第424回 【ヤクルト】2024年新外国人ミゲル・ヤフーレ投手の投球分析
2023年12月7日、ヤクルトが前ジャイアンツ傘下3Aのミゲル・ヤフーレ(Miguel Yajure)投手(28)と契約合意したと発表しました。
ヤフーレ投手の特徴としては、スラーブタイプの変化量が大きいスライダーと縦変化量が大きいパワーカーブなどの多彩な変化球が武器の完成度の高い先発型の投手です。
今回はそんな「【ヤクルト】2024年新外国人ミゲル・ヤフーレ投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
先発候補
所属球団 | ニューヨーク・ヤンキース (2020) ピッツバーグ・パイレーツ (2021 – 2022) |
ポジション | 先発、リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1998年5月1日(25歳) |
身長 | 185 cm |
体重 | 97 kg |
3Aでは奪三振率、与四死球率が安定
MLB通算で19試合に登板して防御率7.58、被打率.277、奪三振率6.8、与四死球率6.2です。
3A通算で41試合に登板して防御率5.22、被打率.252、奪三振率8.8、与四死球率4.1でした。
3Aでは奪三振率が高く、与四死球率が低いです。
投手としての特徴は「与四死球が多い」「フライボーラー」「多彩な変化球」などがあげられます。
フライボーラー
MLB通算のフライ率が28%(MLB平均23%)とフライボーラーです。
2. 球種・投球割合
バランスよく6球種
持ち球はストレート、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ、スライダー、カーブの6球種です。
特に2023年は3Aですが、バランスよく6球種を投球しています。
右にスライダー、左にチェンジアップを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
左打者にはチェンジアップ、右打者にはスライダーの比率が高いです。
3. カウント別
チェンジアップ、カーブが決め球
チェンジアップ、カーブが決め球での比率が増えています。
4. コース
各球種の空振りを奪えるコースが決まってる
上図は球種ごとのベース上の位置です。
各球種の空振りを奪えるコースが決まってます。
ストレートは高め
カットボールは右アウト
チェンジアップは低め
スライダーは右アウト
カーブは右アウトロー、左インローへの投球が多くて空振りも奪っています。
右の低め◎
右打者の低めの成績が良いです。
一方、左打者の高めはかなり打たれています。
5. 対左右成績
対左打者×
被OPSは右が.747、左が1.076と左打者が苦手です。
6. 得点圏成績
対ピンチ×
得点圏の被打率.367、被OPS1.018と対ピンチにはかなり弱いです。
7. ホームアウェイ成績
ホームに強い
ホームの被打率.228、被OPS.699、防御率4.57とホームに強いです。
8. 球種別成績
速球系に課題
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレート、ツーシーム、カットボールなどの速球系は左右ともに被OPSが高くてストライク率が低いです。
チェンジアップは右被打率.000と右打者に有効です。
スライダーは右被打率.111と右打者に有効で、空振率25%と高いです。
カーブは被打率.122と非常に低く、空振率12%と高いです。
全体でストライク率60%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率45%(MLB平均48.5%)と、ストライク率とゾーン内率が高くありません。
9. リリースポイント
リリースが体に近く高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約15cmも体に近く高いです。
エクステンションは球離れが早いです。
10. 球速と回転数
今季3Aで平均球速149.6km/h、最高153.8km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは2022年は平均球速149.5km/h、今季3Aでは先発メインで平均球速は149.6km/hと、回転数は2293回転と少ないです。
ツーシーム平均149.2km/h
カットボール平均143.5km/h
チェンジアップ平均143.5km/h
スライダー平均131.2km/h
カーブ平均133.2km/h
チェンジアップ、カーブは高速です。
スライダーは2020年は横変化量が大きく高回転のスイーパータイプでしたが、2021-2022年は回転数が少ないスラーブタイプでした。2023年はスラーブタイプの回転数が増加しました。
3Aで主に先発しても平均球速が変わらない
2023年は3Aで主に先発していましたが、平均球速が149.6km/hと平均球速が変わらないです。
11. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートはカットライズ気味
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2023年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートはカットライズ気味です。
ツーシームはMLB平均くらいです。
カットボールは変化量が小さいです。
チェンジアップは縦変化量が大きいです。
スライダーは2021年以降のスラーブタイプは変化量が大きいです。2020年のスイーパータイプは横変化量が大きいです。
カーブは縦変化量が大きいです。
まとめ
【基本情報】
①多彩な変化球の先発候補
②3A通算で
防御率5.22
被打率.252
奪三振率8.8
与四死球率4.1
③3Aでは奪三振率・与四死球率が安定
④フライボーラー
【球種割合・カウント】
①バランスよく6球種
②右にスライダー、左にチェンジアップを多投
③チェンジアップ、カーブが決め球
【コース】
①次のコースの投球と空振り多い
ストレートは高め
カットボールは右アウト
チェンジアップは低め
スライダーは右アウト
カーブは右アウトロー、左インロー
②右打者の低め◎
【対左右・得点圏成績】
①対左打者×(左被打率.352)
②対ピンチ×
被打率.367
③ホーム◯
被打率.228
防御率4.57
【球種別成績】
①速球系×
⇒左右の被OPS1.000以上
②チェンジアップは右打者◯(被打率.000)
③スライダーは右打者◯で優秀(右被打率.111)
⇒空振率25%、ストライク率67%と高い
④カーブは優秀(被打率.122)
【リリース】
①リリースは約15cmも体に近く高い
②球離れが早い
【球速・回転数】
①今季3Aで平均球速149.6km/h、最高153.8km/h
②回転数は平均的
③スライダーは2021年からはスラーブタイプ
④2023年は先発でも球速維持
【変化量】
①ストレートがカットライズ気味
②ツーシームは平均的
③カットボールは変化量小
④チェンジアップは縦変化量大
⑤スライダーは2021年からはスラーブタイプで変化量大
⑥カーブは縦変化量大
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