第250回 【大谷翔平】6回無失点で5勝目&11試合連続安打(2022年6月16日投球分析)
2022年6月16日、大谷翔平投手(27)が敵地Tモバイル・パークでのマリナーズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回を投げて93球、被安打3、四死球2、奪三振6、0失点の投球内容で5勝目。
相手打線は6人が左打者(両打含む)でしたが、スライダーを多投して単打3本に抑えました。
打ってはキャリアハイタイの11試合連続安打を放つなど、マルチ安打の活躍でした。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年6月16日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
スライダーを42%と多投
今回はストレート、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの5球種でした。
スライダーを42%と多投して、スプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左右関係なくスライダーを多投
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
左右関係なくスライダーの割合が多くなっています。また、右打者にはカーブを投げませんでした。
2. コース
左の膝元を攻めた
いつもはアウトコース中心の投球ですが、前回同様に左打者の膝元が多いです。これにより今まで打たれていた左打者を抑えることが出来たと考えられます。
一方、右打者のゾーン内のストレートが少なく、スライダーでしかストライクが取れなかったのが右打者から三振が奪えなかった原因と考えられます。
3. 各成績
三振は5つが左打者
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
いつもより左打者の被打率、被OPSが低く、今回は三振は5つが左打者でした。
空振りが9個のみ
今回は空振りが9個のみ(前回18個)と少なく、見逃し16個(前回9個)と見逃しでカウントを整えていました。
全体としてはストライク率58%(前回63%)、ゾーン内率46%(前回42%)とあまりボールゾーンの球を振らせられなかった。
4. リリースポイント
リリース位置が体から遠く、高い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
前回同様にリリース位置が体から遠く、高いです。一方、球離れはいつもぐらいでした。
5. 球速と回転数
平均球速154.8km/h、最高160.0km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速154.8km/h、最高球速160.0km/h、回転数は2237回転でした。
カーブはカウントを取るスローカーブと、球速が速く回転数が多く決め球のパワーカーブの2種類を投げ分けていました。
球速はいつもより遅め
ストレートは平均球速154.8km/hで今季の中でも球速が遅い方でした。回転数は2237回転と今季の中では平均的でした。
6回まで球速維持
6回までは平均球速を維持していました。3回に158.2km/hまで平均球速を上げましたが、他の回はそこまで球速が上がることはありませんでした。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
真っスラが少ない
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートは真っスラが少なく、ホップ量が多い球が多かったです。
フォークは落差が大きいです。
スライダー、カーブは横変化量が減少しています。
まとめ
①左右関係なくスライダーを多投
②左の膝元を攻めて、左打者を抑えた
③右のゾーン内にストレートがほぼ無い
④空振りが9個に減少(前回18個)
⑤リリース位置が遠くて高い
⑥平均球速154.8km/h、2237回転
⑦最速160.0km/h
⑧真っスラが少ない
⑨フォークの落差が大きい
⑩スライダー、カーブの横変化量が少ない
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年6月16日投球分析」を紹介しました。
6回を投げて93球、被安打3、四死球2、奪三振6、0失点の投球内容で5勝目。
いつもはアウトコース中心の投球ですが、今回は左打者の膝元が多くて左打者を抑えました。一方、右打者のゾーン内のストレートが少なく、スライダーでしかストライクが取れなかったのが右打者から三振が奪えなかった原因と考えられます。
ストレートは平均球速154.8km/h、最高球速160.0km/hとそれほど球速は出ていませんでしたが、真っスラが少なく、ホップ量が多い球が多かったです。
フォークは落差が大きいのも良かったです。
早朝4時にシアトルに到着して疲労も溜まっていた中でこれだけの投球が出来たので、次回登板も期待したいです。
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