速と回転数
カットボールは平均球速149.9km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
カットボールは平均149.9km/hと高速です。
スライダーとカーブはMLB平均よりかなり回転数が多いです。
カットボールは平均150km/hで安定
メジャーデビューしてから5年間、カットボールは平均150km/h前後で安定しています。
10. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートはホップ成分少
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはホップ成分19cmとかなりホップ量が少ないです。
カットボールは高速ですが、MLB平均くらいの変化量です。
スライダーとカーブは回転数がかなり多い影響で、MLB平均より変化量がかなり大きいボールです。
まとめ
【基本情報】
①高速カットボーラー
②主にリリーフ
③今季3Aは15試合で
防御率1.35
被打率.116
奪三振率10.4
与四死球率3.6
④グラウンドボーラー(ゴロ率54%)
⑤被本塁打少ない
【球種・カウント】
①ほぼ3球種
②半分はカットボール
③ストレート、ツーシーム、チェンジアップはほぼ投げない
④球種割合に左右差なし
⑤カーブは決め球
⑥初球✕
【コース】
①低め中心
②カットボールは左インコース多投
⇒成績も良い
③右打者はゾーン内全て3割以上
【対左右・得点圏成績】
①右打者✕
被打率.325
被OPS.946
②対ピンチ○
被打率.266
被OPS.787
【球種別成績】
①ストライク率63%(MLB平均64.2%)
②ゾーン内率53%(MLB平均48.5%)
③カットボールはストライク率74%と高い
④スライダーとカーブのゾーン率が低い
⑤カーブは空振率は高い
【リリース】
①リリースは約15cm体に遠く高い
②少し球持ちが良い
③リリース位置が不安定
【球速・回転数】
①カットボールは平均球速149.9km/hと高速
②スライダーとカーブは回転数が非常に多い
③過去5年間カットボールは平均150km/h前後で安定
【変化量】
①ストレートのホップ量かなり小さい
②カットボールは高速ながらMLB平均くらいの変化量
③スライダーとカーブは変化量大