第14回 【楽天復帰】田中将大投手の投球分析
「楽天復帰!田中将大投手の投球分析」ということで、
2020年のBaseball Savantのトラックマンデータから田中将大投手の投球分析結果を紹介したいと思います。
分量が多くなってしまったので、目次を活用してください。
1. 基本成績
右打者の被打率が悪い。
四死球の少なさとWHIPは優秀である。
2. 投球割合
田中将大投手が投げるのは、ストレート、ツーシーム、スプリット、スライダー、カーブの5球種である。
メジャー平均と比べると、スライダーとスプリットの割合が多く、ストレートの割合が少ない。
右打者にはスライダーが多く、左打者にはスプリットが多い。
第6回 メジャー(MLB)右投手の球種、投球割合
3. コース別投球割合
メジャー平均と比べると、低めへの投球割合が多い。
特に、右打者はアウトローの割合が高い。
四死球が少ないにも関わらず、ボールゾーンの割合がメジャー平均より高い。
これは制球が良く、際どいボールが多いことを表している。
第7回 メジャー(MLB)右投手のコース別投球割合
ストレート
ストレートに関しては高めの割合が高い。
ツーシーム
右打者にはインハイとアウトローのボール球の割合が高く、インローの割合が低い。
左打者にはインローのボール球の割合が高く、アウトローの割合が低い。
スプリット
低めへの割合が高い。
右打者には低め全体の割合が高く、アウトローへはストライクよりボールの割合が高い。
左打者にはストライクゾーン内の割合が高く、アウトローとインコース真ん中への割合が高い。
スライダー
低めへの割合が高い。
右打者にはアウトローへの割合がとても高い。
左打者には低め全体的に割合が高い。
カーブ
右打者にはアウトローへの割合が高い。
左打者にはアウトコース真ん中とインローへの割合が高い。
4. カウント別投球割合
ストレートは決め球ではなく、見せ球とカウントを稼ぐために使用している。
ツーシームは1ストライクから投げることが少し多い。
スプリット、スライダーはメジャー平均とは異なり、決め球だけでなく、カウントを取るボールとしても使用。
カーブは初球または2球目に投げることが多い
第8回 メジャー(MLB)右投手のカウント別投球割合
5. 被打率・被本塁打
球種別被打率
ストレートの被打率が悪く、他の球種は右打者の被打率が悪い。
コース別被打率・被本塁打
右打者
インハイとアウトローの被打率がとても低いが、それ以外は高い。
真ん中付近の球を本塁打されている。
第9回 メジャー(MLB)右投手のコース別被打率、被本塁打
左打者
左打者もインハイとアウトローの被打率がとても低いが、それ以外は高い。
また真ん中付近の球を本塁打されている。
第9回 メジャー(MLB)右投手のコース別被打率、被本塁打
6. 球速・回転数
ストレート、ツーシーム、スライダーはメジャー平均より1~3km/hくらい遅いがほぼ平均と言える。
カーブはメジャー平均より6km/hくらい遅く、少し回転数が少ない。
逆にスプリットはメジャー平均より3km/hくらい速く、ストレートとの差が少ない。
第10回 メジャー(MLB)右投手の平均球速・平均回転数
7. 平均リリースポイント・変化量
平均リリースポイント
メジャー平均と比べても15cm以上低く、10cm以上頭の方向に近い。
このことにより、打者からすると球種の見分けが付きにくく、ストレートが伸びてくる印象になる。
またエクステンション(捕手方向のリリースポイント)も10cmほど近い。
第11回 メジャー(MLB)右投手の平均リリースポイント・平均変化量
変化量
全体的にメジャー平均よりシュート方向に寄っている。
意外にもスプリット、スライダー、カーブはメジャー平均より変化していない。
第11回 メジャー(MLB)右投手の平均リリースポイント・平均変化量
8. 軌道シミュレーション
軌道
リリースポイントが低く、頭に近いため、メジャー平均よりも全球種のピッチトンネルの差異が少ない。
特にストレート、ツーシーム、スプリット、スライダーの軌道が近いので、打者は球種を見分けづらい。
第12回 メジャー(MLB)右投手の軌道シミュレーション
ストレートの軌道
ツーシームの軌道
スプリットの軌道
スライダーの軌道
カーブの軌道
軌道シミュレーション
0.02秒/1コマでメジャー(MLB)右投手の軌道シミュレーションで作成。
下はストレートのトンネルポイント地点の時間で一時停止したものである。
ストレートで止めているので、他の球種は実際のトンネルポイントとは差異がある点に注意。
後で修正するね
9. 打球の種類比率・リスク管理
ストレート
ゴロ率が一番低く、ラインドライブ率が一番高い。
意外と被打率のわりに空振り三振が多い。
ツーシーム
ゴロ率が高く、併殺打(複数アウト)の比率が高い。
空振り、見逃し三振が全くない。
スプリット
ゴロ率が一番高く、空振り三振率が一番多い。
スライダー
ゴロ率が高くなく、フライ率が高い。
空振り三振率が一番高い。
カーブ
サンプルが少ないので参考にならない。
10. まとめ
利き手 | 右 |
球種の豊富さ | (4 / 5) |
制球力 | (5 / 5) |
球速 | (4 / 5) |
奪三振能力 | (4 / 5) |
ピッチトンネル | (4.5 / 5) |
ストレート | (3 / 5) |
ツーシーム | (4 / 5) |
スプリット | (4.5 / 5) |
スライダー | (3 / 5) |
カーブ | (3 / 5) |
対左打者 | (5 / 5) |
リリース近さ | (4 / 5) |
リリース高さ | (1 / 5) |
球持ち | (2 / 5) |
今回は「田中将大投手の投球分析」を紹介しました。
制球力とリリースポイントが特徴的で、日本だと球速も速い方なので活躍してくれると思います。
今のスライダーにプラスして横に曲がるスライダーがあれば、右打者の被打率が改善出来そうです。
・四死球の少なさとWHIPは優秀
・スライダーとスプリットの投球割合が多く、ストレートの割合が少ない
・右打者にはスライダーの投球割合が多く、左打者にはスプリットが多い
・低めへの投球割合が多く、ボールゾーンの割合がメジャー平均より高い
・ストレートは決め球ではなく、見せ球とカウントを稼ぐために使用
・ツーシームは1ストライクから投げることが少し多い
・スプリット、スライダーは決め球だけでなく、カウントを取るボールとしても使用
・カーブは初球または2球目に投げることが多い
・ストレートの被打率が悪く、他の球種は右打者の被打率が悪い
・インハイとアウトローの被打率がとても低い
・ストレート、ツーシーム、スライダーはほぼメジャー平均
・スプリットはメジャー平均より3km/hくらい速く、ストレートとの差が少ない
・リリースポイントがメジャー平均と比べても15cm以上低く、10cm以上頭の方向に近い
・変化量は全体的にメジャー平均よりシュート方向に寄っている
・ストレート、ツーシーム、スプリット、スライダーの軌道が近い
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