第180回 【ヤクルト】2022年新外国人アンドリュー・スアレス投手の投球分析
2021年12月20日、ヤクルトが今季韓国・LGでプレーしたアンドリュー・スアレス投手(29)の獲得を発表しました。1年契約で年俸は80万ドルプラス出来高払いで、背番号は50。
そのため今回は「【ヤクルト】2022年新外国人アンドリュー・スアレス投手の投球分析」を紹介します。
データはBaseball SavantとFanGraphsとSTATIZのデータを使用します。
基本情報
韓国では主に先発
MLB 所属球団 | サンフランシスコ・ジャイアンツ (2018 – 2020) |
KBO 所属球団 | LGツインズ (2021) |
ポジション | 先発、リリーフ |
投打 | 左投左打 |
生年月日 | 1992年9月11日(29歳) |
身長 | 185 cm |
体重 | 88 kg |
与四死球が少ない
上はメジャー、真ん中は3A、下はKBO(韓国リーグ)の年度別成績です。
メジャー通算で、防御率4.66、被打率.274、奪三振率7.0とまずまずの成績でした。
昨年のKBOでは防御率2.18、被打率.213、奪三振率9.8と圧倒的な成績です。
MLB、3A、KBOで与四死球率3.1~3.5、KBO2021年の被本塁打が4本だけと、与四死球が少なく、被本塁打が少ない投手です。
持ち球は5球種
上図は年別投球割合で、色が球種を表しています。
持ち球はストレート、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カーブの5球種です。
登板数が多かったMLB2018年とKBO2021年は、5球種をバランスが良く投球しています。
右にチェンジアップ、左にスライダー
上図は右打者、左打者別の投球割合で、色が球種を表しています。
右にチェンジアップ、左にスライダーの投球割合が増えています。
ツーシームとチェンジアップはカウント球に使用
上図はカウント別投球割合です。左が数値の表、右が円グラフ。左下はカウント別の成績です。
ツーシームとチェンジアップは初球やボールが先行した時(カウント球)に投球割合が増えています。チェンジアップは決め球に使用する投手が多いので、これは珍しいです。
スライダーは左右関係なく、決め球として多く投球しています。
2020年にフォーム変更
左図は捕手目線、右図は三塁側から投手を見たリリースポイントです。△はMLB平均です。
2019年まではMLB平均よりリリースポイントが約15cm高く、球持ちが約35cm悪かったです。
2020年からはリリースポイントが約15cm体に近く、約5cm低くくなり、球持ちが約15cm良くなりました。
グラウンドボーラー
上図は各球種、全体、メジャー平均の被打球種類です。
ゴロ率が51%とグラウンドボーラーです。
MLBでは左に強く、KBOでは右に強い
左はMLB、右はKBOの対左右別の成績です。
MLB通算では対左打者の被打率.221、OPS.563と左打者を得意としていました。
韓国(KBO)の2021年は対左打者の被打率.250、OPS.670と多少悪化しましたが、対右打者の成績がかなり良化しました。
対ピンチ〇
2021年の得点圏被打率.180、被OPS.438と対ピンチに強いです。
KBOではチェンジアップとカーブの成績良化
左はMLB、右はKBOの球種別の成績です。
チェンジアップとカーブがKBOに移籍して、OPS.479とOPS.399とかなり成績が良化しました。
不思議なのはストレート、ツーシーム、スライダーがMLB時代は左の方が成績が良いのに、KBOでは右の方が成績が良いです。
平均球速148.0km/h、1931回転
上図は球種別の平均球速と回転数のグラフで、△はMLB平均を表しています。
ストレートは平均球速148.0km/hとMLB平均よりやや遅いですが、NLB平均の145.5km/hよりかは速いです。回転数は1931回転とMLB平均よりも300回転少ないです。
チェンジアップは逆にMLB平均より4km/h速く、 300回転多いです。
ツーシームとスライダーはMLB平均くらいの球速と回転数です。
球速と回転数がやや減少傾向
上図は年度別の平均球速と回転数の推移です。
平均球速。回転数ともにやや減少傾向です。ただ、それでも左の先発で147.3km/hなので、NPBではトップレベルです。
スライダーの縦変化量が増加
回転軸
上図は捕手側から見た球種別の回転軸の向きで、△はMLB平均を表しています。数値は回転数で、中心から離れるほど回転数が多くなります。
変化量
上図は捕手側から見た球種別の変化量で、△はMLB平均を表しています。
2020年にフォーム変更したことで、チェンジアップの落差が7cm小さくなりました。
一方、スライダーは回転軸がトップスピン寄りになり、縦変化量が23cmも大きくなりました。
スライダーの変化量が大きくなったのは
全体的に制球されている
MLB2018-2020
KBO2021
上図は球種別のヒートマップで、色が濃い所が投球数が多いことを表しています。
MLBとKBOともにツーシームはベースの右側、スライダーはベースの左下、チェンジアップはベースの右下に制球されています。何故かカーブは低めだけだ無く、高めにも多く投げています。
MLBとKBOで違うのはストレートで、MLBでは真ん中付近に集まっていますが、KBOでは高めへの投球が増えました。
右打者のインハイ、左打者のアウトローの成績が良い
MLB2018-2020
KBO2021
MLBとKBOともに右打者のインハイの成績が良いです。 KBOでは右打者へのアウトローの成績が良くなっているので、これが右打者を抑えれるよになった一因だと考えられます。
MLBとKBOともに左打者のアウトローの成績が良いです。 KBOでは左打者へのインコースの成績が悪くなっているので、これが左打者の成績が悪化した一因だと考えられます。
軌道が似ている
カーブは2020年に投げていなかったので、ありません。
全球種のピッチトンネルまでの軌道が似ています。
まとめ
①左投げの先発(昨季はKBO)
②与四死球は少ない
③持ち球は5球種
④2020年にフォーム変更
⑤被本塁打が少ないグラウンドボーラー
⑥MLBでは左に強く、KBOでは右に強い
⑦対ピンチ○
⑧KBOではチェンジアップとカーブの成績良化
⑨平均球速148.0km/h、1931回転
⑩球速と回転数がやや減少傾向
⑪スライダーの縦変化量が増加
今回は「【ヤクルト】2022年新外国人アンドリュー・スアレス投手の投球分析」を紹介しました。
メジャー通算で、防御率4.66、被打率.274、奪三振率7.0とまずまずの成績で、昨年のKBOでは防御率2.18、被打率.213、奪三振率9.8と圧倒的な成績です。
ストレートは平均球速148.0km/h、1931回転と、回転数は少ないですが、変化量はMLB平均くらいのボールです。
持ち球は5球種で、5球種をバランスが良い割合で投げています。2020年にリリースポイントが体寄りになったことで、スライダーの縦変化量が増加しました。
与四死球が少なく、被本塁打が少ないグラウンドボーラーで、NPB平均以上の球速、5球種をバランス良く投げれることから先発ローテーションでの活躍が期待出来ます。
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