第27回 【ジャイアンツ】山口俊投手の投球分析
今回は2020年のBaseball Savantのトラックマンデータから山口俊投手の投球分析結果を紹介したいと思います。また2019年のプロ野球(NPB)のデータも使用しました。 プロ野球のデータは下記のいくつかのサイトを参考にしてます。 プロ野球データFreak Baseball LAB変化球割合
1. 基本成績
所属球団 | 横浜DeNAベイスターズ ⇒読売ジャイアンツ ⇒トロント・ブルージェイズ ⇒サンフランシスコ・ジャイアンツ |
ポジション | 先発 |
投打 | 右投右打 |
生年月日 | 1987/07/11 |
身長 | 188 cm |
体重 | 102 kg |
2019年プロ野球と2020年MLBの基本成績です。 全体的に成績が悪化しているが、奪三振率と左打者の被打率はそれほど悪化していない。 与四死球の増加と右打者の被打率の上昇が成績悪化の原因と考えられます。
2. 投球割合
山口俊投手が投げるのは、ストレート、スプリット、スライダー、カーブの4球種である。
日本時代に比べると、メジャーではスプリットの割合が増えて、スライダー、カーブは減っている。
右打者にはスライダー、左打者にはスプリットの割合が増えている。
メジャー平均と比べると、スプリットを多投している。 第6回 メジャー(MLB)右投手の球種、投球割合
3. コース別投球割合
メジャー平均と比べると、ボールゾーンの割合が多い。 左右関係なく、アウトコースの割合が高い。 第7回 メジャー(MLB)右投手のコース別投球割合
ストレート
ストレートに関しては高めの割合が高い。 右打者にはアウトロー、左打者にはアウトハイの割合が高い。
スプリット
低めへの割合が高い。 左打者にはインローへの割合が高い。
スライダー
ストライクゾーン内では真ん中付近の割合が高い。 メジャー平均よりボールゾーンの割合が高い。
カーブ
メジャー平均よりボールゾーンの割合が高い。
4. カウント別投球割合
ボールが先行しているとストレートの割合が高い。
あまりスライダーが決め球に使用されていない。 メジャー平均とは大きく違う。 第8回 メジャー(MLB)右投手のカウント別投球割合
5. 被打率・被本塁打
球種別被打率
日本時代に比べるとスライダーの被打率が悪い。 ストレートは左打者には有効である。
コース別被打率
どちらも高めの被打率が低い。左打者は低めの被打率も低い。 第9回 メジャー(MLB)右投手のコース別被打率、被本塁打
コース別被本塁打
右はストレート、左はスプリットを被弾している。
6. 球速・回転数
全球種がメジャー平均よりも球速が遅く、平均回転数が少ない。 日本時代と比べて、リリーフ登板が多かったのでストレートの平均球速は上がっている。 第10回 メジャー(MLB)右投手の平均球速・平均回転数
7. 平均リリースポイント・変化量
平均リリースポイント
メジャー平均よりもリリースポイントは低く、頭より遠くでリリースしている。 第11回 メジャー(MLB)右投手の平均リリースポイント・平均変化量
変化量
ストレートはメジャー平均よりもシュート成分が多い。 スプリットはメジャー平均よりも落差が大きく、ほぼストレートの真下にある。 スライダーはほぼメジャー平均。 カーブはメジャー平均よりも落差が大きく、曲がりも大きい。
第11回 メジャー(MLB)右投手の平均リリースポイント・平均変化量
8. 軌道シミュレーション
軌道
リリースポイントが低く、頭から離れているので、メジャー平均よりも横からボールが来る軌道である。 第12回 メジャー(MLB)右投手の軌道シミュレーション
軌道シミュレーション
0.02秒/1コマでメジャー(MLB)右投手の軌道シミュレーションで作成。 下はストレートのトンネルポイント地点の時間で一時停止したものである。 ストレートで止めているので、他の球種は実際のトンネルポイントとは差異がある点に注意。
9. 打球の種類比率・リスク管理
スプリットはメジャー平均よりもゴロ率が高く、優秀である。 ストレートはゴロ率が低い。
ストレートは他の球種よりも空振り三振率が低い物ですが、山口俊投手のストレートは空振り三振率が高い。 スライダーで三振が一つも取れておらず、とてもリスクが高い球種となっている。
第13回 メジャー(MLB)右投手の打球種類比率・リスク管理
10. 奪三振球種割合・空振率・見逃率
日本時代に比べてスライダーの奪三振が減って、ストレートの奪三振が増えている。 ストレートは空振り率も上昇しているが、スライダーの空振り率は減少していない。 2ストライクからのスライダーに課題があるのかもしれない。
スプリットの空振り率が減少している。
11. まとめ
利き手 | 右 |
年齢 | 33 |
球種の豊富さ | (2 / 5) |
制球力 | (3 / 5) |
球速 | (3 / 5) |
奪三振能力 | (4 / 5) |
ピッチトンネル | (3 / 5) |
ストレート | (3 / 5) |
スプリット | (4 / 5) |
スライダー | (2 / 5) |
カーブ | (2 / 5) |
対左打者 | (5 / 5) |
リリース近さ | (1 / 5) |
リリース高さ | (2 / 5) |
球持ち | (3 / 5) |
山口俊の投球分析をした結果、日本時代と比べてスライダーが決め球として使用出来なかったこと、全体的に制球が出来ていなかったことが不調の原因と考えられます。 どちらもボールが合わなかった可能性が考えられます。 そのため日本に帰って来たら、また活躍する可能性は高いと思います。
・与四死球の増加と右打者の被打率の上昇が成績悪化の原因と考えられる
・メジャーではスプリットの割合が増えて、スライダー、カーブは減っている
・右打者にはスライダー、左打者にはスプリットの割合が増えている
・左右関係なく、アウトコースの投球割合が高い
・ボールが先行しているとストレートの割合が高い
・あまりスライダーが決め球に使用されていない
・ストレートは左打者には有効である
・右はストレート、左はスプリットを被弾している
・日本時代と比べて、リリーフ登板が多かったのでストレートの平均球速は上がっている
・ストレートはメジャー平均よりもシュート成分が多い
・スプリットはメジャー平均よりも落差が大きく、ほぼストレートの真下
・スライダーはほぼメジャー平均
・カーブはメジャー平均よりも落差が大きく、曲がりも大きい
・メジャー平均よりも横からボールが来る軌道
・日本時代に比べてスライダーの空振り率は減少していない
・日本時代に比べてスプリットの空振り率が減少している
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