第88回 【大谷翔平】スラッター(スラット)とスライダー(2021年4月26日投球分析)
現地時間4月26日、「2番・投手」として2度目のリアル二刀流で出場。投げては5回75球3安打2四死球4失点9奪三振、打っては3打数2安打3得点2打点の活躍で今季初勝利を記録しました。本塁打トップの選手が先発登板するのはベーブ・ルース以来100年ぶりの快挙になります。
この試合後のインタビューで、以前記事にした新変化球について大谷翔平投手自身が以下のコメントをしていました。
記者の質問「カットボールみたいなボールがあったが?」
大谷投手「あんまり気にしてないというか、小っちゃくて速い方と、大きく曲がるようなスライダー。どちらもスライダーでもありますし、カットともまぁ言えると思うので。あんまりその、呼び方はどっちでもいいかなと思います。」
日刊スポーツより引用
なるほどなるほど、この「小っちゃくて速い方」が新変化球なのですが困りました。呼び方を決めて貰えなかった😅
本人も「スライダーと言えるし、カットボールと言える」ということなので、当ブログでは下記のように呼ぶことにします。ちなみに「スラット」よりも「スラッター」の方を英語のことを考えて採用しています。
従来の大きく曲がる球 ⇒ 「スライダー」
新変化球の小っちゃくて速い球 ⇒ 「スラッター」
ということで、今回は「スライダー」と「スラッター」を中心に2021年4月26日投球分析を紹介します。データはBaseball Savantを使用します。
1. 新変化球は「Cutter」として分類
ちなみにBaseball Savantでは新変化球「スラッター」は今回から「Cutter」に分類されていました。4月4日、4月20日に関しても再分類されて「Cutter」になっていました。
2. スライダーとスラッターの投球割合が少ない
投球割合
左図は前2試合の投球割合、右図は4月26日の投球割合です。スライダーとスラッターを合わせた投球割合が29%から12%に減少しています。
回別投球数
上図は回別投球数です。初回はカーブとストレートの制球に苦しみ、置きに行ったスラッターを被弾して4失点しました。2回からはカーブとスラッターを捨て、ストレートとフォークを中心に制球を立て直し、余裕がある場面でスライダーを投げて好投しました。
3. リリースポイントが2回以降に改善
上記の記事で佐々木主浩氏が指摘している「手首の角度」の変化が知りたくて、リリースポイントを調べてみました。ただ、リリースポイントからは「手首の角度」は分かりませんでした。
明らかに1回はリリースポイントが頭に近く、2回以降は今年の平均に近づいています。2020年の投球でも同様な傾向が見られましたが、大谷投手は肘が伸び切らず腕が振れていない時にこの傾向が見られます。そのためストレートの制球に苦しんだと考えられます。
またリリースポイントの変化により「手首の角度」の変化も生まれていたのかもしれません。
4. 球種成績
球種成績を見るとスラッターは本塁打を打たれた1球が悔やまれます。スライダーはこの試合4球投げた内の2球で見逃し三振を奪いました。
5. 球速、回転数、変化量は今季平均くらい
球速・回転数
変化量
全球種が球速、回転数、変化量は今季平均くらいでした。
6. 見逃し三振のスライダーが話題
上記のバックドアとフロントドアの見逃し三振のスライダーがツイッターで話題になっていました。
7. まとめ
①本人は新変化球の呼び名を明言せず
②初回はストレートとカーブの制球に苦しむ
③2回以降はカーブとスラッターを捨てた
④2回以降はリリースポイントが改善
⑤スライダーで二つ見逃し三振を奪う
今回は「スライダー」と「スラッター」を中心に2021年4月26日投球分析を紹介しました。
初回はストレートとカーブの制球に苦しみましたが、2回以降はカーブとスラッターを捨てたことでストレートのリリースポイントが改善されて好投しました。スライダーで二つ見逃し三振を奪ったのも大きかったです。
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