第56回 【前田健太】2020年の投球分析

2023年2月9日

10. 打球の種類比率・リスク管理

打球の種類比率

前田健太投手の打球の種類比率
前田健太投手の打球の種類比率

前田投手はメジャー平均よりもゴロ率が高いです。これは低めのボール球を打たせているからだと思います。

リスク管理

前田健太投手のリスク管理
前田健太投手のリスク管理

前田投手は、メジャー平均よりも空振り三振を奪うのが多いことが分かります。

ただ気になるのは被打率が低いにも関わらず、被本塁打率が高いことです。
特にスライダーは投球割合が多いにも関わらず、被本塁打率が高いので改善する必要がありそうです。

やきゅまる
やきゅまる
もう少しスライダーはコースを狙っても良いのかも

11. 空振り率・見逃し率

前田健太投手の空振率
前田健太投手の空振率
前田健太投手の見逃率
前田健太投手の見逃率

投球割合が多いチェンジアップとスライダーの空振り率が高いので、投球が楽になっていそうです。
その2球種のおかげかストレートは見逃しでストライクを取れています。

やきゅまる
やきゅまる
ストレート、チェンジアップ、スライダーのバランスが良い

12. まとめ

良かった点

①球種が多彩で、特にストレート、チェンジアップ、スライダーのバランスが良い
②チェンジアップの落差が大きい
③ほとんどの球種の軌道が似ている
④制球力が良く、ボールゾーンに投げた球のスイング率(O-Swing%)が高い

今回は「前田健太投手の投球分析(2020年)」を紹介しました。

前田健太投手の最大の凄さは「打者が何(どの球種)を投げられたのかが分からない」ことです。その結果、ボールゾーンに投げた球のスイング率(O-Swing%)が高く、打者を抑えられているのだと思います。

2020年の安定感を考えると、2021年も活躍してくれそうです。

やきゅまる
やきゅまる
今年は最多勝、最優秀防御率を取りそう

以下は前田健太投手について、最後に無理矢理改善点を2つ上げてみました。

改善点

①スライダーの制球
②カットボールの改良

①スライダーの制球
 スライダーの被本塁打率が高いので、もう少しスライダーをコースギリギリに投げても良いと思います。それだと他の投手は四球が多くなったり、ボール先行になりがちで悪循環になりますが、前田投手は制球が良いので問題ないと思います。

②カットボールの改良
 カットボールの被打率が高いのは、スライダーと変化が似すぎているためだと思います。そのため、もう少し浮き上がるような「カットライズ」に改良した方が良いと思いました。ただ、これは簡単なことではなく、前田投手はドジャース時代にジャンセン投手(浮き上がるようなカットボーラーの代名詞)に投げ方を聞いたけど、よく分からなかったそうです。もし投げられないのであれば、むしろカットボールは投げなくても良いかもしれません。