第326回 【佐々木朗希】2022年の投球分析(成績・球種・球速・変化量など)
13者連続奪三振 | 世界新記録 |
1試合19奪三振 | プロ野球タイ記録 |
完全試合 | 史上最年少 |
17イニング連続無安打 | プロ野球新記録 |
52者連続アウト | プロ野球新記録 |
2022年は佐々木朗希投手の全試合の投球分析を記事にしましたが、2022年全体の総括をしていませんでしたので、今回は「【千葉ロッテ】佐々木朗希投手の投球分析(2022年総括)」を紹介します。
使用するデータはスポナビライブのデータです。
1. 基本情報
経歴 | 岩手県立大船渡高等学校 千葉ロッテマリーンズ (2020 – ) |
プロ入り | 2019年 ドラフト1位 |
ポジション | 先発 |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 2001年11月3日 |
身長 | 190 cm |
体重 | 85 kg |
全ての成績が向上

2022年は9勝4敗、防御率2.02、WHIP0.80、被打率.177、被OPS.495、奪三振率12.0、与四死球率2.1と昨年から全て成績が向上しました。
特に平均球速158.3km/h(MLB先発3位相当)は異次元の投球でした。
左右の被長打率が3割を切っており、安打の80本中57本が単打と長打をほとんど打たれていません。

2. 球種・投球割合
フォークの投球割合が増加


(2022年)
2022年はチェンジアップは投げず、新球種カーブを投げ始めました。
2021年に比べてフォークの投球割合が増加(22%→34%)しました。
その分スライダーの投球割合が減少(17%→5%)しました。
日別投球割合は多少の変動はあるもののストレートとフォークが7〜9割で安定して軸でした。

右打者にはスライダー、左打者にはフォークを多投

(2022年)
左右共にストレートは55%前後、カーブは5%前後投げています。
右打者にはスライダーが14%と多く、その分左打者にはフォークが37%と多いです。

3. コース別
3球種は制球が良い

(2022)
ストレートは左右ともにアウトコースへの投球が多く、高さは真ん中付近が多いです。
フォークは右打者にはアウトロー、左打者には低めへの投球が多いです。
スライダーは右打者のアウトローへの投球が多いです。
カーブは左右ともに真ん中付近が多いです。

低めとインハイの成績が良い

(2022年)
右打者にはアウトハイ、左打者には真ん中高めを打たれています。
左右ともにに低めとインハイの成績が良いです。

4. 各成績
右打者に四死球が少ない

(2022年)
右打者の被打率.165、被OPS.461と右打者の方が成績が良いです。
また右打者には与四死球も170打席でわずか8個しかなく、制球も抜群です。

対ピンチに弱いのを克服

(2022年)
2021年に比べると得点圏被打率が向上(.288→.175)しており、対ピンチに弱いのを克服しました。

ストレートの被打率が向上

(2022年)
ストレートが被打率.224、フォークが被打率.115、スライダーが被打率.150と素晴らしい数字です。
2021年に比べるとストレートの被打率が向上(.308→.224)しました。これは平均球速が上がったのが最大の要因だと思います。
フォークは空振率28%かつストライク率69%と高く、強力でした。
スライダーは空振率26%と高く、右打者には被打率.056しか打たれませんでした。
カーブは見逃率33%と高いですが、左右ともに被OPSが高いです。

5. 球速
平均158.3m/h、最高164km/h


(2022年)
レギュラーシーズンの平均球速は158.3km/hで、最高は164km/hでした。
5月終了時点では平均159.5km/hとMLB先発1位相当の球速でした。しかし6月以降は平均157.1km/hまで下がりました。
走者有無の球速は2021年は「走者あり」だと1.2km/h落ちていましたが、2022年は走者の有無で球速が変わりませんでした。

ストレート全球がNPB平均以上

(2022年)
ストレートは全球がNPB平均以上の球速で、99.5%がMLB平均以上と脅威的な球速でした。
フォークとスライダーはどちらも140km/h前半の投球が多かったです。
カーブは球速があまり安定していません。
「150km/h前後」の球が少ないので、カットボールを習得したら面白そうです。

ストレートは球速が速い方が打たれない

ストレートは球速が上がるにつれて被打率が下がっています。また奪三振も増加して被本塁打が少ないです。
156km/h以上では被打率.158、被本塁打0、133打数中51個の三振を奪っています。

9回まで球速維持

(2022年)
2021年は初回が154.2km/hで、5回は150.9km/hまで球速が落ちてしまっていました。
しかし、2022年は9回まで158km/h前後を維持しています。

回転数

(2022年6月3日)
6月3日の東京ドームの試合ではトラックマンのデータがテレビ放送で表示されていましたのでそれをまとめました。ただしスライダーはこの日に1球も投球しませんでした。
ストレートは平均2480回転(39球)で、これはMLB先発18位相当の数字でNPB平均やMLB平均を大きく上回っています。また球速と回転数が比例しています。ただし、11月10日の侍ジャパン強化試合でのWBC球では平均2191回転でした。
フォークも平均回転数1127回転(19球)でNPB平均やMLB平均を大きく下回っていて、これが落差の大きい変化を生んでいると考えられます。
一方、カーブは平均回転数2041回転(3球)でストレート以下の回転数です。カーブの方が200回転くらい多い投手が一般的なことを考えると、佐々木朗希投手のカーブはまだまだ未完のボールと言えます。
まとめ
①9勝4敗、防御率2.02、WHIP0.80、被打率.177、被OPS.495、奪三振率12.0、与四死球率2.1
②長打少ない(80本中57本が単打)
③2022年からカーブを投球
④フォークの投球割合増加(22%→34%)
⑤右打者にはスライダー、左打者にはフォークを多投
⑥低めとインハイの成績が良い
⑦右打者に四死球が少ない(170打席8個のみ)
⑧得点圏被打率が向上(.288→.175)
⑨ストレートの被打率が向上(.308→.224)
⑩フォークは空振率28%かつストライク率69%
⑪スライダーは空振率26%と高く、対右被打率.056
⑫平均球速158.3m/h、最高164km/h
⑬6月以降に球速低下(159.5→157.1)
⑭走者の有りでも球速維持
⑮ストレートは99.5%がMLB平均球速以上
⑯156km/h以上では被打率.158、被本塁打0、51奪三振(133打数)
⑰9回まで球速維持
⑱ストレートは平均2480回転(6/3)
⇒ただしWBC球では平均2191回転(11/10)
今回は「【千葉ロッテ】佐々木朗希投手の投球分析(2022年総括)」を紹介しました。
2022年は9勝4敗、防御率2.02、WHIP0.80、被打率.177、被OPS.495、奪三振率12.0、与四死球率2.1と昨年から全て成績が向上しました。
特に平均球速158.3km/h(MLB先発3位相当)は異次元の投球でした。
2022年は疲労が溜まった後半戦の成績が少し下降しました。そのため、カットボールなどを習得してストレートの割合を減らしたり、球数を抑えられるようになるともっと圧倒的な成績が残せそうです。

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