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第28回 【阪神】新外国人ラウル・アルカンタラ投手の投球分析

2023年2月9日

今回は「阪神の新外国人ラウル・アルカンタラ投手の投球分析」ということで、メジャーに在籍していた2016年~2017年のBaseball Savantのデータを紹介したいと思います。
また韓国リーグ(KBO)の2020年のデータも一部紹介します。

1. 基本成績

所属球団オークランド・アスレチックス(2016 – 2017)
⇒KTウィズ(2019)
⇒斗山ベアーズ(2020)
⇒阪神タイガース(2021)
ポジション先発
投打右投右打
生年月日1992/12/4
身長193 cm
体重99.8 kg
基本情報
年度別成績
メジャー(MLB)の成績(2016~2017年)
韓国リーグ(KBO)の成績
(2020年)

メジャーではあまり成績が良くないが、韓国リーグ(KBO)では圧倒的な数字を残している。
メジャー時代から四死球は少なく、制球力がある投手と言える。

2. 投球割合

メジャー時代(2016~2017年)

アルカンタラ投手の投球割合(全打者・2016~2017年)
アルカンタラ投手の投球割合(右打者・2016~2017年)
アルカンタラ投手の投球割合(左打者・2016~2017年)

アルカンタラ投手がメジャーで投げていたのは、ストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種である。
右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップの割合が高い

メジャー平均と比べると、ストレートの割合が高い
第6回 メジャー(MLB)右投手の球種、投球割合

韓国リーグ(KBO)時代(2020年)

韓国リーグ(KBO)の投球割合(2020年)

2019年に習得したスプリットの割合が多い
メジャー時代と比べるとチェンジアップの代わりにスプリットを投げている。
また、ツーシームの割合が減っている

3. コース別投球割合

アルカンタラ投手のコース別投球割合(2016~2017年)

メジャー平均と比べると、低めの割合が多く、アウトローの割合が高い
第7回 メジャー(MLB)右投手のコース別投球割合

ストレート

アルカンタラ投手のコース別投球割合(2016~2017年)_ストレート

ツーシーム

アルカンタラ投手のコース別投球割合(2016~2017年)_ツーシーム

チェンジアップ

アルカンタラ投手のコース別投球割合(2016~2017年)_チェンジアップ

スライダー

アルカンタラ投手のコース別投球割合(2016~2017年)_スライダー

カーブ

アルカンタラ投手のコース別投球割合(2016~2017年)_カーブ
やきゅまる
球種ごとにコースの偏りが見られ、制球力があることが分かるね

4. カウント別投球割合

アルカンタラ投手のカウント別投球割合(右打者・2016~2017年)
アルカンタラ投手のカウント別投球割合(左打者・2016~2017年)

右打者は2ボール以降のストレートの割合が高い。
0,1ボールの2ストライクではツーシームとスライダーの割合が高い

左打者はボールが先行しているとストレートの割合が高い
チェンジアップは決め球だけでなく、カウント球としても使用
メジャー平均とは大きく違う。
第8回 メジャー(MLB)右投手のカウント別投球割合

5. 被打率・被本塁打

球種別被打率

球種別被打率(2016年~2017年)

ツーシームは右打者の被打率がかなり低い
チェンジアップ、スライダー、カーブは左打者の方が被打率がかなり低い
左右でこれほど被打率が変わるのは特徴的である。

やきゅまる
右打者はスライダー、左打者はツーシームを狙われそう

コース別被打率

アルカンタラ投手のコース別被打率(2016年~2017年)

右打者はインコース、アウトハイ、アウトローの被打率が低い
左打者はインローとアウトローの被打率が低い
第9回 メジャー(MLB)右投手のコース別被打率、被本塁打

コース別被本塁打

アルカンタラ投手のコース別被本塁打(2016~2017年)

左右関係なく、ストレートは高めを被弾している。
右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップが真ん中付近で被弾している。

6. 球速・回転数

アルカンタラ投手の球速・回転数(2016~2017年)
アルカンタラ投手の平均球速・平均回転数(2016~2017年)
アルカンタラ投手の平均球速・平均回転数(2016~2017年)_表

全球種メジャー平均よりも球速が速く平均回転数が少ない
第10回 メジャー(MLB)右投手の平均球速・平均回転数

7. 平均リリースポイント・変化量

平均リリースポイント

アルカンタラ投手の平均リリースポイント
アルカンタラ投手の平均リリースポイント_前後
アルカンタラ投手の平均リリースポイント_表


メジャー平均よりもリリースポイントは頭から遠くにあり、捕手側でリリースしている。
特にチェンジアップの球持ちが良い。
第11回 メジャー(MLB)右投手の平均リリースポイント・平均変化量

変化量

アルカンタラ投手の変化量
アルカンタラ投手の平均変化量

メジャー平均よりもストレートはシュート成分が多い
ツーシームとチェンジアップはホップ成分とシュート成分が多い
スライダーとカーブは縦にも横にも変化量が小さい。

第11回 メジャー(MLB)右投手の平均リリースポイント・平均変化量

8. 軌道シミュレーション

軌道

三塁側から見た軌道
上から見た軌道
捕手目線の軌道
捕手目線の軌道(トンネルポイントまで)

メジャー平均と比べると、カーブが見分けやすい
スライダーはストレートと軌道がトンネルポイントまで似ている
第12回 メジャー(MLB)右投手の軌道シミュレーション

やきゅまる
ピッチトンネルはメジャー平均くらい

軌道シミュレーション

アルカンタラ投手の軌道シミュレーション
アルカンタラ投手の軌道シミュレーション(トンネルポイントで一時停止)

0.02秒/1コマで軌道シミュレーションで作成。
下はストレートのトンネルポイント地点の時間で一時停止したものである。
ストレートで止めているので、他の球種は実際のトンネルポイントとは差異がある点に注意。

やきゅまる
チェンジアップが打ちにくそう

9. 打球の種類比率・リスク管理

アルカンタラ投手の打球の種類比率
アルカンタラ投手のリスク管理

メジャー平均よりも全体的にそこまで空振り率が高くない。
スライダーは空振り率が高いが、被本塁打率が高い

第13回 メジャー(MLB)右投手の打球種類比率・リスク管理

10. まとめ

利き手
年齢28
球種の豊富さ[usr 4.5 size=20 img="06.png"]
制球力[usr 4.5 size=20 img="06.png"]
球速[usr 4.5 size=20 img="06.png"]
奪三振能力[usr 4 size=20 img="06.png"]
ピッチトンネル[usr 3 size=20 img="06.png"]
ストレート[usr 4 size=20]
ツーシーム[usr 3 size=20]
スプリット[usr 4 size=20]
チェンジアップ[usr 4 size=20]
スライダー[usr 3 size=20]
カーブ[usr 2 size=20]
対左打者[usr 3 size=20 img="05.png"]
リリース近さ[usr 2 size=20 img="05.png"]
リリース高さ[usr 2 size=20 img="05.png"]
球持ち[usr 5 size=20 img="05.png"]
各能力の評価

制球力があり、平均球速も速く、球種も豊富なことから活躍する可能性は高いと思います。
メジャー時代はスライダーがあまり曲がっていないですが、韓国リーグ(KBO)では被打率が低いので改善されている可能性はあります
また、2019年に習得したスプリットも韓国リーグ(KBO)では被打率が低いので期待が持てます

成績と投球割合

・メジャー時代から四死球は少なく、制球力がある投手

・メジャーで投げていたのは、ストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種

・2019年に韓国リーグ(KBO)でスプリットを習得

・右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップの割合が高い

・メジャー平均と比べると、ストレートの割合が高い

・低めの割合が多く、アウトローの割合が高い

・右打者は2ボール以降のストレートの割合が高く、0,1ボールの2ストライクではツーシームとスライダーの割合が高い

・左打者はボールが先行しているとストレートの割合が高く、チェンジアップはカウント球としても使用

被打率

・ツーシームは右打者の被打率がかなり低い

・チェンジアップ、スライダー、カーブは左打者の方が被打率がかなり低い

・スライダーの被弾率が高い

球速、回転数

・全球種メジャー平均よりも球速が速く、平均回転数が少ない

リリースポイント、変化量、軌道

・リリースポイントは頭から遠くにあり、捕手側でリリース

・ストレートはシュート成分が多い

・ツーシームとチェンジアップはホップ成分とシュート成分が多い

・スライダーとカーブは縦にも横にも変化量が小さい

・カーブの軌道は他の球種と差異が大きく、見分けやすい