第378回 【大谷翔平】6回2失点10Kも勝星消滅(2023年5月27日投球分析)
2023年5月27日(日本時間5月28日)、大谷翔平投手(28)が本拠地アナハイムでのマーリンズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
6回を投げて109球、被安打6、被本塁打0、四死球3、奪三振10、失点2でしたが勝敗は付きませんでした。
初回に自分のエラーで出して点を取られましたが、その後は多彩な球種で危なげない投球を続け被長打0でした。
5回に単打3つで失点しましたが6回を投げきり勝ち投手の権利を持って降板しました。しかし、その後救援陣が逆転されてしまいました。
これで被打率.155はMLB1位、シーズン90奪三振はMLB2位、奪三振率12.5はア・リーグ1位となりました(5月27日時点)。
今回はそんな「大谷翔平投手の2023年5月27日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
今回も縦スラを投球
今回はストレート、ツーシーム、スプリーム、フォーク、カットボール、縦スラ、スライダーの7球種を投球しました。
今回はカーブは投げませんでした。
あまりに多彩すぎてトラックマンデータも球種を誤判定していたので、握りで球種を再判別しました。
大谷翔平投手が前に語ったようにMLB公式の球種判別は間違っていることがあるみたいです。
※当ブログでは握りが違う「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
左打者の球種バランスが良い
上は2022年、下は今回の左右投球割合です。
右打者はストレート、ツーシーム、スライダーの3球種で88%と大半を占めていますが、左打者は6球種をバランスよく投球しました。
初回にフォークを多投
上位打線にフォークを意識させるため初回にフォークを多投しました。
今回はツーシームでストライクが取れなかったので4回以降はほぼ投げませんでした。
2. コース
右打者のアウトコースで空振り量産
右打者はアウトコースで空振りを量産しました。また左打者はインコースで空振りを多く奪いました。
3. 対左右成績
四死球は3つとも右打者
上図は今回、2023年、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
今回は右打者から8奪三振を奪いました。
4. 球種成績
スライダーは空振率28%
全体でストライク率66%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率47%(MLB平均48.5%)と、ゾーン内率が少し低いです。
特にツーシームとスプリームはストライク率とゾーン内率が低く制球に課題があります。
スライダーは空振率28%と高く、空振りが12球もありました。
5. リリースポイント
リリース位置が体に近く低い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
2022年よりリリース位置が低く体に近いです。
また球持ちが近いです。
今回もスライダーを上から投げたり、横から投げたりしていました。
6. 球速と回転数
平均球速156.9km/h、最高162.5km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速156.9km/h、最高球速162.5km/h、回転数は2221回転でした。
2022年よりツーシームは約4.5km/h遅いです。
回転数は今季2番目に悪い
上は登板日別の平均球速と回転数の図です。
ストレートの平均球速156.9km/hは今季平均くらいでした。回転数は今季2番目に悪い2221回転でした。
上位打線時に球速アップ
上は球種ごとの回別平均球速です。
上位打線(2〜4番)と対戦した1回、3回、4回、5回は球速が上昇しています。
上位打線(2〜4番)に対しては平均球速158.4km/h、それ以外は平均球速155.1km/hと明らかに差がありました。
7. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートはギアが上がるとホップ成分が増加
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
ストレートは変化量が不安定でした。
ツーシームは変化量が2グループあり、変化量を調整していたみたいです。
縦スラは球速が速い分、2022年より縦変化量が小さいです。
スライダー(スイーパー)はカーブのように縦に回転をかけるようなリリースの時は縦変化量が大きいです(スラーブ?)。
まとめ
①被打率.155はMLB1位
②シーズン90奪三振はMLB2位
③被長打0
④7球種(握りで球種を判定)
⑤右打者は3球種で88%、左打者は6球種のバランスが良い
⑥初回にフォークを多投
⑦ツーシームは4回以降は1球のみ
⑧右打者のアウトコースで空振り量産
⑨左打者はインコース多投
⑩スライダーは空振率28%
⑪ツーシーム、スプリームはゾーン率低い(制球に課題)
⑫スライダーを上から投げたり、横から投げたり
⑬2022年よりツーシームは約4.5km/h遅い
⑭上位打線には平均158.4km/h
⑮ストレートは変化量不安定
⑯ツーシームは変化量が2グループ
⑰縦スラは2022年より縦変化量が小さい
⑱スライダーの握りでカーブのようなリリース(スラーブ?)
【ストレート】
平均球速156.9km/h
最高162.5km/h
平均2221回転
ホップ量36cm、シュート成分10cm
今回は「大谷翔平投手の2023年5月27日投球分析」を紹介しました。
6回を投げて109球、被安打6、被本塁打0、四死球3、奪三振10、失点2でしたが勝敗は付きませんでした。
初回に自分のエラーで出して点を取られましたが、その後は多彩な球種で危なげない投球を続け被長打0でした。
色んな球種を試しているので次回登板のアストロズ戦が楽しみです。
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