第140回 【大谷翔平】新たなシュート回転するフォーク?スプリーム?(2021年9月19日投球分析)
現地時間9月19日(日本時間20日)に本拠地でのアスレチック戦に出場、投打のリアル二刀流の「2番投手」で先発しました。
投手としては8回を5安打2本塁打2失点、10奪三振2四死球(申告敬遠含まず)の好投でしたが、勝敗は付かず。残念ながらベーブ・ルース以来となる「2桁勝利・2桁ホームラン」の達成は持ち越しとなりました。
これで今季は22試合(22先発)に登板し9勝2敗、防御率3.28。
打者としては2打数0安打2四球でした。登板後は外野の守備にはつきませんでした。
この試合で大谷投手はフォークを多投しました。スローで見ると、決め球はいつものジャイロ回転するフォークでしたが、カウント球はスプリームのようなシュート回転するフォークでした。
今回はそんな「大谷翔平投手の2021年9月19日投球分析」を紹介します。
データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。
1. 投球割合
日別投球割合(2021年)
上図は2021年の登板日別の投球割合です。
今回はフォークが54%と非常に多かったです。そのためストレート、スラッター、スライダーの割合が少なかったです。
左右別投球割合
上は2021年、下は9月19日の左右別の投球割合です。
左右どちらにもフォークが50%以上と非常に多かったです。 そのためストレート、スラッター、スライダーの割合が少なかったです。
回別投球割合
今回は終始フォークを軸に投球していました。どの回も他球種の割合が少なかったです。
2. 球速・回転数
球速・回転数
今回のストレートは平均球速153.2km/h、最高球速159.3km/hでした。
いつもよりフォーク、スライダーは約2km/h速かったです。
回別平均球速
尻上がりに球速が上がり、2回以降は最後まで152km/h以上をキープしています。
8回に最高球速を記録したこと、本人の試合後のコメントからも余力がまだあったみたいです。
日別平均球速
上図は2021年の登板日別の平均球速です。
6月以降は平均154km/h前後で安定しています。
日別平均回転数(2021年)
全球種の登板日別の平均回転数です。
全球種が緩やかに回転数が減少傾向。開幕当初から緩やかに減少傾向なので、二刀流による疲労が主な原因ではないかと思います。
ただ8月以降はストレートの回転数は平均2000~2100回転で安定しています。
3. 各成績
対左右成績
左は2021年の平均、右が9月19日の対左右の成績です。
今回は右打者に本塁打を2本打たれました。ただ投球内容的にはとても良かったです。
球種成績
左は2021年の平均、右が9月19日の球種別被打率です。
前回同様にストレート、スラッター、スライダーが右打者に打たれました。ストレートは左打者にも打たれました。
投球数が多かったにも関わらず、フォークは19打数0安打9奪三振と圧倒的な成績でした。
カーブは良い緩急になっていたので、もう少し投球数を増やしても良いと思いました。
4. 変化量
全球種
上図は「2021年の平均」、「今回(9月19日)」の変化量です。
球速が速かったこともあり、スライダーは横変化量が少なかったです。
注目のフォークは、やはり今までにないシュート成分が多いフォークがありました。これがカウント球として使用されていた新しいフォークだと思います。
フォーク
カウント球と決め球に分けたフォークの変化量の図を作成しました。
やはりカウント球はシュート成分が5.8cm多く、ホップ成分が5.6cm多いです。 ホップ成分が多いのは、より制球重視したためだと考えられます。
スロー映像で見ると、決め球はいつものジャイロ回転するフォーク(ジャイロフォーク)、カウント球は新しいシュート回転数フォークでした。
握りが違い、ボールの抜き方も違います。上記の記事のスタッシ捕手のコメントによると、「サインは同じ」で大谷投手が感覚で投げ分けているみたいです。
この新しいシュート回転するフォークですが、握りや抜き方や回転の仕方など千賀投手が最近投げ始めたスプリームに非常に似ています。
5. リリースポイント
上図は「2021年の平均」、「今回(9月19日)」のリリースポイントです。
リリースポイントは身体に近く、球離れが少し早かったです。スライダーの曲がりが小さかったのはリリースポイントの影響かもしれません。
6. ベース上のボールの位置
今回(9月19日)の左右打者へのベース上のボールの位置です。
高めに何球か外れていますが、フォークはほとんどがベース上の低めに決まっています。これだけフォークが低めに集まっていると打者は非常に打ちにくそうです。
ただ他の球種はいつもよりアウトローへの投球が少なく、真ん中付近に集まっている印象です。
まとめ
①フォークが54%と多投
②平均球速153.2km/h、最高球速159.3km/h
③スライダーの横変化量が小さい
④フォークが決め球はジャイロ、カウント球はシュート回転
⑤カウント球は今までにないシュート成分の多さ(スプリーム?)
⑥フォークの制球が良い
今回は「大谷翔平投手の2021年9月19日投球分析」を紹介しました。
前回に制球が悪かったフォークが改善され、多投することで圧倒的な投球になっていました。制球が良くなった要因として、カウント球に今までにないシュート回転するフォークを投げていました。
このシュート回転するフォークはスプリームのような変化球ですが、サインは同じなので新球種というよりはフォークを大谷投手が感覚で投げ分けているみたいです。
次回登板ではこのフォークをまた多投するのか?それとも他の球種を多投するのか?どのような投球をするのか楽しみです。