第28回 【阪神】新外国人ラウル・アルカンタラ投手の投球分析
今回は「阪神の新外国人ラウル・アルカンタラ投手の投球分析」ということで、メジャーに在籍していた2016年~2017年のBaseball Savantのデータを紹介したいと思います。
また韓国リーグ(KBO)の2020年のデータも一部紹介します。
1. 基本成績
所属球団 | オークランド・アスレチックス(2016 – 2017) ⇒KTウィズ(2019) ⇒斗山ベアーズ(2020) ⇒阪神タイガース(2021) |
ポジション | 先発 |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1992/12/4 |
身長 | 193 cm |
体重 | 99.8 kg |
メジャーではあまり成績が良くないが、韓国リーグ(KBO)では圧倒的な数字を残している。
メジャー時代から四死球は少なく、制球力がある投手と言える。
2. 投球割合
メジャー時代(2016~2017年)
アルカンタラ投手がメジャーで投げていたのは、ストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種である。
右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップの割合が高い。
メジャー平均と比べると、ストレートの割合が高い。
第6回 メジャー(MLB)右投手の球種、投球割合
韓国リーグ(KBO)時代(2020年)
2019年に習得したスプリットの割合が多い。
メジャー時代と比べるとチェンジアップの代わりにスプリットを投げている。
また、ツーシームの割合が減っている。
3. コース別投球割合
メジャー平均と比べると、低めの割合が多く、アウトローの割合が高い。
第7回 メジャー(MLB)右投手のコース別投球割合
ストレート
ツーシーム
チェンジアップ
スライダー
カーブ
4. カウント別投球割合
右打者は2ボール以降のストレートの割合が高い。
0,1ボールの2ストライクではツーシームとスライダーの割合が高い。
左打者はボールが先行しているとストレートの割合が高い。
チェンジアップは決め球だけでなく、カウント球としても使用。
メジャー平均とは大きく違う。
第8回 メジャー(MLB)右投手のカウント別投球割合
5. 被打率・被本塁打
球種別被打率
ツーシームは右打者の被打率がかなり低い。
チェンジアップ、スライダー、カーブは左打者の方が被打率がかなり低い。
左右でこれほど被打率が変わるのは特徴的である。
コース別被打率
右打者はインコース、アウトハイ、アウトローの被打率が低い。
左打者はインローとアウトローの被打率が低い。
第9回 メジャー(MLB)右投手のコース別被打率、被本塁打
コース別被本塁打
左右関係なく、ストレートは高めを被弾している。
右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップが真ん中付近で被弾している。
6. 球速・回転数
全球種メジャー平均よりも球速が速く、平均回転数が少ない。
第10回 メジャー(MLB)右投手の平均球速・平均回転数
7. 平均リリースポイント・変化量
平均リリースポイント
メジャー平均よりもリリースポイントは頭から遠くにあり、捕手側でリリースしている。
特にチェンジアップの球持ちが良い。
第11回 メジャー(MLB)右投手の平均リリースポイント・平均変化量
変化量
メジャー平均よりもストレートはシュート成分が多い。
ツーシームとチェンジアップはホップ成分とシュート成分が多い。
スライダーとカーブは縦にも横にも変化量が小さい。
第11回 メジャー(MLB)右投手の平均リリースポイント・平均変化量
8. 軌道シミュレーション
軌道
メジャー平均と比べると、カーブが見分けやすい。
スライダーはストレートと軌道がトンネルポイントまで似ている。
第12回 メジャー(MLB)右投手の軌道シミュレーション
軌道シミュレーション
0.02秒/1コマで軌道シミュレーションで作成。
下はストレートのトンネルポイント地点の時間で一時停止したものである。
ストレートで止めているので、他の球種は実際のトンネルポイントとは差異がある点に注意。
9. 打球の種類比率・リスク管理
メジャー平均よりも全体的にそこまで空振り率が高くない。
スライダーは空振り率が高いが、被本塁打率が高い。
第13回 メジャー(MLB)右投手の打球種類比率・リスク管理
10. まとめ
利き手 | 右 |
年齢 | 28 |
球種の豊富さ | [usr 4.5 size=20 img="06.png"] |
制球力 | [usr 4.5 size=20 img="06.png"] |
球速 | [usr 4.5 size=20 img="06.png"] |
奪三振能力 | [usr 4 size=20 img="06.png"] |
ピッチトンネル | [usr 3 size=20 img="06.png"] |
ストレート | [usr 4 size=20] |
ツーシーム | [usr 3 size=20] |
スプリット | [usr 4 size=20] |
チェンジアップ | [usr 4 size=20] |
スライダー | [usr 3 size=20] |
カーブ | [usr 2 size=20] |
対左打者 | [usr 3 size=20 img="05.png"] |
リリース近さ | [usr 2 size=20 img="05.png"] |
リリース高さ | [usr 2 size=20 img="05.png"] |
球持ち | [usr 5 size=20 img="05.png"] |
制球力があり、平均球速も速く、球種も豊富なことから活躍する可能性は高いと思います。
メジャー時代はスライダーがあまり曲がっていないですが、韓国リーグ(KBO)では被打率が低いので改善されている可能性はあります。
また、2019年に習得したスプリットも韓国リーグ(KBO)では被打率が低いので期待が持てます。
・メジャー時代から四死球は少なく、制球力がある投手
・メジャーで投げていたのは、ストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種
・2019年に韓国リーグ(KBO)でスプリットを習得
・右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップの割合が高い
・メジャー平均と比べると、ストレートの割合が高い
・低めの割合が多く、アウトローの割合が高い
・右打者は2ボール以降のストレートの割合が高く、0,1ボールの2ストライクではツーシームとスライダーの割合が高い
・左打者はボールが先行しているとストレートの割合が高く、チェンジアップはカウント球としても使用
・ツーシームは右打者の被打率がかなり低い
・チェンジアップ、スライダー、カーブは左打者の方が被打率がかなり低い
・スライダーの被弾率が高い
・全球種メジャー平均よりも球速が速く、平均回転数が少ない
・リリースポイントは頭から遠くにあり、捕手側でリリース
・ストレートはシュート成分が多い
・ツーシームとチェンジアップはホップ成分とシュート成分が多い
・スライダーとカーブは縦にも横にも変化量が小さい
・カーブの軌道は他の球種と差異が大きく、見分けやすい