第316回【ヤクルト】2023年新外国人キオーニ・ケラ投手の投球分析

2023年1月11日2023年2月9日

ヤクルトが右腕ケラを獲得　MLB通算243試合の大物「日本の野球を学び、優勝に貢献」（

　ヤクルトは21日、来季の新外国人投手として前ドジャース傘下のキオーニ・ケラ投手の獲得を発表した。 ...

https://news.yahoo.co.jp/articles/520326f10575aa03783ac4415f...

2022年12月21日、ヤクルトが新外国人選手として前ドジャース傘下のキオーニ・ケラ投手(29)を獲得したと発表しました。1年契約で年俸100万ドル（約1億4000万円）プラス出来高払いで背番号は「11」。

ケラ投手はオーバースローから「ノビのあるストレート」と「縦に落ちるパワーカーブ」を投げ込むツーピッチ剛腕リリーフです。

今回はそんな「【ヤクルト】2023年新外国人キオーニ・ケラ投手の投球分析」を紹介します。

Baseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。

2023年新外国人の記事一覧

1. 1. 基本情報
2. 2. 球種・投球割合
3. 3. コース
4. 4. 各成績
5. 5. リリースポイント
6. 6. 球速と回転数
7. 7. 変化量
8. まとめ

1. 基本情報

2021年にTJ手術

所属球団	テキサス・レンジャーズ (2015 – 2018) ピッツバーグ・パイレーツ (2018 – 2020) サンディエゴ・パドレス (2021)
ポジション	リリーフ
投打	右投右打
生年月日	1993年4月16日（29歳）
身長	185.4 cm
体重	104.3 kg

基本情報

やきゅまる

2022年は3Aでの登板のみ

奪三振率が非常に高い

MLB通算で243試合に登板して防御率3.33、被打率.205、奪三振率11.0、与四死球率3.6です。またポップフライ率が11%（MLB平均7%）と高いポップフライボーラーです。

TJ手術明けとなる今季は3Aで16試合に登板して防御率6.00、被打率.250、奪三振率12.8、与四死球率6.4とTJ手術明けで制球が不安定でした。

投手としての特徴は「球速が速い」「ノビのあるストレート」「縦に落ちるパワーカーブ」「被本塁打が少ない」などがあげられます。

やきゅまる

本来の力はMLB守護神レベルだから期待大だね

2. 球種・投球割合

持ち球は4球種

持ち球はストレート、ツーシーム、チェンジアップ、カーブの4球種です。

ただし近年はツーシームとチェンジアップをほぼ投げておらず、ほぼストレートとカーブのツーピッチです。

やきゅまる

ほぼストレートとカーブだね

球種割合の左右差はあまりない

キオーニ・ケラ投手の左右投球割合（MLB2021年） — キオーニ・ケラ投手の左右投球割合
（MLB2021年）

上図は左右別投球割合で、色が球種を表しています。

ストレートとカーブの比率は左右差がありません。

チェンジアップは左打者への投球のみです。

やきゅまる

もう少し左打者にチェンジアップを投げても良さそう

ストレートはカウント球、カーブは決め球

キオーニ・ケラ投手のカウント状況別投球割合（MLB2021年） — キオーニ・ケラ投手のカウント状況別投球割合
（MLB2021年）

ツーピッチですがストレートはカウント球、カーブは決め球の比率が高いです。

やきゅまる

追い込んだらほぼカーブだね

3. コース

高めにストレート、低めにカーブ

キオーニ・ケラ投手のベース上の位置（MLB2019-2021年） — キオーニ・ケラ投手のベース上の位置
（MLB2019-2021年）

高めにストレート、低めにカーブの投球が多くて空振りも奪っています。

やきゅまる

フライボール革命に対抗する典型的な投球例だね

ベース右上と右下〇

キオーニ・ケラ投手のコース別成績（MLB2015-2021年） — キオーニ・ケラ投手のコース別成績
（MLB2015-2021年）

右打者のアウトハイとアウトロー、左打者のインハイとインロー、つまりベース右上と右下（捕手目線）の成績が良いです。

やきゅまる

ストレートがカット気味だからかな？

4. 各成績

対右打者○

キオーニ・ケラ投手の対左右成績（MLB2015-2021年） — キオーニ・ケラ投手の対左右成績
（MLB2015-2021年）

右打者の被打率.186、被OPS.575と右打者に強いです。

今季3Aでも右打者の被打率.194と対右打者の成績が良いです。

やきゅまる

対左打者も悪い数字じゃない

対ピンチは普通

キオーニ・ケラ投手の得点圏成績（MLB2015-2021年） — キオーニ・ケラ投手の得点圏成績
（MLB2015-2021年）

得点圏とそれ以外では被打率や被OPSがほぼ同じであるので、対ピンチは苦手でも得意でも無さそうです。

カーブはかなり優秀

キオーニ・ケラ投手の球種別成績（MLB2015-2021年） — キオーニ・ケラ投手の球種別成績
（MLB2015-2021年）

左はOPSのグラフ、右は空振りなどのグラフ、下は球種別の成績です。

投球数が少ないツーシームは被OPS1.914とかなり打たれています。

ストレートは被打率は悪くありませんが被OPSが少し高く、球速の割には空振率は低いです。

チェンジアップは空振率16%と高いですが、ゾーン内率32%と制球に課題があります。

カーブは被OPSが低い上にストライク率65%と高いです。また空振率は21%と非常に高く奪三振を多く奪っています。

全体のゾーン内率50%と高いにも関わらず、ストライク率は63%しかありません。

やきゅまる

チェンジアップは空振率は高いね

5. リリースポイント

オーバースロー

キオーニ・ケラ投手のリリースポイント（MLB2021年） — キオーニ・ケラ投手のリリースポイント
（MLB2021年）

左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均のリリースポイントです。

基本的にはMLB平均よりリリースは約30cmも体に近く高いオーバースローです。

球持ちは普通です。

6. 球速と回転数

平均球速155.0km/h、最高160.5km/h

キオーニ・ケラ投手の球速・回転数（MLB2015-2021年） — キオーニ・ケラ投手の球速・回転数
（MLB2015-2021年）

上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。

ストレートの平均球速は155.0km/hとかなり速く、回転数は2259回転と平均的です。

ツーシーム、チェンジアップも同様の傾向です。

カーブもかなり高速ですが、回転数は2305回転とMLB平均より少ないです。

やきゅまる

カーブの回転数が少ないのは意外だね

TJ手術前に球速急低下

2015年～2020年は平均球速155km/h前後でしたが、TJ手術前の2021年は平均球速は152.4km/hと球速が急低下しています。

回転数は逆に2250回転前後から2336回転に上昇しました。

やきゅまる

今年は平均155km/hまで回復しそうだね

7. 変化量

回転軸

上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。

ストレートはバックスピン、カーブはトップスピンに近いです。

ストレートはカットライズ、カーブは横変化量小

キオーニ・ケラ投手の変化量（MLB2021年） — キオーニ・ケラ投手の変化量
（MLB2021年）

上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。

ストレートはホップ成分49cmと多くて横変化量が-16cmとノビのあるカットライズです。

チェンジアップは変化量が小さいです。

カーブは横変化量が小さく縦に落ちるパワーカーブです。

やきゅまる

ストレートとカーブの縦の変化で勝負するタイプ

まとめ

①MLB通算で防御率3.33、被打率.205、奪三振率11.0、与四死球率3.6
②奪三振率が非常に高い
③2021年にTJ手術
④TJ手術明けの今季は制球不安定
⑤ポップフライ率が11%（MLB平均7%）
⑥ほぼツーピッチ（持ち球は4球種）
⑦ストレートはカウント球、カーブは決め球
⑧高めにストレート、低めにカーブ
⑨ベース右上と右下〇
⑩対右打者〇（対右.186）
⑪カーブの空振率21%
⑫オーバースロー
⑬平均球速155.0km/h、最高160.5km/h
⑭TJ手術前の2021年は球速が急低下
⑮ストレートはノビのあるカットライズ
⑯カーブは高速でトップスピンに近く縦に落ちる

ケラ投手はオーバースローから「ノビのあるストレート」と「縦に落ちるパワーカーブ」を投げ込むツーピッチ剛腕リリーフです。

TJ手術明けとなる今季は3Aで16試合に登板して防御率6.00、被打率.250、奪三振率12.8、与四死球率6.4とTJ手術明けで制球が不安定でした。

ストレートの平均球速は155.0km/hとかなり速く、ホップ成分が49cmもあるノビのあるカットライズです。

カーブは高速でトップスピンに近く縦に落ちるパワーカーブです。そのため空振率は21%と非常に高いです。

やきゅまる

TJ手術明けで、どれだけ回復して本来の投球が出来るかだね