第163回 【阪神】2022年新外国人カイル・ケラー投手の投球分析
11月30日、阪神が新守護神候補としてパイレーツのカイル・ケラー投手(28)の獲得調査に乗り出しているという報道がありました。
その後、12月11日に阪神が正式に獲得したと発表がありました。
そのため今回は「【阪神】2022年新外国人カイル・ケラー投手の投球分析」を紹介します。
データはメジャーで登板した2019~2021年のBaseball Savantとfangraphsデータを使用します。
基本情報
メジャーでは全てリリーフ
所属球団 | マイアミ・マーリンズ (2019) ロサンゼルス・エンゼルス (2020) ピッツバーグ・パイレーツ (2021) |
ポジション | リリーフ |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1993年4月28日(28歳) |
身長 | 193 cm |
体重 | 92 kg |
高い奪三振能力
上はメジャー、下は3Aの年度別の成績です。
メジャーでは全て、3Aでも1試合を除いてリリーフであることから、日本でもリリーフでの起用が考えられます。
被打率が低く、高い奪三振率を誇りますが、被本塁打が非常に多いです。
メジャーでは四死球が非常に多いですが、3Aでは四死球が少ないです。 四死球数が防御率と相関しているので、日本ではまず四死球を抑えられるかが活躍の鍵になりそうです。
ほぼストレートとカーブの2球種
上図は年別投球割合で、色が球種を表しています。
持ち球はストレート、カットボール、チェンジアップ、カーブの4球種ですが、2021年はストレートとカーブの2球種でした。
投球割合に左右差なし
上図は右打者、左打者別の投球割合で、色が球種を表しています。
投球割合に左右差はほぼ無く、ストレートとカーブが6:4の比率で投げています。
カットボールは右に1球、チェンジアップは左に3球投げただけです。
ボールが先行するとストレート
上図は右打者、左打者別のカウント別投球割合です。左が数値の表、右が円グラフ。
ボールが先行するとストレートの割合が増えます。やはり、ストレートの方がストライクを取る自信があるみたいです。
リリースはやや高い程度
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均です。
リリースの横と球持ちはほぼメジャー平均ですが、5cmほど高いです。
フライボーラー
上図は各球種、全体、メジャー平均の被打球種類です。
メジャー平均よりフライの割合が38%とかなり高いフライボーラーです。
左右差はほぼ無い
左打者の方が、被打率と被OPSがやや高いですが、ほぼ左右差はありません。
対ピンチ×
得点圏の被打率.297と被OPS.933と非常に高く、対ピンチに弱いです。
ストレート、カーブともに被本塁打がネック
上はOPSのグラフ、下は球種別の成績です。
ストレートとカーブともに被打率が低く、奪三振を多く奪えています。しかし、どちらも被本塁打が多く、被OPSは悪いです。
平均球速152.1km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートの平均球速は152.1km/hとMLB平均より速く、回転数は2327回転とMLB平均より約50回転多いくらいです。
カットボールは1球のみですが、152.9km/hとストレート以上の速さです。
チェンジアップはMLB平均より約4km/h速く、回転数は300回転多い
カーブはMLB平均より約3km/h速く、回転数は平均並みです。
ノビのあるストレート、変化量が少ないカーブ
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
ストレートはMLB平均よりホップ成分が5cm多く、ノビのあるストレートです。
カットボールはハードカッタータイプの変化で、ホップ成分が48cmと非常に多く、ストレート以上に浮き上がりながら曲がるボールです。
チェンジアップはホップ成分が多く、落差があまり無いボールです。
カーブはMLB平均より横変化、縦変化ともに変化量が少ないです。
ストレートの回転軸はバックスピン寄り
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、△はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ストレートの回転軸がバックスピン寄りなので、回転数のわりにホップ成分が多いと考えられます。
チェンジアップは回転数が多く、回転軸がバックスピン寄りなので、落差があまり無い変化量となっています。
カットボールとカーブはMLB平均くらいです。
ストレートは高め、カーブは低め
上図は球種別のヒートマップで、色が濃い所が投球数が多いことを表しています。
ストレートは真ん中高め、カーブは低めに投球されています。基本的はベース上の上下で勝負する投球です。
ストレートと曲がり球の軌道が遠い
投球の多いストレートとカーブの軌道はピッチトンネルまで似ています。
チェンジアップはリリースからかなり離れているので、打者には早い段階で分かる可能性があります。
まとめ
①リリーフ
②被打率が低く、高い奪三振率
③四死球がメジャーでは非常に多いが、3Aでは少ない
④被本塁打が非常に多いフライボーラー
⑤持ち球はほぼ2球種
⑥対ピンチ×
⑦平均球速152.1km/h、2327回転
⑧ノビのあるストレート
⑨カーブは平均より約3km/h速く、変化量が少ない
今回は「【阪神】2022年新外国人カイル・ケラー投手の投球分析」を紹介しました。
リリーフで被打率が低く、高い奪三振能力を持つ反面、被本塁打が非常に多いフライボーラーです。
四死球はメジャーでは非常に多いですが、3Aでは少ないです。日本ではまず四死球を抑えられるかが活躍の鍵になりそうです。
持ち球はストレート、カーブのほぼ2球種です。ストレートは平均球速152.1km/hで回転軸がバックスピン寄りなので、ノビのあるストレートです。カーブはMLB平均より約3km/h速いパワーカーブで、変化量が少ないです。
オリックスも獲得調査をしているという報道が出ていたので、獲得競争になりましたが阪神が獲得しました。
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