第96回 【大谷翔平】ストレートがたまに大きくスライド(2021年5月11日投球分析)
現地時間5月11日(日本時間12日)のアストロズ戦に、投打のリアル二刀流の「2番投手」で出場し、投手としては7回4安打1失点10奪三振1四球、打者としては4打数1安打でした。また8回裏には投手から右翼の守備にもつきました。
今回は「大谷翔平投手の2021年5月11日投球分析」をスライドするストレートに注目して紹介します。
データはBaseball Savantを使用します。過去の投球分析については下記を参照して下さい。
なので「完全二刀流」と言うね
1. 本当に直球なの? 外へ逃げるような158kmで三振を奪う映像
ツイッターでも話題になっていましたが、最初の三振は158km/hのストレートが外に大きく逃げていく変化をしています。あまりの変化に「本当にストレートなの?」と米記者も困惑していました。
2. ストレートがシュートせず、スライドすることがある
上図は2018年の平均、前回までの登板の2021年の平均、5月11日の変化量です。
ストレートに注目すると、普段は15~20cmくらいシュートするストレートがシュートせず、むしろスライドしています。(上図の赤丸)
普段のストレートとの差は最大で30cm以上にもなり、右打者からは大きく逃げるボールになります。
3. 本人は「意図的ではない」と発言
記者の質問「直球がカット気味に曲がる時があるが、意識して投げているか。」
大谷投手「自然にいったりとかですね。自分の武器かなと思っているので」
試合後のインタビューより引用
試合後のインタビューでは上記のように、スライドするのは意図的では無かったと発言していました。
4. スラッターは封印、スライダーがやや多い
上図の左は前回までの投球割合、右は5月11日の投球割合です。
スラッターは封印して、スライダーの投球割合がやや多くなっています。
5. 投球数を抑えられていた
上図は5月11日の回別の投球数です。
今までは4回以外は15球以下に抑えられていて、4回も18球とそれほど多くありません。制球が安定してストライクの数が増えたのが球数を抑えることに繋がったと考えられます。
6. リリースポイントがオーバー気味に変化
上図は2018年の平均、前回までの登板の2021年の平均、5月11日のリリースポイントです。
全体的に頭に近く、高くなっていて、よりオーバー気味に変化しています。このことによって、ストレートがよりスライドしやすくなったと考えられます。
「リリースポイントがオーバー気味だとスライドしやすくなる」ことについては以前書きましたので、下記を参照して下さい。
7. とうとうフォークが打たれる
上が前回までの球種別成績、下が5月11日の球種別成績です。
よくメジャー最強の球種と言われている大谷投手のフォークが打たれました。しかし、打たれたと言ってもボテボテの内野安打です。
8. 球速は抑えめ
全体的に球速は抑えめで、特にカーブが112.7km/hと前回までよりもかなり遅かったです。その効果なのかカーブはよく制球されていました。
球速が遅かった理由として大谷投手は下記のように「時差による疲労」だとコメントしています。
記者の質問「真っすぐの球速が前回から落ちていた。制球力を重視したか。」
大谷投手「単純に今言った通り、体がちょっと重かった。そういう部分かなと思いますけど、軽く投げた割にはいっていた方かなと思います」
記者の質問「体が重かった理由は。」
大谷投手「疲れというよりも軽い時差というか、そういう感じのだるさ。昨日もそういう感じかなと思っていたの」
試合後のインタビューより引用
9. スライドするストレートの軌道
スライドするストレートの軌道を計算しました。通常のストレートと比べるとインコースの球がアウトコースまで変化しています。
10. まとめ
①158km/hのストレートが外に大きく逃げていく変化
②最大で30cm以上スライド
③本人は「意図的ではない」と発言
④スラッターは封印
⑤投球数を抑えられていた
⑥リリースがオーバー気味に変化
今回はスライドするストレートに注目して「大谷翔平投手の2021年5月11日投球分析」を紹介しました。
158km/hのストレートが外に大きく逃げていく変化していましたが、ストレートに比べて最大30cm以上スライドしていました。このボールについて、本人は「意図的ではない」と発言しており、リリースポイントがオーバー気味に変化した影響と考えられます。
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