第434回 【佐々木朗希】2023年の投球分析(成績・球種・球速・変化量など)
2023年は佐々木朗希投手の全試合の投球分析を記事にしましたが、2023年全体の総括をしていませんでしたので、今回は「【千葉ロッテ】佐々木朗希投手の投球分析(2023年総括)」を紹介します。
使用するデータはスポナビライブのデータです。
基本情報
経歴 | 岩手県立大船渡高等学校 千葉ロッテマリーンズ (2020 – ) |
プロ入り | 2019年 ドラフト1位 |
ポジション | 先発 |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 2001年11月3日 |
身長 | 190 cm → 192 cm |
体重 | 85 kg → 91 kg |
1. 年度別成績
多くの成績が右肩上がり
2023年は
9勝4敗→7勝4敗
防御率 2.02→1.78
WHIP 0.80→0.75
被打率 .177→.161
被OPS .495→.422
奪三振率 12.0→13.4
与四死球率 2.1→2.2
と昨年から多くの成績がさらに向上しました。
特に平均球速159.1km/hは異次元の投球でした。
被長打率が.208とほぼ2割で、被安打の51本中40本が単打と長打をほとんど打たれていません。
2. 球種・投球割合
スライダーの投球割合が増加
2023年はチェンジアップは投げず、カーブも2球しか投げませんでした。
2022年に比べてストレートの投球割合が減少(56%→50%)しました。
その分スライダーの投球割合が増加(5%→14%)しました。
日別投球割合はスライダーが日によって割合が異なりました(2%〜30%)。
右打者にはスライダー、左打者にはフォークを多投
2022年同様に右打者にはスライダー、左打者にはフォークの比率が高いです。
左右共にカーブが減った分、スライダーが増えました。
さらに右打者にはストレートが減った分、スライダーが増えました。
3. コース別
フォークの制球が良い
ストレートは右打者はアウトハイ、左打者は高めへの投球が多いです。高さが2022年は真ん中付近が多かったですが、2023年は高めへの投球が増加しました。
フォークは右打者にはアウトロー、左打者には低めへの投球が多いです。
スライダーは右打者のアウトローへの投球が多いです。左打者はインローも多いですが、高めに浮くことが多いです。
低めボールゾーンは0安打
右打者にはアウトハイを打たれています。
左右ともにに低めボールゾーンは0安打です。
4. 対左右成績
左打者への成績が向上
□と△は2022年の対左右成績です。
左打者の被打率.137、被OPS.357と左打者の方が成績が向上しました。
5. 得点圏成績
対ピンチ×
2021年に比べると2022年は得点圏被打率が向上(.288→.175)しており、対ピンチに弱いのを克服しました。
しかし、2023年は得点圏被打率が悪化(.175→.255)しており、また対ピンチに弱くなりました。
6. ホームアウェイ成績
ホーム○
ホームの被打率.128、被OPS.315、防御率0.73と圧倒的にホームに強いです。
7. 球種別成績
3球種とも素晴らしい
ストレートが被打率.229、フォークが被打率.097、スライダーが被打率.188と素晴らしい数字です。
ストレートはストライク率72%、ゾーン内率66%とゾーン内でストライクを取れています。
フォークは空振率30%かつストライク率67%とボール球も多く空振りを奪っています。
スライダーは空振率19%と高く、右打者には被打率.179しか打たれませんでした。
8. 日別・年別・走者別の平均球速
平均159.1m/h、最高165km/h
7月12日までは平均球速が160km/hを超える試合が3度もありましたが、7月24日に左脇腹の肉離れで故障すると9月17日までは平均球速が2-5km/hも低下しました。ただ最終登板の10月14日は平均球速159.4km/hまで復調しました。
2023年シーズンの平均球速は159.1km/hで、最高は165km/hと過去最高でした。
走者有無の球速は2021年は「走者あり」だと1.2km/h落ちていましたが、2022年と2023年は走者の有無で球速が変わりませんでした。
9. 球速帯
ストレートは3球以外はMLB平均以上
ストレートは3球以外がMLB平均以上と脅威的な球速でした。
フォークとスライダーはどちらも140km/h前半の投球が多かったです。
9. ストレート球速別被打率
ストレートは球速が速い方が打たれない
ストレートは球速が上がるにつれて被打率が下がっています。また奪三振も増加しています。
160km/h以上では被打率.150、被本塁打0、60打数中25個の三振を奪っています。
10. 回別の平均球速
9回まで球速維持
2021年は初回が154.2km/hで、5回は150.9km/hまで球速が落ちてしまっていました。
しかし、2023年は9回まで159km/h前後を維持しています。
11. 回転数(WBC)
ストレートは回転数多い
ストレートは平均2351回転と回転数が多いです。
フォークも平均回転数995回転でNPB平均やMLB平均を大きく下回っていて、これが落差の大きい変化を生んでいると考えられます。
スライダーは「高速で回転数が多い縦スラ」と「スライダー(スイーパー)」を投球していた可能性があるので分けました。
12. 変化量(WBC)
ストレートはシュートライズ
ストレートはホップ成分とシュート成分が多いシュートライズです。回転効率が良いと考えられます。
フォークもシュート成分が少なく落差が大きいです。
「高速で回転数が多い縦スラ」は横変化量が小さいです。
「スライダー(スイーパー)」も横変化量が小さいです。
まとめ
【年度別成績】
①ほとんどの成績が右肩上がり
②2023年は
7勝4敗
防御率 2.02→1.78
WHIP 0.80→0.75
被打率 .177→.161
被OPS .495→.422
奪三振率 12.0→13.4
与四死球率 2.1→2.2
③被長打率.208と低い
(40単打/51安打)
④被本塁打が1本のみ
【球種割合】
①スライダーの投球割合が増加
(5%→14%)
②カーブは2球のみ
③右にスライダー、左にフォークの比率増加
⇒ただ今年は左打者にもスライダーを投球
【コース】
①ストレートは右打者アウトハイ、左打者高め
⇒空振りはアウトハイが多い
②フォークとスライダーは右打者アウトロー、左打者インロー
⇒スライダーは左打者の高めに抜け気味
③右打者にはアウトハイ×
④低めボールゾーンは0安打
【対左右・得点圏成績・ホーム】
①左打者の成績向上
(左被打率.184→.137)
②対ピンチの成績悪化
(得点圏被打率175→.255)
③ホーム○
被打率.128
被OPS.315
防御率0.73
【球種別成績】
①ストレート被打率.229
フォークが被打率.097
スライダーが被打率.188
②ストレートはゾーン内で勝負出来てる
(ストライク率72%、ゾーン内率66%)
③フォークはボール球を振らせてる
(空振率30%、ストライク率67%)
④スライダー空振率19%と高く、右被打率.179
【球速】
①平均球速は159.1km/h
⇒MLB先発4位相当
②最高165km/h(日本人最速タイ)
③故障で2-5km/h低下
④走者有無で球速変化なし
⑤ストレートは3球以外がMLB平均以上
⑥160km/h以上の成績○
⑦9回まで球速維持
【WBCでの回転数・変化量】
①ストレートは2351回転と多い
②フォークは995回転と少ない
③スライダーは縦スラ、スイーパーの2種類?
④ストレートはシュートライズ
⑤フォークはシュート成分少なく落差大
⑥スライダーは横変化量小
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません