第86回 【大谷翔平】新変化球スラッターの軌道シミュレーション(2021年4月20日投球分析)
現地時間20日(日本時間21日)、本拠地でのレンジャーズ戦で先発登板しましたが、4回で毎回7奪三振、7四死球1安打無失点で今季初勝利はなりませんでした。この試合を見ていて気になったのは新変化球「スラッター」らしきボールを大谷翔平投手が投げていることでした。下記の過去記事にも書きましたが、スラッターは大谷翔平投手に大きなプラスに繋がると思います。
そこで今回は「大谷翔平投手の新変化球スラッター?」についてのデータを紹介します。データはBaseball Savantを使用します。
1. データ上でも新球種は明らか
回転数・回転軸
球速・回転数
変化量
「回転軸・回転数」「球速・回転数」「変化量」のどの図もBaseball Savantで「Split-Finger」に分類されていますが、フォークとは別グループの新球種が存在します。回転軸、球速、回転数、変化量、スロー映像で確認した握りから新球種は「スラッター」と考えられます。
2. 回転軸で「フォーク」と「スラッター」を分類
今回は上図のように回転軸が180度以上を「フォーク」、回転軸が180度以下を「スラッター」として分類しました。
3. 球速と回転数は中間の球種
スラッターの球速と回転数はストレートとスライダーの中間くらいです。
4. 縦スラのような変化量
変化量はスラッターのスライド成分はストレートとスライダーの中間くらいですが、ドロップ成分はスライダーと同じくらいあります。そのため、イメージとしては曲がらず、縦に変化するスライダーのような変化をしています。
5. リリースポイントは他の球種より安定
スラッターのリリースポイントは他の球種に比べて、高さ、左右、前後で安定してまとまっています。
6. 投球割合は左右関係ない
投球割合は左右関係なく、いきなりスラッターは25%前後も投げています。その効果でストレートの投球割合が6割から4割まで減小しており、よりストレートが活きてきそうです。
7. ストレート、スライダーと軌道が似ている
スラッターの軌道はストレート、スライダーと非常に似ていて偽装がしやすいです。特にストレートはほとんど軌道が一緒なので打者が見分けるのは困難なボールで、非常にピッチトンネルが優秀なボールです。
8. カウント球として使用
球種別の成績を見ると、スラッターは投球割合のわりに三振が奪えていません。これはスラッターをカウント球と使用しており、2ストライクではほぼ投げていないのが原因です。
9. まとめ
①球速と回転数はストレートとスライダーの中間
②縦スラのような変化量
③リリースポイントは安定
④投球割合は左右関係ない
⑤ピッチトンネルが優秀
⑥カウント球として使用
今回は「大谷翔平投手の新変化球スラッター」について紹介しました。
ダルビッシュ投手のように曲がりが中間のスラッターでカウントを取れれば、ピッチングが楽になりそうです。また、スラッターとストレート、スライダーは軌道が似ているので、偽装が出来て、さらにストレート、スライダーで空振りが奪えると思います。
上の記事によると、試合前のブルペンで習得したみたいです。ダルビッシュ投手みたいにどんどん球種が増えていくんでしょうか?
マドン監督が「Cutter(カットボール)」と呼んでるので、次の試合からは「Cutter(カットボール)」と記載されそうです。
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