第433回 【DeNA】2024年新外国人アンソニー・ケイ投手の投球分析
2024年1月10日、DeNAが前アスレチックス傘下でプレーしていたアンソニー・ケイ(Anthony Kay)投手(28)を獲得したと発表しました。1年契約で、年俸は推定80万ドル(約1億1600万円)。
ケイ投手の特徴としては回転数が多く、先発と救援の経験がある平均152.2km/hの左腕です。
また今季習得したスライダー(スイーパー)で左打者から空振りを奪えるようになったのも特徴的です。
今回はそんな「【DeNA】2024年新外国人アンソニー・ケイ投手の投球分析」を紹介します。
Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 基本情報・年度別成績
リリーフと先発の両方を経験
所属球団 | トロント・ブルージェイズ (2019 – 2022) シカゴ・カブス (2023) ニューヨーク・メッツ (2023) |
ポジション | リリーフ、先発 |
投打 | 左投左打 |
生年月日 | 1995年3月21日(28歳) |
身長 | 182.9 cm |
体重 | 98.9 kg |
奪三振率が高い
MLB通算で44試合に登板して防御率6.14、被打率.269、奪三振率9.3、与四死球率5.7です。
今季3Aでは32試合に登板して防御率3.76、被打率.200、奪三振率12.8、与四死球率5.5でした。
3Aでの奪三振率が非常に高い、MLBと3Aともに高い与四死球率です。
投手としての特徴は「被打率が低い」「死球が多い」「回転数が多い」「球速安定」「今季スライダー(スイーパー)を習得して左打者に強くなった」などがあげられます。
ラインドライブが多い
MLB通算のラインドライブ率29%(MLB平均25%)はライナー性の被打球が多いです。
2. 球種・投球割合
6球種
持ち球はストレート、カットボール、チェンジアップ、縦スラ、スライダー、カーブの6球種です。
ただし今季は縦スラがスライダー(スイーパー)に変えて、カーブは投球しませんでした。
また投球の約6割がストレートです。
右にチェンジアップ、左にスライダーを多投
上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。
右打者にチェンジアップ、左打者にスライダーの比率が高いです。
3. カウント別
右にチェンジアップ、左にスライダーが決め球
決め球では右打者にチェンジアップ、左打者にスライダーの比率が高いです。
4. コース
各球種の空振りを奪えるコースが決まってる
上図は球種ごとのベース上の位置です。
各球種の空振りを奪えるコースが決まってます。
ストレートは高め
カットボール、縦スラ、カーブは右インロー、左アウトロー
チェンジアップは右アウトロー
スライダーは左アウトローへの投球が多くて空振りも奪っています。
アウトロー○
左右ともに左打者のアウトローの成績が良いです。
5. 対左右成績
対左打者×→〇
MLB通算で被OPSは右が.764、左が.975と左打者が苦手でしたが、今季スライダー(スイーパー)を習得して対左OPSが.673と左打者が得意になりました。。
6. 得点圏成績
対ピンチで長打率高い
得点圏の被打率.240と対ピンチに強そうですが、被長打率.510と対ピンチになると長打率が上昇します。
また得点圏では与四死球率が上昇と制球も課題です。
7. ホームアウェイ成績
ホームでは得点圏で長打を打たれている
アウェイよりもホームの被打率.270、被OPS.824と低いのに防御率は6.30と高いです。これはホームでは得点圏で長打を多く打たれたからです。
8. 球種別成績
スライダーの空振率が高い
左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートは右被打率.275と低く右打者に有効です。またストライク率が高いです。
カットボールは左被OPS.624と低くて左打者に有効です。
チェンジアップは右被OPS.685と低くて右打者に有効です。
縦スラは左右ともに被OPSが高いです。
スライダーは左被打率.143と非常に低く、空振率25%と高いです。
カーブは右被打率.059と非常に低く右打者に有効です。
全体でストライク率60%(MLB平均64.2%) 、ゾーン内率45%(MLB平均48.5%)と、どちらも低いです。
9. リリースポイント
リリースが低い
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。
MLB平均よりリリースは約10cm低いです。
エクステンションは球離れが早いです。
10. 球速と回転数
平均球速152.2km/h、最高157.2km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2023年平均、△はMLB平均を表しています。ただし、2023年に投球しなかった縦スラとカーブの◇は2022年平均です。
ストレートは平均球速152.2km/hとNPB左腕3位相当の平均球速です。
回転数は2463回転と非常に多いです。
カットボールは平均142.2km/h
チェンジアップは平均139.6km/h
と高速です。
縦スラは133.5km/h ※2022年
スライダー平均131.0km/h
カーブ平均127.2km/h ※2022年
は平均的です。
3年連続で平均球速152km/h前後
2020年は平均150.7km/hでしたが、直近は3年連続で平均球速152km/h前後です。
回転数も2年連続で2500回転前後です。
11. 変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートは平均的
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2023年平均、△はMLB平均を表しています。ただし、2023年に投球しなかった縦スラとカーブの◇は2022年平均です。
ストレートはホップ成分とシュート成分ともにMLB平均くらいです。
チェンジアップは変化量が小さかったですが、2023年は縦変化量が大きいです。
今季習得したスライダー(スイーパー)は横変化量が大きいです。
カットボール、縦スラ、カーブは縦変化量が大きいです。
まとめ
【基本情報】
①今季スライダーを縦スラからスイーパーに変更
②今季3Aで
防御率3.76
被打率.200
奪三振率12.8
与四死球率5.5
③MLBでも被打率が低い
④ライナー性が多い
⑤死球が多い
【球種割合・カウント】
①6球種(今季は4球種)
②今季は縦スラ、カーブは投球0
③ストレート中心(約6割)
④右にチェンジアップ、左にスライダーの比率増加
⑤右にチェンジアップ、左にスライダーが決め球
【コース】
①次のコースの投球と空振り多い
ストレートは高め
カットボール、縦スラ、カーブは右インロー、左アウトロー
チェンジアップは右アウトロー
スライダーは左アウトロー
②アウトロー○
【対左右・得点圏成績・ホーム】
①対左打者×から〇へ
(左被打率.319→.158に今季改善)
⇒今季スライダー(スイーパー)を習得した効果
②得点圏で長打率が上昇
③得点圏で与四死球率上昇
【球種別成績】
①ストレートはストライク率67%高い
②カットボールは対左打者○(左被OPS.624)
③チェンジアップは対右打者○(右被OPS.685)
④スライダーは対左打者○(左被打率.133)
⇒空振率25%と高い
⑤カーブは対右打者○(右被打率.059)
【リリース】
①リリースは約10cm低い
②球離れが早い
【球速・回転数】
①平均球速152.2km/h
⇒NPB左腕3位相当
②最高157.2km/h
③2463回転と非常に多い
④変化球も高速で回転数多い
⑤直近2年は平均152km/h、2500回転前後
【変化量】
①ストレートは平均的
②カットボール、縦スラ、カーブは縦変化量大
③チェンジアップは今季は縦変化量大
④スライダーは横変化量大
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