第279回 【大谷翔平】今季最多111球で8回1失点(2022年9月3日投球分析)
2022年9月3日、大谷翔平投手(28)が本拠地エンゼルス・スタジアムでのアストロズ戦に「3番・投手兼DH」で投打同時出場。
8回を投げて今季最多111球、被安打6、四死球0、奪三振5、失点1と好投しましたが勝敗はつきませんでした。
今回はそんな「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年9月3日投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsのデータを使用します。
1. 球種・投球割合
ツーシーム、スライダーを多投
今回はストレート、ツーシーム、フォーク、スラッター、スライダー、カーブの6球種を投球しました。
いつもよりツーシーム18%、スライダー53%と多投しました。
スプリームは投げませんでした。
※当ブログでは「カットボールをスラッター」と「第二のスプリットをスプリーム」と呼称しています。詳細は過去記事を参照して下さい。
右打者にはほぼツーシームとスライダー
上は前回登板までの2022年平均、下は今回の左右投球割合です。
右打者にはほぼツーシームとスライダーでした。
左打者には6球種をバランス良く投球しました。
2. コース
左打者のツーシームはゾーン外
右打者はいつもよりスライダーが真ん中に集まっていました。アウトコースが少なかった分、空振りが少なかったと考えられます。
また制球が課題だったツーシームはインローに多く決まってます。ヒットは2本とも詰まった打球が内野の間を抜けただけで良いボールでした。
ただし、左打者にはツーシームとフォークがゾーン内に決まらなかったのは課題です。
3. 各成績
左右差なし
上図は今回、前回登板までの2022年平均、MLB右投手平均の左右別被OPSです。
今回は被打率、奪三振など、あまり左右差がありませんでした。
ツーシームで見逃し8個
1番打たれていたストレートですがツーシーム効果なのか、被安打0と成績が良かったです。
制球が課題だったツーシームもストライク率65%、ゾーン内率50%と制球が良かったです。また見逃しが8個と、打者が反応出来ていませんでした。
多投したスライダーは被安打が低く、空振りを多く奪いました。
全体でストライク率72%(前回66%)、ゾーン内率54%(前回53%)、5球種でストライク率50%以上とバランス良くストライクを取れました。
空振りは12個(前回17個)と、いつもよりは少なかったです。
4. リリースポイント
ツーシームはリリース位置が下がってない
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。◇は2022年平均、△はMLB平均です。
全球種のリリース位置はいつもより一塁側でした。これは腕が振れてないわけではなく、立ち位置が一塁側だったからと考えられます。
普通は肘や手首が下がりやすいツーシームはストレートより横か下から投げる投手が多いですが、大谷翔平投手の場合はツーシームとストレートが同じくらいです。
5. 球速と回転数
平均球速157.7km/h、最高161.6km/h
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、◇は2022年平均、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速157.7km/h、最高球速161.6km/h、回転数は2198回転でした。
カーブは球速が遅いスローカーブと、球速が速く回転数が多いパワーカーブの2種類を投げ分けていました。
回転数は平均くらい
ストレートは平均球速157.7km/hで、今季の中では7番目に球速が出ていました。
回転数は2198回転で平均くらいでした。
8回まで球速を維持
8回でも159.6km/hと最後まで球速を維持しました。
6. 回転軸と変化量
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、◇は2022年、点線はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
ツーシームの変化量大
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、◇は2022年、△はMLB平均を表しています。
いつもは真っスラ気味のストレートはシュート成分が多かったです。
ツーシームはMLB平均よりも変化量が大きいです。
フォークは1球変化量が小さいボールがありましたが、それ以外は変化量が安定していました。
多投したスライダーは変化量が安定しています。
スラッター、カーブはいつもより変化量が小さいです。
まとめ
①ツーシームとスライダー多投
②ツーシームは左打者への制球✕
③ツーシームで見逃し8個
④ツーシームは最高161.9km/h
⑤ツーシームの変化量大
⑥スライダーの変化量安定
【ストレート】
平均球速157.7km/h
最高161.6km/h
平均2198回転
ホップ量36cm、シュート成分11cm
今回は「【投手兼DH】大谷翔平投手の2022年9月3日投球分析」を紹介しました。
8回を投げて今季最多111球、被安打6、四死球0、奪三振、失点1と好投しましたが勝敗はつきませんでした。
いつもよりツーシーム18%、スライダー53%と多投しました。
ツーシームは最高161.9km/hで、MLB平均よりも変化量が大きいため、見逃しを8個も奪いました。しかし、左打者には2球ともゾーン外に大きく外れており、まだまだ左打者への制球は課題です。
多投したスライダーは被安打が低く、空振りを多く奪いました。ただいつもより真ん中付近へのボールが多く、アウトコースに投げきれればもっと空振りを量産しそうです。
ストレートは平均球速157.7km/h、最高球速161.6km/h、回転数は2198回転で被安打0でした。
どんどんツーシームが良くなってきているので、次回登板が楽しみです。
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