第114回 【MLB】潔白のダルビッシュ投手、粘着物質使用疑惑投手などの平均回転数推移

2021年7月4日

今メジャーで最大の話題になっているのは、やはり粘着性の不正物質の取り締まり強化です。

そこで今回は「潔白のダルビッシュ投手、粘着物質使用疑惑投手などの平均回転数推移」を調べたので紹介します。

記事の目的は犯人捜しではなく、データからダルビッシュ投手の粘着物質使用疑惑を少しでも晴らしたいというのが目的です。ネットやSNSで回転数が数十回転下がっただけで、犯人みたいな扱いをしている発言を見かけたので今回記事を書きました。

ちなみに自分はルールの厳格化には賛成で、ボールを国際的に統一して滑らないボールに変えて欲しい派です。現状の取り締まり強化の時期と方法には反対です。

やきゅまる
やきゅまる
出来るだけネガティブな記事は書きたくない

そもそも粘着性の不正物質って?

そもそも粘着性の不正物質って?
そもそも粘着性の不正物質って?

公式ルールでは、マウンドに立つ投手が指に付けられるのはロジンのみです。あとは汗は仕方ないので、見逃されています。ただ、滑りやすいボールへの対処法で本来なら禁止事項ですが、暗黙の了解としてMLBでは松ヤニのような粘着物質を指先に付けて投球するケースが多かったです。

投手が粘着物質を使う理由は大きく分けて「滑り止め」「回転数の増加」の2つです。多くの選手やファンの考えは、滑り止め目的は暗黙の了解で良く、回転数が多少上がる程度まではグレー、あまりに回転数が急増加する物質はアウトだと思います。

今まではMLBは全ての粘着性物質を暗黙の了解として見逃していました。しかし、急に6月からMLBが取り締まりを強化することになりました。取り締まりを強化する理由は次の2つです。

①回転数が大幅に上昇する松ヤニが登場

 「スパイダータック」と呼ばれる重量挙げに使われることが多い粘着力の強い物質が登場。スパイダータックを使うだけで、球の回転数は大幅にアップしてストレートの球威が上がり、変化球は異常な変化を見せるようになりました。これにより成績が上昇し、タイトルや有利な契約を勝ち取る投手まで現れたといわれています

ボールの変更による投高打低

 近年、フライボール革命によって本塁打と三振が異常なまでに増え、試合にヒットや盗塁などの動きが無くなり、つまらなくなったと言われていました。そのためMLBは今年からボールを飛ばないボールに変更しましたが、今度は投高打低になってしまい、メジャー全体で打率は2割3分台に落ち込みました。そこでMLBは今度は投手を取り締まることで投高打低を脱したい狙いがあります。

0. 粘着物質使用投手の不自然な回転数推移の例

粘着物質使用投手の不自然な回転数推移の例(2015年~2021年)
粘着物質使用投手の不自然な回転数推移の例(2015年~2021年)

今話題の粘着物質の使用により、回転数が急激に変化する投手の例が上の図です。

2017年までは一定だった回転数が、スパイダータックなどの粘着物質の使用により2018~2020年のどこかで300~500回転くらい急増加します。その後、取り締まりが強化される2021年6月までは高い値で一定で、取り締まりが強化された2021年6月に300~500回転くらい急減少します。

つまり次に該当する投手は粘着物質による回転数の増加が疑われます。

①2018~2020年のどこかで300~500回転くらい急増加
②2021年6月に300~500回転くらい急減少
③投球フォーム、球速には特に変化が無い

1. ダルビッシュ投手(パドレス)

ダルビッシュ投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
ダルビッシュ投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
粘着物質の使用を疑われる要因

✔回転数が多い
✔変化球のキレが良く、変化量が大きい

ダルビッシュ投手が投手が疑われた原因は一言で言えば「凄い球を投げるから」です。

平均回転数の推移を見ると、ダルビッシュ投手はずっと2500回転~2600回転をキープしています。取り締まり強化後の2021年6月は少し回転数が下がっていますが、2017年と大差は無いので誤差の範囲内だと言えます。

以上のことから、平均回転数の推移を見る限り、ダルビッシュ投手は回転数が上昇する粘着物質を使用してはいなかったと考えられます。

2. コール投手(ヤンキース)

コール投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
コール投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
粘着物質の使用を疑われる要因

✔回転数が多い
✔アストロズに移籍した2018年に回転数が急上昇
✔エンゼルス元職員が名指しで不正物質の使用を告発
✔「スパイダータックを使用したか?」と聞かれて「ノー」と言わなかった

粘着物質使用疑惑として、最も名前が挙がるのがコール投手です。

集団使用が疑われているアストロズに移籍した2018年に回転数が急上昇して、度々怪しいと報道されていました。1月のエンゼルス元職員の告発によれば、この職員に粘着物質の調達をお願いするメールを送っています。
(上記記事を参照)

6月の取り締まり強化の際に記者から「スパイダータックの使用をしたことがあるか?」と質問された時に
「ノー」とは言わず、「正直なんて答えていいかはっきり分からない。」と回答していました。

そんなコール投手の平均回転数の推移を見ると、アストロズに在籍していた2018~2019年に400回転も増加しています。その後2021年5月までは一定だった回転数が、取り締まり強化された6月に急に150回転も減少しています。

状況と平均回転数の推移を見る限り、コール投手はスパイダータックを使用していた可能性は高いと考えられます。

やきゅまる
やきゅまる
あくまで状況と平均回転数の推移上の話で、確定した訳ではないよ

3. バウアー投手(ドジャース)

バウアー投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
バウアー投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
粘着物質の使用を疑われる要因

✔回転数が多い
✔2020年に回転数が急上昇
✔集団使用が疑われるレッズとドジャースに在籍
✔再三MLBに警告していたが、MLBが動かないので確信犯で使用?

粘着物質使用疑惑として、コール投手の次に名前が挙がるのがバウアー投手です。

2020年春に「良い投手(コール投手?)がアストロズに移籍して回転数が急上昇した。粘着物質を使用する以外に回転数が急上昇する方法はない」と再三発言していました。しかし、MLBが動かなかったので、反発心から粘着物を使用したのではないかと言われています。

また、2020年に在籍していたレッズと2021年に在籍しているドジャースの投手のほとんどが昨年より回転数が上昇していることから、集団で使用しているのではないかと考えられています。

そんなバウアー投手の平均回転数の推移を見ると、2019~2020年に500回転も増加しています。その後2021年5月までは一定だった回転数が、取り締まり強化された6月に急に300回転も減少しています。

状況と平均回転数の推移を見る限り、バウアー投手は粘着物質を使用していた可能性は高いと考えられます。

ただバウアー投手の性格からすると、スパイダータックではなく、ロジンを使ったグレーな方法を使用していた可能性もあります。

4. グラスノウ投手(レイズ)

グラスノウ投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
グラスノウ投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
粘着物質の使用を疑われる要因

✔日焼け止めとロジンを「滑り止め」目的で使用と本人が発言

グラスノウ投手は「滑り止め」目的で日焼け止めとロジンを使用していたと発言していました。

そんなグラスノウ投手の平均回転数の推移を見ると、回転数な急な増減は見られません。緩やかにやや増加傾向なのは、この期間に球速も上がっているので本人の成長だと考えられます。

平均回転数の推移を見る限り、発言通りグラスノウ投手は回転数上昇目的で使用してはいなかったと考えられます。

5. シャーザー投手(ナショナルズ)

シャーザー投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
シャーザー投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
粘着物質の使用を疑われる要因

✔回転数が多い
✔エンゼルス元職員が名指しで不正物質の使用を告発

2020年エンゼルス元職員の告発にシャーザー投手の名前もありました。そのためシャーザー投手は不正物質の使用をかなり疑われています

そんなシャーザー投手の平均回転数の推移を見ると、回転数は2500回転前後で一定で急増加をしていません取り締まり強化された6月に100回転減少していますが、これは誤差の範囲内ですし、スパイダータックなどを使用していたにしては減少幅が小さいです。

状況と平均回転数の推移を見る限り、シャーザー投手はスパイダータックなどの回転数上昇目的の粘着物質を使用しておらず滑り止め目的で使用していたのではないかと思います

6. デグロム投手(メッツ)

デグロム投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
デグロム投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
粘着物質の使用を疑われる要因

✔球威が異次元
✔スライダーのキレが凄い

デグロム投手が投手が疑われた原因は一言で言えば「凄い球を投げるから」です。

デグロム投手の平均回転数の推移を見ると、回転数な急な増減は見られません。緩やかにやや増加傾向なのは、この期間に球速も上がっているので本人の成長だと考えられます。

平均回転数の推移を見る限り、デグロム投手は回転数が上昇する粘着物質を使用してはいなかったと考えられます。

7. サンティアゴ投手(マリナーズ)

サンティアゴ投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
サンティアゴ投手の年別平均回転数(2015年~2021年)
粘着物質の使用を疑われる要因

✔取り締まりでグローブに粘着物質が見つかった

27日(日本時間28日)にMLBで取り締まりが強化された投球時の粘着物質の不正使用で、初の摘発者が出ました。

マリナーズの救援左腕ヘクター・サンティアゴ投手は5回に降板してベンチに引き揚げる際、球審から確認を受け、グラブに粘着物質らしい付着が見つかったため、退場宣告されました。規定により、10日の出場停止処分も受けます。

ただし、本人は不正物質ではなく、「(ルール上OKな)ロジンしか使っていない。科学班に調べてもらえば、汗とロジンしか見つからないはずだ」と潔白を主張しています。

サンティアゴ投手の平均回転数の推移を見ると、回転数な急な増減は見られません。そもそもスパイダータックなどを使用しているとしたら、回転数が2100前後は少なすぎます。

平均回転数の推移を見る限り、発言通りサンティアゴ投手は回転数が上昇する粘着物質を使用してはいなかったと考えられます。

やきゅまる
やきゅまる
もし本当にロジンだった場合もグラブにつけるのは違反なんだね

まとめ

今回は「粘着物質使用疑惑投手などの平均回転数推移」を紹介しました。

ダルビッシュ投手、グラスノウ投手、シャーザー投手、デグロム投手、サンティアゴ投手は回転数の急な増減が見られないことから、少なくとも回転数が上昇する粘着物質を使用してはいなかったと考えられます。

逆にコール投手とバウアー投手は急な回転数が増加していて、取り締まりが強化された6月に急に回転数が減少していることから、回転数が上昇する粘着物質を使用していた可能性が高いと考えられます。ただし、それが不正物質なのか、ロジンなどのルール上OKな物質なのかは分かりません。

それにしても今まで暗黙の了解としていたのに、急に使用していたら犯人のような扱いを受ける投手達が可哀そうすぎます。ただ、もし500回転も上昇する不正物質を使用していた投手がいたのならば、それはちょっと問題だとも思います。

やはり日本のボールや国際球のように滑らないボールに変えて欲しいと思います。また野球の将来の国際的な発展のためにも、国際的にボールを統一して欲しいと思います。

やきゅまる
やきゅまる
どうしてボールは飛ばないようにはすぐしたのに、滑らないようにはしないのか?