第281回 【大谷翔平】MLB自己最速163.2キロで12勝目(2022年9月10日投球分析)

2023年2月9日

大谷翔平投手の投球内容(2022年9月10日)
大谷翔平投手の投球内容
(2022年9月10日)

2022年9月10日、大谷翔平投手(28)が敵地ミニッツメイド・パークでのアストロズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。

5回を投げて79球、被安打6、四死球2、奪三振7、失点1で12勝目

しかし、6回の投球練習中に右手中指のマメの影響で降板しました。

今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年9月10日投球分析」を紹介します。

大谷翔平投手の投球分析の過去記事

データはBaseball SavantFanGraphsのデータを使用します。

やきゅまる
やきゅまる
左打者へのスラッターが良かったね
投球練習中に右手中指のマメの影響で降板

1. 球種・投球割合

ツーシームスラッタースライダー多投

大谷翔平投手の日別投球割合(2022年9月10日まで)
大谷翔平投手の日別投球割合
(2022年9月10日まで)

今回はストレートツーシームフォークスラッタースライダー5球種を投球しました。

いつもよりツーシーム25%スラッター16%と多投しました。

スプリームカーブは投げませんでした。

※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。

やきゅまる
やきゅまる
今季初めてカーブを投げなかったね

右打者にツーシームスライダー、左打者にスラッター

大谷翔平投手の左右投球割合(2022年9月10日)
大谷翔平投手の左右投球割合
(2022年9月10日)

上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。

右打者には約8割以上がツーシームスライダーでした。

一方、左打者には77%がスラッターでした。

やきゅまる
やきゅまる
ツーシームは右打者のみだったね

2. コース

ツーシームスラッターはインローへ

大谷翔平投手のベース上の位置(2022年9月10日)
大谷翔平投手のベース上の位置
(2022年9月10日)

右打者にはツーシーム左打者にはスラッターをインローに投球していました。

やきゅまる
やきゅまる
右打者の方がツーシームを投げやすいタイプなんだね

3. 各成績

打たれたのは右打者

大谷翔平投手の左右別成績(2022年9月10日)
大谷翔平投手の左右別成績
(2022年9月10日)

上図は今回、前回登板までの2022年平均MLB右投手平均の左右別被OPSです。

6安打全て右打者から打たれました。

左打者は多投したスラッターが効果的で抑えられました。

やきゅまる
やきゅまる
シーズン全体では左打者の方が打たれてるね

ツーシームは結果球0

大谷翔平投手の球種別成績(2022年9月10日)
大谷翔平投手の球種別成績
(2022年9月10日)

ツーシームは空振りも奪えていましたが、結果球は1球もありませんでした。

左打者に多投したスラッターストライク率62%ゾーン内率69%と制球が良くて有効でした。

全体でストライク率61%(前回72%)、ゾーン内率43%(前回54%)と、いつもよりはボール先行になってしまいました。

空振りは11個(前回12個)と、いつもよりは少なかったです。

やきゅまる
やきゅまる
もう少しツーシームでストライクを取りたいね

4. リリースポイント

ストレートのリリース位置が上がっている

大谷翔平投手のリリースポイント(2022年9月10日)
大谷翔平投手のリリースポイント(2022年9月10日)

左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均△はMLB平均です。

全球種のリリース位置はいつもより一塁側でした。これは腕が振れてないわけではなく、立ち位置が一塁側だったからと考えられます。

普通はツーシームの影響でリリース位置が下がりやすいですが、大谷翔平投手の場合はストレートのリリース位置が上がっています

やきゅまる
やきゅまる
大谷投手の場合、ツーシームによってフォームに悪影響は出なさそうだね

5. 球速と回転数

平均球速158.2km/h、最高163.2km/h

大谷翔平投手の球速・回転数(2022年9月10日)
大谷翔平投手の球速・回転数
(2022年9月10日)

上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均△はMLB平均を表しています。

ストレート平均球速158.2km/hMLBキャリア最速となる最高球速163.2km/h回転数は2266回転でした。

スラッターが5km/h以上も速くなり、平均球速150.9km/hと高速化しました。

MLBキャリア最速となる163.2km/h

平均球速は今季4番目

大谷翔平投手の球速・回転数の日別推移(2022年9月10日まで)
大谷翔平投手の球速・回転数の日別推移
(2022年9月10日まで)

ストレート平均球速158.2km/hで、今季の中では4番目に球速が出ていました。

回転数は2266回転でやや平均以上でした。

やきゅまる
やきゅまる
もしかしたらツーシームによって、ストレートに良い影響があるのかも

5回まで球速を維持

大谷翔平投手の回別平均球速(2022年9月10日)
大谷翔平投手の回別平均球速
(2022年9月10日)

点を取られた初回は155.3km/hとあまり球速が出ていませんでしたが、その後は球速が上がって5回でも158.2km/hと最後まで球速を維持しました。

6. 回転軸と変化量

回転軸

大谷翔平投手の回転軸(2022年9月10日)
大谷翔平投手の回転軸
(2022年9月10日)

上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。

ツーシームの変化量大

大谷翔平投手の変化量(2022年9月10日)
大谷翔平投手の変化量
(2022年9月10日)

上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年△はMLB平均を表しています。

いつもは真っスラ気味のストレートはややシュートライズ気味でした。ただアルトゥーベ選手から三振を奪った1球だけはスラッターみたいな変化量でした。

ツーシームMLB平均よりも変化量が大きいです。

フォーク変化量が安定していました。

スラッターはいつもより変化量が小さいです。

多投したスライダー横変化量40cm以上のボールが多かったです。

やきゅまる
やきゅまる
162.1km/hで変化量が大きいのは脅威
162.1km/hのツーシーム

まとめ

大谷翔平投手の投球内容とコース(2022年9月10日)
大谷翔平投手の投球内容とコース
(2022年9月10日)
まとめ

①右にはツーシームとスライダー、左にはスラッター
②ツーシームとスラッターはインローへ
③スラッターが平均150.9km/hと高速化
④ツーシームは結果球0
⑤ツーシームの変化量大

【ストレート】
平均球速158.2km/h
最高163.2km/h(MLB自己最速)
平均2266回転
ホップ量37cm、シュート成分11cm

今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年9月10日投球分析」を紹介しました。

5回を投げて79球、被安打6、四死球2、奪三振7、失点1で12勝目

右打者には8割がツーシームスライダー、左打者には77%がスラッターでした。

スラッターが5km/h以上も速くなり、平均球速150.9km/hと高速化しました。

ストレート平均球速158.2km/hMLBキャリア最速となる最高球速163.2km/hと球速が出ていました。

スラッター高速化して左打者にかなり有効だったので、あとはツーシームをもっとゾーンな内に投げられると、次回登板では圧倒的な投球になりそうです。

やきゅまる
やきゅまる
マメの影響だけが心配だね