第23回 【オリックス復帰】平野佳寿投手の投球分析

2021年11月22日

「【オリックス復帰】平野佳寿投手の投球分析」ということで、
2018~2020年のBaseball Savantのトラックマンデータから平野投手の投球分析結果を紹介したいと思います。主に紹介するのは2020年のデータです。



1. 基本成績

MLB3年間の基本成績(2018~2020年)
MLB3年間の基本成績(2018~2020年)

2018年は75登板で防御率2.44とかなり優秀
2019年は防御率などは悪いが、奪三振率が高く、62登板しているので十分活躍したと言える。
2020年は四死球が多く、残念ながら期待には応えられていない。

2. 投球割合

平野佳寿投手の投球割合(全打者・2020年)
平野佳寿投手の投球割合(全打者・2020年)
平野佳寿投手の投球割合(右打者・2020年)
平野佳寿投手の投球割合(右打者・2020年)
平野佳寿投手の投球割合(左打者・2020年)
平野佳寿投手の投球割合(左打者・2020年)

平野佳寿投手が投げるのは、ストレート、スプリットの2球種である。
スライダーも数球投げてはいるが、スプリットと似た変化をしているので今回は省きました。

投球割合はほぼ半分ずつであるが、左打者にはスプリットが少し多い
メジャー平均と比べると、スプリットを多投している。
第6回 メジャー(MLB)右投手の球種、投球割合

やきゅまる
やきゅまる
ちゃんと調べてないけど、多分メジャーで一番スプリットの割合が多い

3. コース別投球割合

平野佳寿投手のコース別投球割合(2020年)
平野佳寿投手のコース別投球割合(2020年)

メジャー平均と比べると、ボールゾーンの割合が多い
左打者はアウトローの割合が高い
第7回 メジャー(MLB)右投手のコース別投球割合

ストレート

平野佳寿投手のコース別投球割合(2020年)_ストレート
平野佳寿投手のコース別投球割合(2020年)_ストレート

ストレートに関しては高めの割合が高い
右打者のインローにはほとんど投げていない

スプリット

平野佳寿投手のコース別投球割合(2020年)_スプリット
平野佳寿投手のコース別投球割合(2020年)_スプリット

低めへの割合が高い
右打者にはインローの割合が高く、左打者にはアウトローへの割合が高い。

4. カウント別投球割合

平野佳寿投手のカウント別投球割合(右打者・2020年)
平野佳寿投手のカウント別投球割合(右打者・2020年)
平野佳寿投手のカウント別投球割合(左打者・2020年)
平野佳寿投手のカウント別投球割合(左打者・2020年)

右打者は初球とボールが先行しているとストレートの割合が高い。

左打者はボールが先行しているとストレートの割合が高い
初球はスプリットの割合が高く2ストライクはスプリットしか投げていない
ただし、フルカウントはストレートしか投げていない。
メジャー平均とは大きく違う。
第8回 メジャー(MLB)右投手のカウント別投球割合

5. 被打率・被本塁打

球種別被打率

球種別被打率

年々被打率が悪くなっている。
ストレートは左打者の方が被打率が低く、スプリットは右打者の方が被打率が低い。

コース別被打率

平野佳寿投手のコース別被打率(2018~2020年)
平野佳寿投手のコース別被打率(2018~2020年)

右打者はインロー、インハイ、アウトローの被打率が低い
左打者はインハイとアウトローの被打率が低い
第9回 メジャー(MLB)右投手のコース別被打率、被本塁打

ストレート

平野佳寿投手のコース別被打率(2018~2020年)_ストレート
平野佳寿投手のコース別被打率(2018~2020年)_ストレート

右打者はインロー、インハイと真ん中付近の被打率が低い
左打者はインハイの被打率が低い

スプリット

平野佳寿投手のコース別被打率(2018~2020年)_スプリット
平野佳寿投手のコース別被打率(2018~2020年)_スプリット

右打者は高め、アウトコース、インローの被打率が低い
左打者は高めとアウトローの被打率が低い

コース別被本塁打

平野佳寿投手のコース別被本塁打(2018年~2020年)

左右関係なく、ストレートは高めスプリットは低めを被弾している。

6. 球速・回転数

平野佳寿投手の球速・回転数(2020年)
平野佳寿投手の球速・回転数(2020年)
平野佳寿投手の平均球速・平均回転数(2020年)
平野佳寿投手の平均球速・平均回転数(2020年)_表
平野佳寿投手の平均球速・平均回転数(2020年)_表

ストレート、スプリットのどちらも球速が年々低下している。
ストレートに関しては平均回転数も年々低下している。

やきゅまる
やきゅまる
2020年の不調の原因は球速低下が考えられるね

第10回 メジャー(MLB)右投手の平均球速・平均回転数

7. 平均リリースポイント・変化量

平均リリースポイント

平野佳寿投手の平均リリースポイント
平野佳寿投手の平均リリースポイント
平野佳寿投手の平均リリースポイント_前後
平野佳寿投手の平均リリースポイント_前後
平野佳寿投手の平均リリースポイント_表
平野佳寿投手の平均リリースポイント_表

2018年から2019年はリリースポイントが高くなっている。
2019年から2020年はリリースポイントが頭に近くなり、捕手側でリリースしている。
第11回 メジャー(MLB)右投手の平均リリースポイント・平均変化量

変化量

平野佳寿投手の変化量(2020年)
平野佳寿投手の変化量(2020年)
平野佳寿投手の平均変化量
平野佳寿投手の平均変化量

ストレートはメジャー平均よりもホップ成分とシュート成分が多い
スプリットはメジャー平均よりも落差が大きく、ほぼストレートの真下にある。

第11回 メジャー(MLB)右投手の平均リリースポイント・平均変化量

8. 軌道シミュレーション

軌道

三塁側から見た軌道
三塁側から見た軌道
上から見た軌道
上から見た軌道
捕手目線の軌道
捕手目線の軌道
捕手目線の軌道_ピッチトンネル
捕手目線の軌道_ピッチトンネル

メジャー平均と比べると、ストレートとスプリットはほぼ同じ軌道であり、見分けるのが難しい
第12回 メジャー(MLB)右投手の軌道シミュレーション

やきゅまる
やきゅまる
メジャー平均と比べるとピッチトンネルが優秀

ストレートの軌道

ストレートの軌道
ストレートの軌道

スプリットの軌道

スプリットの軌道
スプリットの軌道

軌道シミュレーション

平野佳寿投手の軌道シミュレーション
平野佳寿投手の軌道シミュレーション
平野佳寿投手の軌道シミュレーション(トンネルポイントで一時停止)
平野佳寿投手の軌道シミュレーション(トンネルポイントで一時停止)

0.02秒/1コマでメジャー(MLB)右投手の軌道シミュレーションで作成。
下はストレートのトンネルポイント地点の時間で一時停止したものである。
ストレートで止めているので、他の球種は実際のトンネルポイントとは差異がある点に注意。

やきゅまる
やきゅまる
ストレートを見た後だと、スプリットが落ちているのが分かる

9. 打球の種類比率・リスク管理

平野佳寿投手の打球の種類比率
平野佳寿投手の打球の種類比率
平野佳寿投手のリスク管理
平野佳寿投手のリスク管理

スプリットはメジャー平均よりもゴロ率が高く、優秀である。
ストレートはゴロ率が低く、特に2020年はかなり低い。

2019年のスプリットは非常に高い空振り率を記録しており、これが奪三振率が高い要因だったと考えられる。

第13回 メジャー(MLB)右投手の打球種類比率・リスク管理

10. まとめ

利き手
球種の豊富さ1 out of 5 stars (1 / 5)
制球力3 out of 5 stars (3 / 5)
球速3 out of 5 stars (3 / 5)
奪三振能力4 out of 5 stars (4 / 5)
ピッチトンネル4.5 out of 5 stars (4.5 / 5)
ストレート3 out of 5 stars (3 / 5)
スプリット4 out of 5 stars (4 / 5)
対左打者4 out of 5 stars (4 / 5)
リリース近さ4 out of 5 stars (4 / 5)
リリース高さ4 out of 5 stars (4 / 5)
球持ち3 out of 5 stars (3 / 5)
各能力の評価

年々球速が低下していて、与四死球が増えているのが不安材料です。
ただし、ストレートとスプリットの見分けが難しいので活躍してくれると思います。

やきゅまる
やきゅまる
スライダーをもう少し投げた方が打者は嫌だと思う

成績と投球割合

・2020年の四死球が増えている。

・ストレート、スプリットの2球種

・投球割合はほぼ半分ずつであるが、左打者にはスプリットが少し多い

・ボールゾーンの投球割合が多い

・左打者はアウトローの割合が高い

・ストレートは高め、スプリットは低めの投球が高い

・右打者は初球とボールが先行しているとストレートの割合が高い

・左打者はボールが先行しているとストレートの割合が高い

被打率

・年々被打率が悪くなっている

・ストレートは左打者、スプリットは右打者の方が被打率が低い

球速

・ストレート、スプリットのどちらも球速が年々低下

・ストレートに関しては平均回転数も年々低下

リリースポイント、変化量、軌道

・2018年から2019年はリリースポイントが高くなっている

・2019年から2020年はリリースポイントが頭に近くなり、捕手側でリリース

・ストレートはメジャー平均よりもホップ成分とシュート成分が多い

・スプリットはメジャー平均よりも落差が大きく、ほぼストレートの真下

・ストレートとスプリットはほぼ同じ軌道であり、見分けるのが難しい