第141回 【大谷翔平】スライダーが今季最速(2021年9月26日投球分析)
現地時間9月26日(日本時間27日)に本拠地最終戦でのマリナーズ戦に出場、投打のリアル二刀流の「2番投手」で先発しました。
投手としては7回を5安打1本塁打1失点、10奪三振1死球の好投でしたが、勝敗は付かず。残念ながらベーブ・ルース以来となる「2桁勝利・2桁ホームラン」の達成は持ち越しとなりました。
これで今季は23試合(23先発)に登板し9勝2敗、防御率3.18。
打者としては3打数1安打でした。登板後は外野の守備にはつきませんでした。
前回同様にフォークはいつもの「ジャイロ回転するフォーク」、「スプリームのようなシュート回転するフォーク」の2種類を投げていました。
今回はそんな「大谷翔平投手の2021年9月26日投球分析」を紹介します。
データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。
1. 投球割合
日別投球割合(2021年)
上図は2021年の登板日別の投球割合です。
今回はフォークが31%、スライダーが48%と非常に多かったです。そのためストレートの割合が今季最小でした。
カーブは投げませんでした。
左右別投球割合
上は2021年、下は9月26日の左右別の投球割合です。
今回は左右どちらにもフォーク、スライダーが非常に多かったです。 そのためストレートの割合が少なかったです。
回別投球割合
今回は終始フォーク、スライダーを軸に投球していました。どの回もストレートの割合が少なかったです。
2. 球速・回転数
球速・回転数
今回のストレートは平均球速156.8km/h、最高球速159.6km/hでした。
いつもよりフォーク、スライダーも約4km/hも速かったです。特にスライダーは平均、最高ともに今季最速でした。
回別平均球速
初回から156km/hと速かったですが、尻上がりに球速がさらに上がりました。
7回に最高球速を記録したこと、本人の試合後のコメントからも余力がまだあったみたいです。
日別平均球速
上図は2021年の登板日別の平均球速です。
ストレートは6月以降 、平均154km/h前後で安定しています。
9月に入り、フォークとスライダーの球速が上昇しています。
日別平均回転数(2021年)
全球種の登板日別の平均回転数です。
全球種が緩やかに回転数が減少傾向。開幕当初から緩やかに減少傾向なので、二刀流による疲労が主な原因ではないかと思います。
ただ8月以降はストレートの回転数は平均2000~2100回転で安定しています。
3. 各成績
対左右成績
左は2021年の平均、右が9月26日の対左右の成績です。
今回は左打者に本塁打も含め、すべてのヒットを打たれました。ただ2安打は味方の守備に問題があったように、投球内容は左右どちらも良かったです。
球種成績
左は2021年の平均、右が9月26日の球種別被打率です。
今回は珍しくフォークが左打者に打たれました。これは制球が甘く、少し高かったからだと思います。
一方、投球割合が多かったにも関わらず、スライダーはあまり打たれませんでした。
投球割合が少なかったため、ストレートは左打者にかなり有効でした。
4. 変化量
全球種
上図は「2021年の平均」、「今回(9月26日)」の変化量です。
球速が速かったこともあり、スライダーは横変化量が少なく、ホップ成分が多かったです。そのため、スラッターとの判別が難しかったです。
注目のフォークは、いつもの「ジャイロ回転するフォーク」、「スプリームのようなシュート回転するフォーク」の2種類を投げていました。
フォーク
上図はフォークを目測で 「ジャイロフォーク(いつものフォーク)」、「スプリーム(シュート回転するフォーク)」の2種類に分類した変化量です。
キレイに変化量が2つのグループに分かれていて、スプリームがシュート成分が多いのが分かります。
さらにこの2種類のフォークの球速と回転数の図を作成しました(下図)。
ジャイロフォークは平均143.6km/h・回転数1159で、スプリームは 平均146.8km/h、回転数1336でした。
スプリームの方が高速で、回転数が多いです。
5. リリースポイント
上図は「2021年の平均」、「今回(9月26日)」のリリースポイントです。
リリースポイントはスリークォーター気味です。
6. ベース上のボールの位置
今回(9月26日)の左右打者へのベース上のボールの位置です。
右打者にはほとんどスライダーしかストライクゾーンに投げていませんでした。
左打者のアウトローにスプリームが良く決まっています。そのため、ストレートやスライダーが多少甘いコースでもスプリームの残像が残っていて、差し込まれていたのだと思います。
まとめ
①フォーク31%、スライダー48%
②平均球速156.8km/h、最高球速159.6km/h
③スライダーは変化量が小さく、今季最速
④フォークはジャイロとスプリームの2種類
⑤スプリームはシュート成分が多く、高速
今回は「大谷翔平投手の2021年9月26日投球分析」を紹介しました。
前回同様にフォークはいつもの「ジャイロ回転するフォーク」、「スプリームのようなシュート回転するフォーク」の2種類を投げていました。そのスプリームはシュート成分が多く、高速でした。
スライダーは平均、最高ともに今季最速で、横変化量が小さく、ホップ成分が多かったです。
次回登板があるかは微妙な状況ですが、10勝するためにも最終戦のマリナーズ戦で投げてほしいです。
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