第121回 【大谷翔平】高速カーブとスローカーブの2種類を投げている?(2021年7月19日投球分析)
現地時間7月19日(日本時間20日)に敵地でのオークランド・アスレチックス戦に出場、投打の完全二刀流の「2番投手」で先発しました。
投手としては6回3安打0失点、8奪三振1四球と好投しました。ランナー無しの場面では打たせて取る投球でしたが、ランナーが出るとギアを上げて156~159km/hの直球で圧倒していました。
打者としては4打数1安打(2塁打)で、7回にはライトの守備にも就きました。
今回はそんな「大谷翔平投手の2021年7月19日投球分析」を紹介します。
データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。
1. 左打者にもスライダー
日別投球割合(2021年)
上図は2021年の登板日別の投球割合です。
今回は5球種をバランスよく投球していました。今までで一番フォークの投球割合が少なかったです。
左右別投球割合
上図は7月19日の左右別の投球割合です。
左打者にもスライダーを投げることで、左打者の5球種のバランスが良いです。
回別投球割合
1,2回に球数が多くなってしまったところ、3,4回はスラッターを多投して打たせて取るピッチングが出来ていました。
決め球はスライダーが多く、「フォークは今日は投げないのかな?」と思っていたところに6回はフォークを多投していました。
2. 高速カーブ、スローカーブの2種類?
球速・回転数
7月19日のストレートは平均球速154.1km/h、最高球速159.8km/hでした。
スラッターが140km/h以上と速く、ストレートに近い球速でした。よりストレートとの見極めがしにくくなっていて、良い兆候だと思います。
前の試合もそうでしたが、カーブの球速帯が2つあります。もしかしたら大谷投手は空振りを狙う高速カーブ、タイミングを外すスローカーブを投げ分けているのかもしれません。
回別平均球速
初回先頭は140km/h後半でスピードが出ておらず、不安な立ち上がりでしたが、それ以降は球速が安定していました。特にランナーを出してからは150km/h後半を連発して圧倒していました。
日別平均球速
上図は2021年の登板日別の平均球速です。
今回も球速が急に減速した5月19日からは回復傾向です。
日別平均回転数(2021年)
全球種の登板日別の平均回転数です。
全球種が緩やかに回転数が減少傾向で、どこかで急に減少していません。特に粘着物質の取り締まり強化の報道が出た6月初旬以降に、急に回転数が減少していません。
開幕当初から緩やかに減少傾向なので、二刀流による疲労が主な原因ではないかと思います。
3. 今回は変化球は打たれなかった
対左右成績
左は2021年の平均、右が7月19日の対左右の成績です。
今回はスライダーを決め球することが多かったため、右打者の被打率と奪三振が良かったです。
球種成績
左は2021年の平均、右が7月19日の球種別被打率です。
今回はスライダーが左右の打者ともに良かったです。そのため右打者からの三振が多かったです。
4 . ストレートのホップ成分は少なかった
上図は「2021年の平均」、「今回(7月19日)」の変化量です。
今回もストレートのホップ成分が少ないボールが多かったです。
カーブはいつもより横変化が少なかったです。
5. リリースは少し球持ちが良かった
上図は「2021年の平均」、「今回(7月19日)」のリリースポイントです。
全体的に平均くらいでしたが、少し球持ちが良かったです。
6. スライダーの制球力が良かった
今回(7月19日)の球種ごとのベース上のボールの位置です。
ストレートは高め、右打者のアウトロー、インローへ投げ分けられています。
スライダーは右打者の頭付近に抜ける球が無く、 右打者のアウトロー(左打者のインロー)に投げきれていたのが好投に繋がったと思います。
まとめ
①左打者にもスライダーを多投
②平均球速154.1km/h、最高球速159.8km/h
③終盤まで球速安定
④カーブの球速帯が2つ
⑤ストレートはホップ成分が少ない
⑥スライダーの制球力が抜群
今回は「大谷翔平投手の2021年7月19日投球分析」を紹介しました。
スライダーは制球力抜群で左打者にも有効、カーブは球速帯が2つあり、もしかしたら投げ分けているのかもしれません。
前回同様にストレート、フォークでの圧倒的な投球だけでなく、スライダーとスラッターとカーブを使うことで投球の幅が拡がってきました。
色んな投球パターンが出来るようになり、球速も上がってきたので次回登板が楽しみです。
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