第359回 【大谷翔平】6四死球も7回無失点1安打で2勝目(2023年4月11日投球分析)
2023年4月11日(日本時間4月12日)、大谷翔平投手(28)が本拠地アナハイムでのナショナルズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
7回を投げて92球、被安打1、四死球6、奪三振6、失点0で今季2勝目。
投球内容としては今回も制球が不安定で6四死球を与えましたが、最近はスイーパーと呼ばれるスライダーを6割も多投して7回無失点に抑えました。
今回はそんな「大谷翔平投手の2023年4月11日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
スライダーを60%と多投
今回はストレート、ツーシーム、フォーク、カットボール、スライダー、カーブの6球種を投球しました。
特にスライダーを60%と多投。
スプリーム、縦スラは投げませんでした。
※当ブログでは「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左打者にもツーシーム、スライダーを多投
上は2022年、下は今回の左右投球割合です。
2022年は右打者に多く投球していたツーシーム、スライダーは左打者にも多投しました。
一方、2022年は左打者に多く投球していたカットボールは右打者にも多投しました。
2巡目から球種増加
1,2回の1巡目はほぼストレートとスライダーの2球種でしたが、2巡目となる3回から球種が増加しました。
2. コース
右打者のアウトローに外れるボールが多かった
ストレートとスライダーは右打者のアウトローに外れるボールが多かったです。
3. 対左右成績
右打者に四死球5
上図は今回、2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
前回同様に右打者に四死球5と特に右打者への制球に苦労しました。
4. 球種成績
ストライク率が低い
全体でストライク率60%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率58%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率が高いにも関わらずストライク率が低かった。
特にストレート、ツーシームはゾーン内率の方が高いという不思議な現象になっています。この理由としては「明らかなボール球が多い」「際どいゾーン内の球をボールとコールされた」が考えられます。
ストレート、ツーシームは明らかなボールが多く1球も振って貰えませんでした。さらにストレートは3球、ツーシームとスライダーは1球ずつゾーン内をボールとコールされました。
5. リリースポイント
去年よりリリース位置が低い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
2022年よりリリース位置が低く体に近いです。
また2022年でもMLB平均よりかなり球持ちが良かったですが、今回はさらに球持ちが良いです。
6. 球速と回転数
平均球速155.1km/h、最高158.8km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速155.1km/h、最高球速158.8km/h、回転数は2262回転でした。
ツーシームは回転数で2グループに分かれており、回転数を使い分けて投げている可能性があります。また2022年より約7km/h遅いです。
スライダーは2022年より約5km/h遅いです。
前回よりも球速は出ていなかった
上は登板日別と2022年の平均球速と回転数の図です。
平均球速は2022年に比べると遅く、前回くらいでした。
6回まで球速維持
上は球種ごとの回別平均球速です。
序盤は154km/h前後でしたがピンチだった4回にギアを上げて158.5km/hまで球速が上がりました。終盤でも球速は下がることなく、7回でも156.6km/hをキープしていました。
7. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
スライダーの横変化量43cm
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートは2022年平均くらいの変化量でした。
ツーシーム、フォーク、カットボールは変化量が安定していました。
スライダーは2022年以上の横変化量43cmと凄い曲がり幅でした。また球速が遅かった分ホップ量が少なかったです。
カーブは縦変化量が増加していました。
まとめ
①スライダーが6割
②ツーシームとスライダーを左打者にも多投
③2巡目から球種が増加
④右打者に四死球5とアウトローに外れる球が多い
⑤ゾーン内率58%と高いのにストライク率60%
⑥ストレート、ツーシームはゾーン内率の方が高い
⇒「明らかなボール球が多い」「際どいゾーン内の球をボールとコール」
⑦2022年よりリリース位置が低く体に近い
⑧ツーシームは回転数を使い分けてる?
⑨スライダーが2022年より約5km/h遅い
⑩ピンチの4回にギアが上がる
⑪カーブの縦変化量大
⑫スライダーの横変化量43cmと驚異的
【ストレート】
平均球速155.1km/h
最高158.8km/h
平均2262回転
ホップ量35cm、シュート成分10cm
今回は「大谷翔平投手の2023年4月11日投球分析」を紹介しました。
今回も制球が不安定で6四死球を与えましたが、最近はスイーパーと呼ばれるスライダーを6割も多投して7回無失点に抑えました。
1,2回の1巡目はほぼストレートとスライダーの2球種でしたが、2巡目となる3回から球種が増加しました。
ストレートとスライダーは右打者のアウトローに外れるボールが多く、2試合連続で右打者に5四死球を与えているので次回登板ではどのように修正してくるのか楽しみです。
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